猫の近くでタバコ吸っても大丈夫?寿命への影響や誤飲の対処法について解説

猫の近くでタバコ吸っても大丈夫?寿命への影響や誤飲の対処法について解説

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タバコは猫にとって非常に危険です。タバコ自体をかじったり灰をなめたり、誤飲で食べてしまうと死に至る可能性もあります。今回はタバコの危険性や誤飲時の対処法について解説します。

猫にとってタバコの煙は危険

タバコ

猫がタバコの煙を吸ってしまった場合、喘息になったり、がんにつながったりする可能性があります。猫が健康に暮らすためにも、「タバコは猫のいない部屋で吸う」「タバコは必ずベランダで吸う」などのように、ルール作りをすることを推奨します。

喫煙者と暮らす猫はがんのリスクが2〜3倍に

私たち人間では受動喫煙によってがんのリスクが高まることは一般的に知られていますが(※1)、猫でも同じだったようです。アメリカのタフツ大学とマサチューセッツ大学の研究チームによって喫煙者の有無が猫の悪性リンパ腫(血液のがん)と関係があることが報告されています。

報告によると、喫煙者がいる家庭の猫はいない家庭の猫と比べて悪性リンパ腫のリスクが2倍になっていたそうです。そのリスクは条件によっても異なり、5年以上タバコの煙にさらされていた猫のリスクは3倍、喫煙者の数が多くなるほどリスクも高まりました(※2)

※参照1:「受動喫煙による日本人の肺がんリスク約1.3倍」(国立がん研究センター)、参照2:「Environmental Tobacco Smoke and Risk of Malignant Lymphoma in Pet Cats」(American Journal of Epidemiology)


喘息

猫がタバコの煙を吸い込むこと、「猫喘息」を発症する恐れがあります。猫喘息になってしまうと、過呼吸になってしまったり、タバコに含まれている一酸化炭素の影響で体内の酸素が足りなくなり、唇やはぐきが青色に変化したりします。事態が悪化してしまうと、泡を吹き出して倒れてしまう子もいます。

その他の呼吸器系の問題

猫がタバコの副流煙を吸うことによって発症してしまう可能性のある病気は喘息だけではありません。受動喫煙によって、肺気腫や肺炎などの病気になってしまう可能性もあります。

タバコの危険性

猫

タバコ1本あたりに含まれる有害物質の量はそれぞれの銘柄によって異なりますが、いずれのタバコも主成分は三大有害物質と呼ばれている「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」で構成されています。

ニコチン

ニコチンは依存性が非常に高い物質です。たばこを吸うと気分が落ち着き、たばこが手元に無いとイライラしてしまう人は「ニコチン中毒」を発症している恐れがあります。ニコチンは中毒症状の他にも、血管の収縮や血圧の上昇などを引き起こす恐れがあります。

タール

タールは特定の物質のことではなくて、目に見えない粒子状の物質の総称です。タールは発がん性が非常に高い物質です。また、粘り気が強くて、たばこを吸っている人の歯が茶色に変化しているのもタールの影響によるものです。たばこ1本あたりに含まれるタールの量は微量ですが、たばこを毎日20本吸い続けた場合、1年間でコップ1杯分(180ml)のタールを摂取することになります。

一酸化炭素

血液中にあるヘモグロビンは、肺から取り込まれた酸素を全身に届ける役割をしています。しかし、たばこに含まれている一酸化炭素は、ヘモグロビンと結合して、ヘモグロビンの機能を低下させてしまいます。その結果、体内に必要な分の酸素が十分に行き渡らなくなってしまい、動脈硬化や神経症状を引き起こしてしまう可能性があります。

参照:健康福祉局

猫がタバコをかじってしまった時の対処法

猫

猫は好奇心旺盛な生き物なので、目の前にタバコが置いてあれば、オヤツやおもちゃと勘違いをして噛んでしまうかもしれません。当たり前ですが、タバコに含まれているニコチンは人間だけでなくて、猫にとっても悪影響な物質です。猫がタバコを噛んでしまうと、病気になったり、死に至ってしまったりする可能性があります。猫を飼っている喫煙者の方は、必ずタバコを猫の手の届かない場所にしまうようにしてください。

万が一猫がタバコを誤飲・誤食してしまった場合は、獣医師が的確な判断をすることが重要です。そして、そのためには、飼い主さんが獣医師に対して猫の状況を適切に説明をする必要があります。動物病院に行ったらまずは、中毒物質の種類の特定と摂取経路を明らかにしてください。また、パッケージ(あるいは残っていた物質)を持っていくようにしましょう。タバコの致死摂取量は体重や状態によって変わるため、少しでも食べたり、舐めてしまったりした場合は直ちに獣医師に相談することを推奨します。

猫が吸い殻や灰を舐める前に

猫の手の届かない場所に灰皿を置いたつもりでも、猫は脚力に優れている生き物なので、飼い主さんの見ていないところでタバコの灰や吸い殻を舐めてしまう可能性もあります。やけどや吸い殻の誤食を未然に防ぐためにも、猫を飼っている喫煙者の方は蓋付きの灰皿を使用することをおすすめします。

猫はタバコの匂いが嫌い?

猫の写真

猫が苦手な匂いには、「アロマの匂い」「男性の汗の匂い」などの種類があって「タバコの匂い」もその一つです。猫は人間の約5倍の嗅細胞(匂いを感じ取る細胞)を持っています。そのため、私たちがタバコの匂いを「臭い」と感じている時は、猫もそれ以上に不快な思いをしていることが推測できます。

喫煙者の方は猫をはじめとする家族が嫌な思いをしないためにも、タバコは室外で吸うことを推奨します。何らかの理由で室外で吸うことがどうしても難しい場合は、換気扇の側で吸うようにしてください。ただし、近隣住民への配慮も忘れないようにしてください。


猫と安心して暮らすために

猫

猫がタバコの被害を被ることを防ぐための、一番の解決策はタバコを吸うことを止めることです。それが難しい方は、「タバコは必ず家の外で吸う」「タバコは自分の部屋以外では吸わない」などのようにルールを決めて、猫が不本意ながらにタバコの煙を吸うということがないように工夫を行ってください。また、タバコを吸った後は必ず手を洗ってから猫を触るようにしてください。飼い主さんが小さなことを気を付けるだけで、愛猫の健康と長生きにつながります。

参考文献