
台風や豪雨によって落ち着かなくなったり怖がったり、体調不良を起こす猫は少なくありません。愛猫が台風や豪雨を怖がっている場合、対策をとってあげましょう。今回は猫が台風を怖がる理由や対策などを紹介します。
この記事のまとめ
- 猫が台風を怖がる理由は「音」「気圧の変化」「本能」の3つが考えられる
- 雨戸やカーテンを閉め、窓から離れた部屋に自由に逃げ込める場所をつくる
- 停電や避難に備え、普段からキャリーに慣らし、水や持ち出す物を用意しておく
- 台風のあとは八つ当たり・おしっこのトラブル・食欲不振に注意する
猫が台風を怖がる理由

猫が台風を怖がるのには、以下の3つの理由が考えられます。
- 聞き慣れない音によるもの
- 気圧の変化によるもの
- 本能的なもの
聞き慣れない音によるもの
豪雨による轟音や、強い風が窓をたたく音など、普段と異なる音に安心できず、恐怖を感じることがあります。
人が聞き取れる音の高さ(可聴域)はおよそ20〜2万ヘルツですが、猫はおよそ55〜7万9,000ヘルツとされています。猫は人よりもずっと高い音まで聞き取れ、小さな音にも敏感です。
そのため、人にとってはなんともない音にも、過敏に反応してしまうのです。
気圧の変化によるもの
台風が近づくと、気圧が大きく変化します。気圧の変化は自律神経のバランスに影響するともいわれており、体調を崩したり、不安を感じたりしている可能性があります。
本能的なもの
猫を含む動物は、身の危険を感じるものを本能的に「怖い」と感じます。いつもと違う音や環境も重なって、台風を怖いものと感じてしまうのかもしれません。
猫が台風に恐怖を感じているときの行動

猫が恐怖を感じている場合、以下のような行動が見られます。
- 落ち着かない
- 隠れる
- 鳴く、うなる
- 爪とぎをする
- 小刻みに震える
- パニックになる
- おびえて耳が垂れる
- ごはんや水に口をつけない
- 嘔吐や下痢
- 攻撃的になる
猫は怖いと隠れてしまうことが多く、飼い主さんが怖がっていることに気づきにくいかもしれません。いつもと違う様子がないか注意して観察しましょう。
愛猫がいつもより攻撃的になったり、パニック状態がなかなか落ち着かなかったりする場合は、強いストレスがかかっている状態です。行動診療科の獣医師に相談しながら、改善に取り組むことをおすすめします。
猫が台風で落ち着かないときの対策・対応
まずは、猫の恐怖心が飼い主さんが対処できる程度のものなのかを見極める必要があります。
台風が来ているあいだは、いくら呼びかけても耳に入っていない様子の猫もいます。恐怖心から嘔吐したり、攻撃的になったりするようであれば、獣医師に相談することをおすすめします。
飼い主さんができる対策としては、次のようなものがあります。
安心できる場所をつくる
猫が恐怖を感じているときは、猫が自由に逃げ込めて、安心して隠れられる場所をつくってあげるとよいでしょう。
飼い主さんのベッドの下や、普段から使っているケージにブランケットをかけておくなど工夫してあげると、猫も安心して身を隠すことができます。
台風や雷を怖がって猫がケージに逃げ込んだときは、扉を閉めず、いつでも出入りできるようにしておきましょう。
扉を閉められて行動が制限されると、さらにパニックになってしまうおそれがあります。
雨戸やカーテンを閉めて、窓から離す
台風の音や、風で揺れる木の影は、猫にとって刺激になります。雨戸やシャッター、カーテンを閉めておくと、音と光の両方をやわらげることができます。
また、飛んできた物で窓ガラスが割れる可能性もあるため、安心できる場所は窓から離れた部屋につくるのが理想です。廊下側の部屋や、窓のない洗面所などが候補になります。
窓辺は猫のお気に入りの場所であることが多いですが、外の様子が見えることで、かえって興奮してしまうこともあります。台風のあいだは近づけないよう工夫しましょう。
停電に備える
台風では停電が起こることがあります。夏から秋にかけての台風では、エアコンが止まって室温が上がることが心配です。
保冷剤やクーラーボックス、電池式の扇風機、モバイルバッテリーを用意しておくと安心です。水を切らさないよう、複数の場所に多めに置いておくことも忘れずに。
自動給餌器や自動給水器を使っている場合は、停電で止まることを想定して、手動でも与えられるようにしておきましょう。
避難に備えてキャリーに慣らしておく
台風の被害が大きいと、避難が必要になることもあります。環境省は、災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」を基本としています。
怖がって隠れてしまった猫を、いざというときにすぐキャリーに入れるのは簡単ではありません。普段からキャリーを部屋に出しておき、中でおやつを与えるなどして慣らしておくと安心です。
台風が近づいたら、キャリーのほか、フードや水、トイレ用品、常備薬などをまとめておきましょう。脱走して迷子になったときに備え、首輪と迷子札をつけたり、マイクロチップの登録情報を確認したりしておくことも大切です。
飼い主さんは平然とする
猫は飼い主さんの様子にとても敏感です。飼い主さんが台風を怖がっていると、「やっぱり怖いものなんだ!」と余計に恐怖心をあおるおそれがあります。
反対に、安心させようと必死に抱っこしたり、かまったりするのも「いつもと違う!」と思わせてしまうため、飼い主さんはなるべく平然とし、優しく声をかけるようにしてください。
フェリウェイ スプレーを使用する
フェリウェイは、猫の顔から分泌されるフェロモンに似せた成分を使った、猫用のフェロモン製品です(日本ではセバ・ジャパンが販売)。個体差はありますが、使うことで落ち着く猫もいるかもしれません。
スプレータイプは、猫が隠れ場所に使うケージやキャリー、ブランケットなどに吹きかけて使います。
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| タイプ | スプレー |
|---|---|
| 内容量 | 60mL |
| 対象 | 猫 |
| メーカー | セバ・ジャパン |
猫の台風恐怖心の克服・緩和方法

