犬が甘噛みをする理由とは? 直し方やしつけ方について【トレーナー解説】

犬が甘噛みをする理由とは? 直し方やしつけ方について【トレーナー解説】

子犬の甘噛みはそれほど痛くないですし、許してしまう飼い主さんも少なくないと思います。しかし、子犬のうちにちゃんとやめさせるしつけをしておかないと、成犬になっても噛み癖として残ってしまい、他人や他の犬に怪我をさせてしまう可能性もあります。今回は、甘噛みをする理由や直し方について、ドッグトレーナーの西岡が解説します。

犬の甘噛みとは

木の棒を甘噛みする子犬

「甘噛み」とは、犬が人や他の犬に対して、本気ではなく加減して噛むことをいいます。犬は本気で噛んでいなくても、噛まれたほうは痛い場合もありますし、エスカレートしてどんどん噛む力が強くなる場合もあります。飼い主さんが問題行動と考え、「なんとかしたい!」と悩むことが多いケースの一つです。

甘噛みだから噛まれても大丈夫?

犬にとっては甘噛みのつもりでも、子犬の歯は細く、意外と痛いです。飼い主さんは「我慢できるレベル」「これくらいなら許しちゃう」と思っていても、犬に慣れていない子どもや他の人にとっては「かわいらしい甘噛み」ではなく、単純に「犬に噛まれた」としか思えない場合もあります。

甘噛みであっても、場合によっては腫れてしまったり、出血したりすることもあります。

甘噛みしやすい時期

甘噛みは生後1歳未満の子犬(パピー)の時期に見られる行動です。特に、乳歯が生えてくる頃や、歯が永久歯に生え変わり始める時期に見られます。歯の生え変わりは8カ月頃、遅くても1歳になるまでに終わります。

犬は1歳(大型犬の場合2歳)を過ぎると成犬とされます。遊び方もだんだん変わっていき、ボールやロープなどのおもちゃを使った遊びが多くなります。この頃には、子犬の頃に多かった甘噛みもほとんどしなくなります。

しかし、子犬の頃に正しい育てられ方をしていないと、成犬になっても甘噛みをする子になってしまうこともあります。時には寂しくて、構ってほしくて、甘噛みをする子もいます。飼い主さんに撫でられるのが嬉しくて、愛情表現として甘噛みをしたり、歯を当ててきたりすることもあります。

甘噛みをする理由

おもちゃを噛むシェットランドシープドッグ

歯がムズムズしてかゆい!

乳歯が生えてきたり、永久歯への生え変わりでムズムズするという理由があります。人はそういうとき、グラグラしてきた歯を自分の指で触ることができますが、犬はできません。そのため指で触る代わりに「何かを噛む」ということに繋がるのです。

遊びの一環

通常、子犬の頃は母親や兄弟と一緒にいるので、じゃれたり噛んだりして遊ぶことで、たくさんのことを学びます。犬同士の遊びの中で、噛む力の加減を知ることもあれば、時には母犬に怒られながら「どれだけ噛んだら痛いか」を教わります。そのため子犬の頃の甘噛みは、大人になるための学習の一環でもあるのです。

甘噛みの原因は飼い主さんにあることも

甘噛みのきっかけは、「歯がかゆい」、「飼い主さんの動く手足がおもちゃに見える」といったことがほとんどです。この甘噛みは犬として自然な行動ですが、甘噛みをされた飼い主さんの反応によって、その後の(飼い主さんが考える)問題行動のきっかけになってしまうことがあります。

例えば、こんな反応をしていませんか?

  • まだ子犬だし痛くないからと、手で遊んであげている
  • 甘噛みしてくる姿がかわいくて「かわいい!」と喜ぶ
  • 痛くて「痛い!」と手を引っ込める
  • やめさせようと「噛んだらダメ! 痛い!」と怒る

実はこれらの反応は、犬にとって「嬉しい・楽しい」行動になってしまいます。飼い主さんは怒っているつもりでも、犬は「噛めば構ってくれる」と勘違いしてしまいます。

犬の甘噛みは問題行動?

