犬の蚊対策!犬フィラリア症(犬糸状虫症)の予防法を獣医師が解説
犬にとって夏は熱中症だけでなく、蚊を始めとする虫にも注意をしなければなりません。暖かくなると虫が活発化し、フィラリア症などの感染症を引き起こすことで、最悪の場合死に至る可能性があります。愛犬のためにも適切な対策をして、病気を未然に防ぎましょう。今回は犬の蚊対策について獣医師の佐藤が解説します。
犬が蚊に刺されたときの症状
症状という症状はありません。
犬も人と同じように蚊に刺されますが、刺された箇所が膨らんで痒くなるようなことがないため「見つけられない」といえるでしょう。
特に犬の場合、皮膚が毛に覆われているため、刺された箇所を見つけること自体が困難です。
蚊を媒介して発症する犬の病気
犬フィラリア症(犬糸状虫症)
フィラリア虫体(提供:たかお動物病院)
心臓内のフィラリア寄生(提供:たかお動物病院)
フィラリアとは、乳白色、そうめん状の線虫のことをいいます。
フィラリアに感染した犬の多くの初期症状は無症状ですが、「成虫の寄生数」「感染期間」で症状が異なることがあります。
感染期間などの要因が重なることにより「咳」「呼吸困難」「運動不耐性」、次に「腹水」「むくみ」などが現れ、最悪の場合には、喀血を伴って死亡します。
蚊刺症
蚊に刺されることにより起こるアレルギー性の皮膚炎です。ニキビのような丘疹(きゅうしん)という赤い膨らみや、発疹ができます。お腹などの毛が少ない部位に見られることが多いです。
愛犬が蚊に刺されないための予防策
薄手の洋服を着させる
蚊の予防策としては、人と同様に洋服を着せることです。なるべく、手足も隠れるものが理想ですが、夏なので、熱中症に気をつけましょう。防蚊素材の服がオススメです。
ペット用虫除けスプレーを使用する
アロマやハーブなどを原料にした、ペット用虫除けスプレーを使用することも1つの手です。アロマやハーブは薬剤ほど蚊が近寄らせない効果が強いとは言えませんが、ペットに使うには安心です。
一方、薬剤はペットには刺激が強すぎて体調が悪くなる可能性があります。植物由来成分の虫除けスプレーを使用することをおすすめします。
ペット用の蚊取り線香を使う
蚊取り線香は、動物用の蚊取り線香を使用し、製品の使用上の注意をよく読んでから使用しましょう。また、最近では虫取り・蚊取り機能のついた空気清浄機も販売されているため、そういったグッズの購入も検討してみてください。
動物用蚊取り線香
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犬のフィラリア症の予防方法
予防薬の摂取
フィラリア症にならないためにできることは「毎月1回の投薬」もしくは「年に1回の注射」です。この予防薬は、蚊に刺されることを予防するのではなく、すでに体に入り込んだフィラリアを駆除するという意味での予防薬です。投薬の直前までに、体内に入ったフィラリアを駆除します。
蚊がいなくなったように思えても、前回の投薬後にフィラリアの幼虫が体内に入っていれば、次の年にはフィラリアの虫が成長している可能性があります。
蚊がいなくなった季節も12月頃までは、投薬を継続するように心がけてください。
投薬の頻度
地域によって推奨される投薬期間は異なりますが、5月〜12月頃まで投薬を継続するようにしましょう。かかりつけの獣医師と、投薬期間の相談してみてください。
蚊に刺される可能性があれば、0歳から投薬をする必要があります。
【動画解説】フィラリア予防薬の本当の意味
YouTubeのPETOKOTOチャンネルでもフィラリアについて解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。まとめ
犬が蚊に刺され、赤く膨らむことはまれです
犬が蚊に刺されると、フィラリア症や蚊刺症を引き起こす恐れがあります
フィラリア症を予防するために「月に1回の投薬」もしくは「年に1回の注射」をしましょう
投薬期間は5月〜12月頃が目安です
人の蚊による媒介感染症を見てみると、世界的に有名なマラリアだけでなく記憶に新しいデング熱やジカ熱などがあります。
犬の場合も、このような未知なる感染症が無いとは言い切れません。日頃から愛犬の様子を観察し、何か異常を感じたら動物病院へ連れて行きましょう。
参考文献