【ペットの防災:避難編】災害時、ペットと安全に避難するために。同行避難・在宅避難や注意点などを紹介
いつ起こるかわからない地震や台風などの災害。日常生活が送れなくなったときを想定してペットとの避難について考えておく必要があります。今回は知っておきたいペットとの避難の種類(同行避難・同伴避難・在宅避難・車中泊避難)やメリット・デメリット、避難所で起こりうる問題を紹介します。自身と大切なペットにあった避難方法をこれを機にご検討ください。
避難所にペットは避難できる?
災害によって避難が必要になった場合は、ペットを連れて避難すること(=同行避難)が国によって推奨されていますが、ペットの受け入れ可否やペットの生活環境は避難所ごとに異なります。
2016年の熊本地震での避難所屋内でペットの受け入れが確認されたのは同行避難が確認された避難所の約3割弱でした。
その要因として、避難所屋内へのペットの受け入れが拒否されたことや他の避難者に配慮したことなどが考えられます。
大切なペットのことを考えるなら、安全を確保した上での「在宅(自宅)避難」「車中泊避難」も有力な選択肢になり得ます。
ペットとの避難の種類
在宅(自宅)避難
自宅が倒壊や焼損、浸水などの危険性がない場合に避難所には行かず、自宅で生活を送る方法です。最大のメリットとして普段の生活と似た環境下で過ごすことができるため、ペットにとってストレスが少ないことが挙げられます。
一方、デメリットとしては十分な備蓄品が必要なこと、ラジオやテレビなどがない場合、適切な情報収集がしにくいことが挙げられますが、事前の準備で補うことができます。
特に猫は環境の変化に大きなストレスを感じる動物のため、猫と暮らしている方は在宅避難を想定して備えることをおすすめします。
車中泊避難
車中泊避難は避難生活に自家用車を使用する方法です。メリットとして「自宅避難の次にペットにストレスがかからないこと」「危険な場所から離れた場所に移動できること」が挙げられます。
一方、デメリットとして「車内の温度管理」「快適性」「排泄処理」が問題になることがあります。
車内の温度管理は、日よけやカーテンである程度対策ができますが、「快適性」や「排泄処理」は工夫が必要です。
狭い車内で同じ体勢で生活することが増えるためエコノミー症候群に注意し、排泄物は適切に処理しましょう。
その他注意点として、車中泊する場所が安全な場所であるかどうか、救助活動の妨げにならないかは検討する必要があります。
避難所へ避難(自治体)
避難指示があったり、自宅や自家用車での避難生活が危険な場合の手段です。避難所のメリットは「安全性が高い」「物資が手に入りやすい」「獣医師の支援が得られる可能性がある」ことが挙げられます。
特に被災時は、慣れない環境下での生活や飼い主さんの不安を感じ取ることによってペットが体調を崩しやすくなるため、獣医師がかけつけてくれる場合は大きなメリットになります。
一方、デメリットとして共同生活による「ストレスがかかりやすい」「清潔が保てない可能性がある」ことが考えられます。
また、避難所でのペットの受け入れ可否や程度は自治体によって異なるため、事前にお住まいの自治体に「避難所の所在地」はもちろん、「避難所でのペットの生活環境」「ペットを連れて行く際の注意事項」などを確認しておくことをおすすめします。
動物避難所の選択肢も
自治体以外でも「うちトコ動物避難所マップ」による全国各地に動物避難所をつくる動きがあります。自治体以外の避難所があれば分散避難が行われるため、飼い主以外の人にとっても、ペットにとっても安心が増えます。
うちトコ動物避難所マップのサイトから、「動物の種類」やお住まいの「都道府県」「市区町村」などを入力すると該当する避難所が表示されるようになっているため、お近くに動物避難所があるか確認してみましょう。
「うちトコ動物避難所マップ」公式サイト
「同行避難」と「同伴避難」の違い
「同行避難」が国によって推奨されていますが、そもそもの同行避難の意味や避難所によって使われることもある「同伴避難」についても紹介します。詳しくは次に説明しますが「同行避難」とは「行為」のことをいい、「同伴避難」とは「状態」のことをいいます。
同行避難
災害の発生時に、飼い主がペットと一緒に指定緊急避難場所等まで避難することをいいます。つまり、同行避難とはペットとともの安全な場所まで避難する行為のことを指します。同行避難したとしても、避難所によってはペットを受け入れ可・不可、受け入れるけど居住スペースは分けるなど対応が異なります。
同伴避難
