犬のおしっこの量が多い場合に考えられる原因や病気を獣医師が解説

一般的に正常な犬の1日の尿の量は、およそ体重1kgあたり25〜40mlといわれています。これは水を飲む量によって大きく変動します。水を飲む量が増え、尿量が増える状態を「多飲多尿」といい、病気のサインです。今回は、犬のおしっこの量が異常に多い場合に考えられる原因や対処法を、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。

犬のおしっこの量が多い場合に考えられる原因

水を飲む犬

細菌感染

細菌感染により飲水量が増加することがあります。

代表的な疾患としては、避妊手術を行っていない女の子の病気で、子宮に膿が溜まる「子宮蓄膿症」という病気があります。

このような細菌感染の場合は細菌がつくる毒素の影響や、感染による体温の上昇が原因で、よく水を飲むようになり、尿量が増加します。

腫瘍

腫瘍、とくに悪性腫瘍(いわゆる「ガン」)では腫瘍がつくる炎症に関連した物質やホルモンの影響を受けてよく水を飲むようになり、尿量が増えることがあります。


内分泌疾患

いわゆるホルモンの病気です。

犬では副腎の病気(副腎皮質機能亢進症:クッシング症候群)や、糖尿病が一般的に尿量が増える病気として有名です。


腎臓病

主に慢性腎不全で尿量が増えることがあります。腎臓の機能が低下することで、薄い尿がたくさん排泄されるためです。そのため、脱水も起こしやすくなります。


心因性多飲

ストレスや不安、葛藤などの心理的な問題があるときに、大量の水を飲むことで精神の安定をはかろうとする病気です。

ストレスがかかっている原因はさまざまですが、生活環境を見直したり、散歩・遊ぶ回数を増やしたりすることが必要かもしれません。

犬のおしっこの量が多い場合の応急処置・予防方法

ベッドの上の犬

飲水をしっかりさせる

水を飲む量が増えている動物というのはおおよそ飲水制限をかけると状態の悪化を招きます。あまりにも大量の水分を摂取する場合は「水中毒」に注意しなければなりません。

もし、大量に水を飲む場合には普通のお水よりもイオンバランスの取れたスポーツ飲料を薄めたものを飲ませてください。

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飲水量と尿量を把握する

愛犬の状態を把握するためにも、一日にどれくらい水を飲み、どれくらい排尿しているのか調べてみてください。また、病院へ行ったときも、この数字が参考になります。

<飲水量の量り方>

  1. 給水時に、計量カップを使用して与えるお水の量を量る
  2. その次に飲んだあとの残りをまた計量カップを用いて量る
  3. (与えた水の量)-(残した水の量)=(飲んだ水の量)を計算する
注意点 目安は飲水量が体重1kgあたり1日で100mlまでですが、ただし、これは食事がドライフードの場合です。

ウェットフードを与えている場合は、フードに含まれる水分を考慮しなければなりません。例えば、10kgの犬の場合、食事の中の水分も含めて1日で1000ml(1ℓ)を超えることがあれば異常となります。


<尿量の量り方>

  1. 愛犬のトイレ全体にスノコを置く
  2. その下に吸水性のないビニールなどを置き、排尿させる
  3. 排尿後に尿を集め、計量カップなどで測定する
注意点 正常な犬の1日の尿量は、およそ体重1kgあたり25〜40mlですので、その量と比較し、明らかに多い場合は異常です。

生活環境の見直し

病気ではない場合、過度なストレスがかかってないか、生活環境を見直すことも重要です。お留守番を長時間させていないか、散歩時間は適当か、一緒に遊ぶ時間を作っているかなど、愛犬が不満に思っていることはないか振り返ってみましょう。

犬のおしっこの量が多い場合は原因をまず考えましょう

笑顔の犬

尿量・飲水量の増加は「多飲多尿」といい、病気のサインです
原因はさまざま考えられます
できる限り、1日あたりの愛犬の尿量・飲水量を把握しましょう

日頃から、尿の色や頻度、量、匂いなどを確認することが大切です。異変を感じたら動物病院に相談するようにしましょう。