甘噛み自体は自然な行動なので、必ず通る道です。しかし、誰に対しても甘噛みをしたり、だんだんとエスカレートして加減がわからなくなったりしてしまうこともあります。それが問題行動となるのなら、飼い主さんは愛犬の甘噛みが「噛み癖」にならないようにしつける必要があります。


犬の甘噛みの直し方・しつけ方

おもちゃを噛むビーグル

甘噛みで悩んでいる飼い主さんは、以下の点に注意してみてください。

適切なおもちゃで遊んであげる

犬はおもちゃにして良いものと悪いものの区別ができません。例えば飼い主さんが、「この使い古したタオルは噛んでいいけど、新しいタオルは噛んじゃダメ」と区別したところで、犬には全然分かりません。そのため、こういった人間側の都合でしかないものを遊びに使うのはやめましょう。

飼い主さんが手に持って遊ぶロープのおもちゃは、長さに注意が必要です。飼い主さんはおもちゃで遊んでいるつもりでも、犬にとっては飼い主さんの手もおもちゃだと勘違いしてしまう場合があります。ロープだけでなく、犬のおもちゃには木やゴムでできたものなどたくさん種類があります。犬の好みに合わせながら、適切なおもちゃや遊び方で遊んであげるようにしてください。

無視することも大切

当たり前ですが、甘噛みされて飼い主さんが喜んでいたり嬉しそうにしていたりすれば、犬は「もっと噛んでいいんだ!」「ママもパパも楽しんでくれてる!」と勘違いしてしまいます。不快感を表現したとしても、犬にそれが伝わらなければ「噛めば構ってくれる!」と勘違いします。うまく怒れないときは、無視することでしつけましょう。

噛まれてもすぐに手を引っ込めない

犬は、動くもの、逃げるものを追う習性があります。飼い主さんは痛くて引っ込めたつもりでも、犬は遊んでもらっていると勘違いして余計に手を追いかけてくるようになります。また、噛まれたとき反射的に手を引っ込めるのは危ないのでやめましょう。

強く噛まれたときに同じように手を引っ込めると、鋭利な乳歯だと怪我をしてしまいます。どうしても口を開けてくれない場合は、おもちゃなどを使って他に気が向くようにしましょう。好きなおやつを使ってしまうと、「噛み続ければ大好きなおやつがもらえる!」と勘違いしてしまいますので注意してください。

叱るときは低く冷静に一言だけ

意外と難しいのが叱ること。犬は低い声のほうが「叱られている」と感じやすく、高い声は「褒められている」と感じやすいといわれています。そのため、特に女性の場合は声が男性に比べて高いので、叱ることが難しいです。叱るときはいつもより意識して、冷静に低い声で一言だけにしましょう。言葉に決まりはありませんが、「ダメ」「No」「いけない」などが一般的です。どちらにしろ、叱る方法は難しいのでおすすめしません。

よくある質問

木の棒を噛む子犬

甘噛みは飼い主さんから相談されることが多いです。その際によく聞かれる質問をご紹介します。

どうやっても治らないけど、どうすれば良いの?

先ほど紹介した方法で改善することもありますが、犬の性格や甘噛みの強さによっては一般の飼い主さんでは対処が難しいケースもあります。その際は、犬のためにも無理をせず、専門のトレーナーさんに相談してみることをおすすめします。

テーブルを噛むのはなぜ?

子犬の頃は何に対しても興味津々です。人は初めて見るものに対して、手で触って質感などを感じますが、犬の場合は舐めたり噛んだりして感じ取ります。それ以外にも、つまらなくて噛んでしまうことや、歯が痒くて噛むこともあります。

つまらなくて噛んでしまう場合は、何か別の理由でストレスが溜まっている可能性もあります。おもちゃで遊んであげたり、しっかり散歩をしてあげたりして、体力や遊びたい気持ちを発散させてあげることも大切です。そのほか、犬が噛んでもいいものを与えたり、机や椅子には舐めると苦いビターアップルなどを塗っておくという対策もあります。

きちんとしつけることも愛情

おもちゃを噛む柴犬

愛犬はかわいくて、ついつい甘やかしてしまいがちですが、犬のためにもしつけをすることは大切です。何が良い行動で何が悪い行動かを確認し合うことで、飼い主さんだけでなく犬にとっても生活が楽になり、絆も深まります。「甘噛みだから」と軽く考えず、先のことも考えてきちんと対処しましょう。

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