同伴避難とは、被災者が避難所でペットを飼養管理すること(状態)を指します。ただし、同伴避難=ペットと同室で生活できるとは限らず、屋外でケージ管理だったり、屋内にペット用の部屋があったりなどペットの生活環境は避難所によって異なります。
ペットとの避難をめぐる問題
国レベルでは推奨されている「ペットとの避難」ですが、そこにはまだ問題が多く残っているのが現状です。
物資
人間用の物資でさえも不足する災害時。避難所にいたとしても、ペット用の物資は人間用の物資よりも手に入りにくくなります。水などの人と共有できる物資は、人の分も足りていないときに「ペットに分け与えるのか」という避難者同士のトラブルは過去の震災でもみられ、議論を呼びました。
そのため飼い主がペット用の備蓄をしておくことがとても大切です。
もしもの時に少しでも安心できるよう、人間と同じようにペットにも防災グッズの用意をしてあげましょう。
音・臭い
ペットの鳴き声や吠える声、そして臭いも、トラブルの原因になることがあります。避難所は動物好きな方ばかりではありません。トラブルにならないよう、しつけはしっかりとしておきましょう。
アレルギー
人によっては特定の動物にアレルギーを持っている場合もあります。アレルギーの程度はさまざまなものがありますが、どの程度のアレルギーであっても、その人と動物を近づけないのが一番です。
重い症状になる場合もありますので、避難所でペットと過ごす場合はアレルギーに十分に留意しましょう。
ペットの体調にも心配りを
被災時は、慣れない環境下での生活や飼い主さんの不安を感じ取ることによってペットが体調を崩しやすくなります。いつも以上にペットの体調に配慮して、異常を感じたら記録し、獣医師に相談できるようにしましょう。
ペットを守るために必要な避難・防災準備
グッズ
災害へ備えることは、ペットたちのストレスを最小限に抑えるだけでなく、災害時でもペットの健康や安全を守ることにつながります。定期的にペット用防災グッズの点検や補充を行い、災害への備えを万全にしましょう。
必需品 | ペットの非常食 | 5日分以上 |
---|---|---|
ペット用の水 | 5日分以上 | |
フードボウル | 1点 | |
薬・療法食 | 5日分以上 | |
リード・ハーネス | 1つずつ | |
ペット用キャリー | 1点 | |
ペット用トイレグッズ | 5日分以上 | |
ビニール袋・マナーポーチ | 1点ずつ | |
防災手帳 | 1点 | |
迷子札 | 1点 | |
ペットの写真 | 1枚 | |
あると役立つもの | 布類 | 1枚以上 |
靴 | 1点 | |
お気に入りのおもちゃ | 1点以上 | |
ボディシートや水のいらないシャンプー | 1点以上 | |
アルミシート | 1枚以上 | |
ガムテープ | 1点以上 |
\ペトコトおすすめの非常食/
ペトコトフーズの非常食は、栄養学の専門獣医師が作ったレシピをもとに、国産食材を使った人も食べられる品質の犬の総合栄養食。
冷凍庫が使えない停電時や避難所でもご利用いただけるように、常温で2年間保存ができるレトルトタイプを開発。水分量の多いウェットタイプのため、飲み水が不足しがちな避難生活の環境下でも効率よく水分補給が可能です。
PETOKOTO FOODSでは、常温で2年間保存できる犬用の非常食も用意しています。まだ準備できていなければご検討ください。
犬用非常食を購入する
しつけ・トレーニング
被災時に大切なのは「必要以上のストレスを与えないこと」「安心できる環境を与えてあげること」です。想定される事態への耐性をつけておくことで、必要以上のストレスを回避することができます。
犬猫共通 | クレートの中で落ち着いて過ごせる「クレートトレーニング」 |
---|---|
犬 | 人や環境に慣れさせる |
犬 | 名前を呼んだら戻ってくる「呼び戻し」 |
猫 | リードやハーネスに慣れさせる |
「クレートトレーニング」と「呼び戻し」のトレーニング方法は、以下の関連記事をご覧ください。
ペットとの避難を考えることはペットを守ること
ペットと暮らしていると気になる、非常時の避難の問題。
災害や避難を体験したことのない方は想像しづらいことですが、もしもの時にご自身とペットが少しでも安心して過ごせるよう、十分に備えをしておきましょう。
参考文献
- 環境省『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』
- 環境省『熊本地震におけるペットの被災概況』
- 環境省『人とペットの災害対策ガイドライン』