【獣医師執筆】猫に里芋を与えるのはNG!理由や食べた場合の対処法を解説
猫に里芋を与えても良いのでしょうか? 寒い日は特に煮物など食べる機会が多くなりますが、里芋は猫が食べてはいけない食べ物です。シュウ酸カルシウムによる結石のリスクや、生の里芋を誤飲することで体調を崩す可能性があります。今回は、猫が里芋を食べた場合のリスクについて説明します。また、山芋や長芋など他の芋類の注意点についても紹介します。
猫に与えるのをおすすめしない里芋の栄養成分
里芋にはカリウムが多く含まれており、それ自体は猫にとって良い働きをしてくれます。カリウムは血液や体液が正常に機能するよう助けたり、神経伝達をスムーズにするといった役目があります。不足してしまうと、低カリウム血症に陥る可能性もあります。さといもの成分 ※可食部100g当たり | |
---|---|
エネルギー(kcal) | 58 |
水分(g) | 84.1 |
たんぱく質(g) | 1.5 |
脂質(g) | 0.1 |
炭水化物(g) | 13.1 |
カリウム(mg) | 640 |
カルシウム(mg) | 10 |
マグネシウム(mg) | 19 |
リン(mg) | 55 |
食物繊維(g) | 2.3 |
猫に里芋を与えるのはおすすめしない理由
里芋に限らず、デンプンを多く含む芋類は猫が消化するのに非常に多くのエネルギーを必要とします。猫は肉食動物ですので、人と同じように芋類を食べたほうがいいというわけではありません。基本的に猫に必要な栄養素は総合栄養食としてのキャットフードからバランス良く摂るようにしてください。
猫が口にすると体調を崩したり、結石の原因になったりすることがあります。猫が里芋を食べるリスクは、主に以下の3つが挙げられます。
- シュウ酸カルシウム
- 食物繊維・糖質
- 生の里芋の誤飲
1. シュウ酸カルシウム
猫が里芋を食べるリスクとして最も注意すべきなのが里芋に含まれる「シュウ酸カルシウム」です。里芋を触ると手が痒くなることがありますよね。その痒みを引き起こしているのがシュウ酸カルシウムです。シュウ酸カルシウムは加熱することで無害になりますが、シュウ酸カルシウムの過剰摂取は尿路結石の原因になります。猫は腎・泌尿器の疾患が特に多く、注意が必要です。2. 食物繊維・糖質
里芋はデンプンを主成分として、食物繊維や糖質を多く含みます。食物繊維は適量であれば整腸作用があり便秘の解消に有効ですが、摂りすれば便秘を促進してしまうこともあります。猫は肉食動物ですので食物繊維やデンプン・糖質の消化が得意ではありません。過剰に摂取した場合は消化が追いつかずに体調不良の原因になってしますのです。また、里芋のカロリーは芋類の中では低いものの、野菜などと比べれば高いといえます。食べ過ぎれば肥満の原因にもなってしまいます。3. 生の里芋の誤飲
生の里芋は硬くシュウ酸カルシウムによるエグミが強いため猫がすすんで食べることはないと思いますが、間違って食べてしまった場合に嘔吐や下痢、口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎といった症状が出る場合があります。塊が大きい場合は腸閉塞の原因になる場合もあります。愛猫が生の里芋を誤飲してしまった場合は、どれくらい食べてしまったのかを確かめて動物病院に相談するようにしてください。参照:Toxic and Non-Toxic Plants「taro」(ASPCA)
猫の里芋以外で他の芋類は食べて良い?
ジャガイモ:△
ジャガイモは猫が食べても大丈夫な食べ物です。ただし、主に芽に含まれる「ソラニン」という成分が嘔吐や下痢、血便や腹痛などを引き起こすケースもありますので注意が必要です。さつまいも:△
サツマイモは猫が食べても大丈夫な食べ物ですが、デンプンが多く猫にとって消化しやすい食べ物ではありませんので、加熱したものを少量だけにしましょう。長芋:×
長芋を触って手が痒くなったり、食べていて口の周りが痒くなったりアレルギーのような症状がでることがあると思いますが、その痒みの原因も里芋と同じくシュウ酸カルシウムです。猫に長芋は食べさせないようにしましょう。山芋(とろろ):×
山芋を触って手が痒くなったり、食べていて口の周りが痒くなったりアレルギーのような症状がでることがあると思いますが、その痒みの原因も里芋と同じくシュウ酸カルシウムです。猫に山芋は食べさせないようにしましょう。獣医師相談のインスタライブ開催中!
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