
犬は鮭(サーモン)を食べても大丈夫!適切な与え方や含まれる栄養などを栄養管理士が解説
鮭は犬が食べても大丈夫な魚です。良質なタンパク質や脂肪酸が豊富に含まれており、栄養源として非常に優れています。鮭に含まれる栄養素や与える際に気をつけたいことについて、ペット栄養管理士が解説します。
犬は鮭(サーモン)を食べても大丈夫

鮭はタンパク質やEPA、DHAなどオメガ3脂肪酸、ビタミンDやビタミンBを含み、犬が食べても大丈夫な食材です。身が赤いことからマグロ、カツオなどと同じ赤身魚だと思われがちですが、実は白身魚です。
鮭の身が赤いのはカニやエビと同じ「アスタキサンチン」と呼ばれる色素を含むからで、アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングの効果が期待できます。
鮭(シロサケ) | サーモン(タイセイヨウサケ、皮付き) | |
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エネルギー | 160kcal | 270kcal |
タンパク質 | 29.1g | 24.5g |
脂質 | 5.1g | 19.7g |
カリウム | 440mg | 460mg |
EPA | 300mg | 470mg |
DHA | 550mg | 740mg |
ビタミンB12 | 6.0μg | 5.6μg |
ビタミンD | 39.0μg | 11.0μg |
※各100g当たり(焼き)、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)
カリウム | 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。 |
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EPA | 抗炎症作用があり、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、腹膜炎、大腸炎、歯周病などを緩和する効果があります(※1)。抗がん作用も期待され(※2)、腎不全など腎臓病の軽減につながると考えられています。 |
DHA | 中枢神経を保護する働きがあり、脳卒中や認知症の予防・改善効果が期待できます。子犬の成長に不可欠で、神経や脳膜、聴覚の正常な発達、知能を高めしつけやドッグトレーニングの能力向上にもつながります。 |
ビタミンB12 | 補酵素としてタンパク質の合成やエネルギーの産生をサポートします。神経機能や睡眠リズムを正常化する働きもあり、赤血球中のヘモグロビンの産生をサポートすることから、不足すると貧血につながります。 |
ビタミンD | 小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨や歯を丈夫にするのを助けます。不足することで骨格異常や体の麻痺、運動失調につながります。私たち人間は日光(紫外線)に当たることにより皮膚でビタミンDを合成することができますが、犬は十分にできないため食事で摂取しなければいけません。ただし過剰摂取は高カルシウム血症につながる恐れがあります。 |
※参照1:『小動物の臨床栄養学』、※参照2 「がんとEPA」(日本静脈経腸栄養学会)
鮭とサーモンの違いは?
鮭は、サケ科サケ属の魚で、正式名称は「サケ」、もしくは「シロザケ」です。回転寿司やお刺身などでサーモンと呼ばれているものは「タイセイヨウサケ」(アトランティックサーモン)、もしくは「ニジマス」(トラウトサーモン)です。名称には歴史的な経緯があるため詳細は割愛しますが、今回は同じサケ類の魚として紹介します。鮭(サーモン)の適切な与え方

加熱し、無添加で
油や塩、胡椒などの調味料は添加せずに、茹でるか蒸して与えましょう。鮭のフレークや缶詰など味付けされたフードは、塩分が多く含まれているため、与えてはいけません。与える量に注意
鮭を総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトコトオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。無料フード診断を受ける

皮は与えて大丈夫
鮭の皮には、豊富なコラーゲンが含まれています。コラーゲンは関節の滑りを良くする効果があるため、犬にとって健康的な食材です。切り刻んで与えると良いでしょう。白子も与えて大丈夫
鮭の白子の80%は水分でできており、犬が食べても問題ありません。白子に含まれる「アルギニン」という成分が、インシュリンの分泌を活発にするため、糖尿病や腎不全などの腎臓病予防にもつながると考えられています。
犬に鮭(サーモン)を与える際の注意点

アニサキスによる食中毒
天然ものの鮭には、寄生虫「アニサキス」よる食中毒の心配があります。刺し身として一般的に流通している鮭は養殖もので、寄生虫の心配はほぼありません。また、天然ものでも適切に冷凍処理されていればアニサキスは死滅しているので問題ありません。アニサキスは寄生した魚介類の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、胃壁や腸壁に刺入して嘔吐や激しい痛みを伴う食中毒(アニサキス症)を引き起こす恐れがあります。アニサキスは熱に弱いので、煮たり焼いたりすればほぼ死滅するといわれています。
参照:都内流通サケ・マス類からのアニサキスⅠ型(Anisakis simplex)第3期幼虫の検出状況(東京都感染症情報センター)
ビタミンB1欠乏症の恐れ
生の鮭は「チアミナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含有しています。少量では問題ありませんが、日常的に大量の生の鮭(チアミナーゼ)を摂取してしまうとビタミンB1が不足し、「ビタミンB1欠乏症」になる可能性があります。
ビタミンB1欠乏症の初期では食欲低下やよだれが多くなる症状が見られ、その後けいれん発作や神経・運動機能障害につながります。
早く治療を行えば回復が見込めるようですが、重症な伸筋硬直や昏睡状態になっても治療が行われなかった場合48時間以内に死に至る可能性が高いとされています。
アレルギーの可能性
食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。アレルギーの場合、以下の症状になる可能性が挙げられます。- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 元気がない
- 皮膚のかゆみ
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
まとめ

茹でるか蒸して与えましょう
皮や白子も与えて大丈夫
生で与えることは危険が伴う
味付けした鮭は避けましょう
人間にとって美味しい食材でも、犬にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!
参考文献
- Can Dogs Eat Salmon?」(American Kennel Club)
- アニサキスによる食中毒(アニサキス症)について」(厚生労働省)」

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