猫もしゃっくりをする? 嘔吐の前触れとの違いなどを獣医師が解説

猫もしゃっくりをする? 嘔吐の前触れとの違いなどを獣医師が解説

突然「ヒック!」という音とともに始まるしゃっくりは呼吸もしづらくなりますし、不快ですよね。実は猫でもしゃっくりはみられます。病的なものはほとんど知られていませんが、嘔吐の前触れと間違わないようにすることが大切です。しゃっくりのような呼吸が止まらない、毎日続くような場合は動物病院での受診をおすすめします。今回は猫のしゃっくりについて獣医師の福地が解説します。

猫のしゃっくりとは

下を見る猫

しゃっくり(医学用語で吃逆・きつぎゃく)は横隔膜が本人の意思に関わらず痙攣を繰り返した後に急にのどの声門が閉まることで空気の流れがストップすることで起きる現象です。

人では声門が閉じ空気の流れが止まる時に「ヒック」という特徴的な音がしますが、猫では横隔膜の痙攣により体が規則的に上下に動いているのが主で、「ヒック」という音は聞こえない場合が多いです。

参考:猫のしゃっくりの動画

しゃっくりが出る理由

猫のしゃっくりが出る原因について詳しくは明らかになっていません。しゃっくりと断言は困難ですが、「水を飲んだ後」や「激しい運動の後」、子猫の場合だと「ミルクを飲んだ後」にしゃっくり、もしくはゲップやくしゃみ、咳といったしゃっくりに似た呼吸が出やすいと考えられております。

人間においては一般的に「食べ過ぎ」や「炭酸飲料の摂取」「空気を飲み込んでしまう」「胃の温度の急激な変化」「飲酒」によって生じるとされています。

病的なしゃっくりも人間では知られており、以下などのさまざまな原因が挙げられています。

考えられる原因(人間の場合) 詳細
中枢神経の障害 脳炎や外傷など
横隔神経の刺激 咽頭喉頭炎、鼓膜の刺激、頸部腫瘍
消化管疾患 胃炎、胃潰瘍、膵炎、食道拡張、食道炎
胸腔内疾患 肺炎、胸膜炎、リンパ節腫脹、縦隔炎、胸部外傷
心疾患 心筋炎、心膜炎
中毒、代謝性疾患 アルコール、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、低酸素、尿毒症
手術後 全身麻酔、気管挿管、胃拡張、内臓伸展、頸部伸展
一部の薬剤 バルビツレート、ジアゼパム
精神的な問題 ストレス

また、猫の場合は実験において喉の奥(鼻咽頭部)を物理的に刺激することでしゃっくりと同じ動きを必ず誘発できることが証明されています。なお、その実験ではしゃっくりは「急激な空気を吸う力と、声帯の閉鎖による動き」と定義されています。

間違いやすいしゃっくりと嘔吐の前触れ

猫アップ

横隔膜の動きだけでなく「コポッコポッ」という音がする時はしゃっくりではなく嘔吐の前の動きです。

猫はもともと嘔吐や吐き戻しの多い動物ですが、1日のうちに何度も嘔吐したり嘔吐する動作が見られたり場合は異物による消化管の閉塞や膵炎など重篤な内臓の病気が隠れていることもあります。

正確に状況を把握するために動画を撮影しておくと、診断の役に立つことがあります。


猫のしゃっくりの止め方

窓辺の猫

猫のしゃっくりは通常すぐにおさまるものなので特に受診が必要なものではありません。しかし数十分も継続するようなものは異常であり、またしゃっくりではなく嘔吐など別の症状の場合もあるので動物病院への受診をお勧めします。

人間においては以下のものが知られており、実験において猫が人のしゃっくりのモデルになると実証されているので同様の効果が期待できると考えられます。

  1. 迷走神経を刺激するためにまぶたをやさしく圧迫する(弱い力で十分です)
  2. 喉元をやさしく撫でる(鼻咽頭への刺激)

猫では人と薬物代謝が異なるため有効かは検証が必要ですが、人間では以下が難治性のしゃっくりの治療薬として使用されていますので参考程度に留めてください。

  • クロルプロマジン(抗精神薬)
  • メトクロプラミド(消化管運動改善薬)
  • バクロフェン(抗痙縮剤)

しゃっくりは一時的なものです

長毛の猫

猫におけるしゃっくりはほとんど一時的なもので、お腹が上下に規則的に動いているのが数秒〜数十秒ほど継続するという場合がほとんどです。

「コポッ」という音がしたり、そのまま吐いてしまったり時はしゃっくりではなく嘔吐なので、そういった行動が何回も見られる時は獣医師に相談してみてください。

参考文献

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