熊本地震に学ぶ、ペットの同行避難対策 災害が起こる前の備えを

熊本地震に学ぶ、ペットの同行避難対策 災害が起こる前の備えを

東日本大震災ならびに熊本地震で被災された皆さまに心からのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。今回は、私が熊本の被災地で見聞きしたことをもとに、自然災害が相次ぐ日本で「自分と家族同然であるペットが被災したときの対応」について、この場を借りて少しだけご紹介させていただければと考えております。

益城町でのペット連れ被災者への支援活動

6月上旬の「再春館ヒルトップ」の災害避難用テント
6月上旬の「再春館ヒルトップ」の災害避難用テント(筆者撮影)

2016年4月14日から相次いで発生した、熊本県熊本地方を震源とした地震による熊本県の被災状況は、建物被害が全壊7693棟、半壊2万2982棟、合わせて3万675棟に上り、地震発生から2カ月が経過した現在でも、123カ所の避難所で6259人の方が避難生活を送っている状態です(2016年6月16日時点の内閣府の発表に基づく)(※)



6月上旬、私が何の予備知識もなく、友人のつてでお手伝いに入った熊本県益城町のとある避難所。そこは、ペット連れの世帯を対象として支援にあたっている現場でした。

この避難所は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが、公益社団法人Civic Force(シビックフォース)アジアパシフィックアライアンスとチームを組んで運営にあたっているもので、5月10日時点で、益城町総合体育館の広場および再春館製薬所の広場「再春館ヒルトップ」の2カ所に設置しているテントに、合計58世帯203人とペット87匹が入居していました。

6月からはユニットハウスの設置が進み、梅雨入りした4日も急ピッチでユニットハウスの設置と、被災者の受け入れ準備作業が進められていました。

雨がひどくなる前にテントからの引っ越しを済ませることができ、ペットと一緒に入居を完了された方のホっとした顔が印象的でした(現地の様子はピースウィンズ・ジャパンのウェブサイトでもご覧いただけます)。

設置が進むユニットハウス
設置が進むユニットハウス(筆者撮影)

東日本大震災後のガイドライン整備

佇む猫

この益城町での経験を通して浮かんだ疑問は、「どこで災害に巻き込まれるかわからない昨今、被災した際に誰もがペットと一緒に過ごせるのか」ということでした。

国は飼い主とペットが共に避難する「同行避難」を推奨していますが、行政機関の避難所では別々の避難を余儀なくされることが多いようで、益城町でも同じ現状とのことを耳にしました。

そこで調べてみると、東日本大震災を契機に、被災時のペット対応にかかる制度の整備が、環境省を中心として進んでいることがわかりました。

東日本大震災でのペットの被災状況や対応状況を受けて、環境省は2013年に「同行避難」を推奨する「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。

ガイドラインでは、災害時には飼い主の安全確保を前提に、ペットが飼い主と一緒に避難できるよう、飼い主、自治体、地方獣医師会、民間団体など、各主体の役割を平時と災害時ごとに整理しているものです。


災害が起こる前に対策を

ガイドラインの「全体版」は約140ページに上りますが、「一般飼い主編」として20ページ程度の抜粋版も作成されています。その中でまとめられている、飼い主が行うべき対策を下表でご紹介します。

飼い主が行うべき対策の例
平常時 災害時
  • 住まいの防災対策
  • ペットのしつけと健康管理
  • ペットが迷子にならないための対策(マイクロチップ等による所有者明示)
  • ペット用の避難用品や備蓄品の確保
  • 避難所や避難ルートの確認等の準備
  • 災害時の心構え
  • 人とペットの安全確保
  • ペットとの同行避難
  • 避難所・仮設住宅におけるペットの飼育マナーの遵守と健康管理

出典:環境省(2013)「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」より抜粋



こう見ると、災害時に飼い主とペットが同行避難を行う上では、災害時よりも平時、つまり日常の中で対策を行っていく必要性が整理されていると言えます。

また、2013年9月には改正動物愛護管理法も施行され、都道府県が策定する動物愛護管理推進計画に、災害時の対応についての記載をすることが求められており、受け入れ側の体制整備の充実が期待されます。

なお、各自治体の防災計画内での記載状況は、環境省が「防災計画等における動物愛護管理の記載状況」にとりまとめており、各自治体の対策内容がご確認いただけます。

東日本大震災でのペットの被災状況や対応状況、グッドプラクティス集については「東日本大震災におけるペット対応」として、環境省のウェブサイトにとりまとめられています。

(1) 災害時における動物の適正な飼養及び保管に関する施策を、動物愛護管理推進計画に定める事項に追加する(第6条関係)。
(2) 動物愛護推進員の活動として、災害時における動物の避難、保護等に対する協力を追加する(第38条関係)。

まとめ

座る犬と飼い主

ここまで見てきたように、国や都道府県等の各自治体では、ペットの災害時の対策および各自治体の計画に組み込まれ始めており、被災者とペットの「同行避難」を受け入れる側の体制整備は進んでいると言えます。

一方で、私も含めてこの制度整備が進んでいる現状を知らない方が多いのではないかと考えています。ここでお伝えしたかったことは、飼い主側でも、もしもの時にどう対応するかの備えがあれば、ペットと飼い主が供に避難することが可能なように支援するこれらの制度が生き、災害時も落ち着いて対応できるのではないかということです。

後半は法律やガイドラインの話が中心となったため、少し小難しくなってしまいましたが、もしもの時に、家族同然で暮らすペットたちと離ればなれにならないために、災害時の対応や日々の備えについて、少しだけご紹介させていただきました。

※写真提供:特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパン




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