犬の首が傾いている? 考えられる病気や原因、応急処置を獣医師が解説

犬の首が傾いている? 考えられる病気や原因、応急処置を獣医師が解説

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犬の首が傾いているというのは見た目でわかりやすいので、すぐに気づくことが多いです。顔や首が片方の方向に傾いていると同時にふらつき、嘔吐などの症状が認められることもあります。無治療で良くなる場合もありますが、前庭疾患という病気の可能性もあるので注意が必要です。今回は犬の首が傾いている場合に考えられる原因・病気について、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。

犬が首を傾けるときに考えられる原因と病気

首を傾げるコーギー

耳の異常

細菌やマラセチアなどの感染により外耳炎・中耳炎・内耳炎といった耳の炎症が起こると、耳に違和感を感じ、傾けることがあります。しっかり治療をすれば徐々に良くなりますが、垂れ耳の犬は外耳炎になりやすいので繰り返す可能性があります。


前庭疾患

耳の炎症(外耳炎・中耳炎・内耳炎)が重症化し、前庭までに影響を及ぼした状態です。前庭は平衡感覚を司る場所で、そこに影響が及ぼされることで平衡感覚がなくなり、首を傾けるという症状を引き起こします。

前庭疾患は急になったように感じますが、実は前兆として耳をよく掻いていたり、外耳炎の症状が出ていたりすることがあります。

頭蓋内の異常

平衡感覚を司る部位に発生した腫瘍により、顔が傾く可能性があります。一般的には進行性であり、治療は困難なことが多いでしょう。

また細菌、真菌、寄生虫、ウイルスにより脳炎を起こすことがあります。顔が傾く以外にも、ふらつきや発作などの神経症状が起こることがあります。

犬が首を傾けるときの応急処置

ベッドの上にいるヨークシャーテリア

ケージ内で過ごさせるか周りを保護

顔が傾き平衡感覚を失うと壁などにぶつかることがあるために、ケージ内で過ごさせるか、周りにぶつかってもいいように柔らかいもので保護しましょう。

無理な食事や飲水は避ける

吐き気などを催すことがあるため、無理な食事や飲水は避けましょう。誤嚥(唾液や食物、胃液などが気管に入ってしまうこと)の原因にもつながります。

耳掃除をする

耳が赤くなったり、痒みを伴っていたり、匂いがきつく感じられる場合には外耳炎や中耳炎、内耳炎の可能性があるため、病院へ行くことをおすすめします。

すぐに受診することが難しい場合には、自宅での耳掃除をしてあげても良いでしょう。市販のイヤークリーナーを常備しておくと便利です。


いつもと違うと感じたら病院へ

犬

ペットである犬や猫は言葉を話すことができません。すなわち、具合が悪くても早期に症状を訴えることができず、重症化し食欲不振や元気消失に陥り、ようやく飼い主さんが気づくケースがほとんどです。

でも、実は愛犬もちょっとしたサインを出しているものです。どんな病気であれ、早期発見・早期治療が愛犬のためになりますので、いつもと違うと感じたら病院へ連れて行きましょう。



第3稿:2020年3月19日 公開
第2稿:2017年8月23日 公開
初稿:2016年6月7日 公開