台風への恐怖心をやわらげるには、行動療法や、獣医師による薬物療法という方法があります。
一般的に犬のトレーニングに利用されていますが、猫にも使える行動療法として、「系統的脱感作(けいとうてきだつかんさ)」と「逆条件付け」があります。この2つの方法を組み合わせることで、少しずつ苦手の克服を目指します。
系統的脱感作
系統的脱感作とは、猫が苦手なものをごく弱い刺激から与えて、徐々に慣らしていく方法です。
台風が苦手な猫に対して行う場合は、台風の強い風の音を小さな音量で流し、少しずつ音量を上げていくなどの方法があります。
逆条件付け
逆条件付けとは、苦手なことが起こっているときに、猫にとってうれしいことをすることで、苦手意識をやわらげる方法です。
たとえば、台風が来ているあいだにおやつをもらえたり、おもちゃで遊んでもらえたりすると、台風へのイメージが変わります。
系統的脱感作と逆条件付けの併用
系統的脱感作と逆条件付けは、同時に行うことでより効果が期待できます。
たとえば、台風の音が苦手な猫の場合、動画などで台風や豪雨の音を小さな音量で流しながら、おやつを与えたり、優しくなでてあげたりすることで、少しずつ音に慣れさせることができます。
ただし、これはあくまで台風の音に対するイメージを変える方法なので、気圧の変化や本能的な恐怖には、あまり効果がない場合もあります。
薬物療法
飼い主さんができる範囲の対策では、恐怖心を改善できないほど症状が重い場合もあります。そのようなときは、獣医師に相談してアドバイスをもらいましょう。
トレーニングで改善できる範囲なのか、それとも薬で不安をやわらげるのがよいのかを判断してもらうことが大切です。
重度の台風恐怖症の場合、飼い主さんが声をかけても効果がないことが多く、台風のたびに嘔吐や下痢、パニックになってしまいます。そのような場合は、獣医師の判断のもとで行う薬物療法も有効な選択肢です。
台風のとき、愛猫を外に出すのはNG

普段、猫を外に出している場合も、台風のときは屋外に出さないようにしましょう。
飛んできた物でけがをしたり、いつもと違う環境にパニックになって迷子になったり、強風で飛ばされたりするおそれがあります。
そもそも、猫には散歩の必要がないため、普段から完全室内飼育をおすすめします。
台風が過ぎたあとに気をつけたいこと
台風が去っても、猫の体と心にはしばらく影響が残ることがあります。次の3つはとくに見逃さないようにしましょう。
同居猫や飼い主さんに八つ当たりすることがある
猫には「転嫁性攻撃行動」と呼ばれる行動があります。怖いものや気になるものに直接手が出せないとき、そばにいた同居猫や飼い主さんに攻撃が向かってしまうという現象です。
猫を対象にした調査では、きっかけの約半数が「大きな音」でした。攻撃が向かう先は同居猫よりも飼い主さんのほうが多く、根底にあるのは怒りではなく恐怖だと考えられています。
大切なのは、無理に触らず、そっとしておくことです。暗く静かな部屋に水とトイレを用意して落ち着かせましょう。数分で収まることもあれば、数時間、場合によっては数日かかることもあります。
同居猫を攻撃してしまった場合は、落ち着くまで別々の部屋に分け、少しずつ再会させるのが基本です。タオルでそれぞれの体をこすって交換し、においを混ぜることから始めるとよいとされています。
なお、叱ったり罰を与えたりするのは逆効果です。恐怖や不安、攻撃性をかえって強めてしまいます。繰り返す場合は、行動診療科のある動物病院に相談しましょう。
おしっこのトラブルが出ることがある
猫には「特発性膀胱炎」という、はっきりした原因が見つからない膀胱炎があります。ストレスが関係していると考えられており、猫の下部尿路疾患のなかでもっとも多いとされています。
トイレに何度も行く、少しずつしか出ない、血が混じる、トイレ以外で排泄する、陰部をしきりになめるといったサインが見られたら、動物病院を受診しましょう。
とくに注意したいのが、オス猫の尿道閉塞です。オス猫は尿道が細長いため詰まりやすく、おしっこが出ないまま治療しないと、2〜3日で命に関わることがあります。「トイレでいきんでいるのに何も出ていない」ときは、夜間や休日でもすぐに動物病院へ連絡してください。
ごはんを食べない状態を長引かせない
台風のあいだに食欲が落ちるのはよくあることですが、食べない状態が続くのは猫にとって危険です。
猫は絶食が続くと、肝臓に脂肪がたまる「肝リピドーシス(脂肪肝)」を起こすことがあり、進行すると命に関わります。とくに太り気味の猫はリスクが高いとされています。
2日以上食べていない場合は、すぐに動物病院に相談してください。
さいごに

台風を怖がる猫は少なくありません。恐怖や不安がどのような行動に現れるかは猫によって異なり、合う対策も試行錯誤しながら見つけてあげることが必要です。
台風が来る前から備えをしっかりとって、愛猫が少しでも安心して過ごせるようにしてあげましょう。
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