猫が日向ぼっこ好きなのはなぜ?効果や熱中症などのリスクも紹介
見ているだけで癒やされる、猫の日向ぼっこ。猫はなぜ日向ぼっこが好きなのでしょうか? 日向ぼっこができないとビタミン不足になるという説がありますが、本当なのでしょうか? ただの寒さ対策になるというわけではなく、冬とは違って暑い季節は長時間の日向ぼっこが熱中症を引き起こさないか心配な方もいると思います。今回は、そんな猫の日向ぼっこについて解説します。
猫が日向ぼっこを好きな理由
猫はよく日向ぼっこをしていますが、なぜそんなに日向ぼっこが好きなのでしょうか。
1. 暖かい場所が好き
猫はあまり寒さには強くなく、暖かい場所の方を好む動物です。現在、人間と一緒にペットとして暮らしているイエネコの祖先はリビアヤマネコといって、現在でも中東からエジプトの砂漠地帯に住んでいる小型の肉食獣です。もともと砂漠出身なので、猫は暖かく乾燥した環境に適応できる体を持っています。人間と一緒に暮らすようになって世界中に広まり、暮らす地域に少しずつ順応しているものの、もともと持っている体の構造はあまり変わっていません。そのため猫は暖かい場所を好み、体を温めてくれる日向ぼっこが大好きなのです。
2. 健康を保つため
猫は暖かい場所にいるほうが健康を保つことができます。また猫はあまり体力がない動物なので、日向ぼっこをしてのんびり過ごしながら体力を温存しているのです。猫はもともと砂漠地帯出身であるため、毛が犬などのように水分を弾くようにできていません。濡れることも猫は苦手なのです。本能で日向ぼっこをすることで毛を乾かし、菌の繁殖を防いでいます。そうすることで、皮膚病予防にもつながっていると考えられます。
また、毛を乾燥させるとノミやダニの繁殖も抑えられます。人間が布団を干す目的と似ていますね。完全室内飼育をしている猫にはノミやダニがついてしまうことはあまり考えられませんが、もし実際に猫にノミやダニが寄生してしまった場合は、獣医師に相談して駆虫薬を処方してもらいましょう。日向ぼっこは予防にはなっても、駆除することはできません。
猫は日向ぼっこでビタミンを生成する?
人間は皮膚に紫外線を浴びることでビタミンDを生成していますね。巷では、猫も同じように日光に当たることでビタミン Dを生成しているので、日向ぼっこは効果があり必要不可欠であるといわれることもあるようですが、これは都市伝説のようです。人間や草食動物は紫外線を浴びることによってビタミンDを生成することができるのですが、犬や猫は紫外線を浴びてもビタミンDを合成することはできず、食事から補給する必要があります。
ただし、全く日向ぼっこができないような生活を送ることは猫のストレスになり、それが病気の原因になることは考えられます。暖かい場所でゆったり過ごすことが大好きなのに、それがままならない生活を強いられるということは猫にとって健康的な生活とはいえないでしょう。
「日向ぼっこができない=病気になる」とはいえないかもしれませんが、猫がゆっくり日向ぼっこができる環境を提供してあげることは、猫の健康を守ることにつながるのではないでしょうか。
猫を上手に日向ぼっこさせるために
猫を上手に日向ぼっこさせる方法をご紹介します。
1. 時間はどのくらい?
日向ぼっこをしないと生成できない栄養素があるわけではないので、「〇〇分以上の日向ぼっこが必要」という基準があるわけではありません。猫にとって安全な環境であれば、猫が気が済むまで日向ぼっこをさせてあげてもいいでしょう。2. 日向から移動できる場所がある
いくら日向ぼっこが好きといっても、窓辺から動けないなど行動範囲を制限させてしまうと、日差しが強い真夏などは熱中症などのトラブルを招く恐れがあります。猫が「暑いな」「眩しいな」「どこかに隠れたいな」と感じたら移動できるよう、通路は確保してあげましょう。猫をケージに入れっぱなしにして長時間日向に置きっぱなしにするなどの行為は、絶対に避けましょう。3. 水をすぐに飲めるようにする
猫はかなり暑い日でも、日向ぼっこを好むことが多いようです。猫は砂漠出身なのであまり水を飲まない傾向がありますが、脱水症状にならないようにいつでも水を飲むことができる環境を用意してあげましょう。猫は冷たいものではなく温かい物を好むので、飲み水もぬるま湯程度の温度のものを好みます。猫のためを思って水に氷を入れてあげたりする飼い主さんがいますが、これは逆効果で猫が水を飲まなくなりますので、真夏であってもあまり冷しすぎないようにしましょう。
筆者の経験では、少し高い場所にある日向の水飲み場は猫に人気です。猫が日向ぼっこをよくする場所の近くに水を置いてあげるといいですね。
4. 窓辺に猫の居場所を作る
猫は外の様子を観察するのも好きなので、窓辺にいるときは日向ぼっこだけではなく、外を眺めている可能性もあります。猫が好きな場所で好きなことをしてゆっくり過ごすことができれば、ストレスが軽減され猫の健康が維持されます。出窓などがあれば便利ですが、なくても窓際に場所を作ってあげることは可能です。筆者は窓の近くにちょうど良い高さのテーブルを置き、その上に猫用のベッドを置いてあげて出窓の代わりにしてあげています。2段以上のケージを窓辺に置き、猫が自由に出入りをできるようにしておいてもいいですね。
猫の日向ぼっこで気をつけることは?
猫が日向ぼっこをする際に気をつけてあげたいことがあります。
1. 熱中症
暑さには比較的強い猫ですが、熱中症にならないわけではありません。特に湿度が高く、気温が高い日本の夏には猫も熱中症を発症するリスクが高くなります。猫は多少暑くても日向ぼっこを続ける傾向があり、その最中に熱中症になってしまうこともあります。猫が熱中症にならないようにするには以下のような対策をとるといいでしょう。
- クーラーで室温の管理をする(28度程度に設定)
- レースのカーテンをつけることによって直射日光を避けるようにする
- 水をすぐに飲める環境を作る
特に猫は、水が冷たかったり遠い場所にあったりなど少し気に入らない点があると、水を飲まないことがあります。猫がお気に入りの日向ぼっこの場所から動きたらたがらないときには、日近くに飲み水を用意してあげるといいでしょう。
日向に置いた水は水温もぬるくなり猫が好んで飲んでくれます。ただし、赤カビなどが発生しやすいので、毎日水を替えて器をきれいに洗ってあげてください。
2. 高層症候群
「猫の高層症候群」とは猫が2階以上の高い場所から落ちて怪我をしてしまうことをいい、「キャット・フライング・シンドローム」とも呼ばれます。猫は高い場所から飛び降りることができますが、建物の2階以上の高さから落ちてしまうことは普通のことではありません。なぜ数十メートル以上の高さから突然飛び降りてしまうのかの原因は、はっきり分かっていませんが、いくら猫といってもそんな高さから飛び降りれば死んでしまいます。
猫にとってお気に入りの場所だったとしても、2階以上のベランダやバルコニーからは出さないようにしましょう。猫は高い場所から落ちても平気だと思っている人もいますが、そのようなことは決してありませんし、重傷を負ったり最悪の場合、命を落としてしまう可能性もあります。
そうなってしまえば取り返しがつきませんし、飼主さんも一生後悔することになってしまいます。猫の日向ぼっこは安全な場所でできるようにしてあげてください。
3. 紫外線
皮膚がんを気にして紫外線対策している方も多いと思いますが、猫も同様に皮膚がん(扁平上皮癌)になる可能性があります。猫は頭や首の色素の薄い部位に発生する傾向があり、特に白猫に注意が必要です。窓ガラスにUVカット機能のあるシートを貼ったり、窓ガラスそのものをUVカット機能のあるものにしたりするといいでしょう。