犬は鮭(サーモン)を食べても大丈夫!適切な与え方や含まれる栄養などを紹介【栄養士監修】
鮭は犬にとっても健康に良い食材です。良質なタンパク質や脂肪酸が豊富に含まれており、栄養源として非常に優れています。今回は、鮭に含まれる栄養素や、与える際に気をつけたいことについて、日本獣医生命科学大学の小田講師監修のもと紹介します。
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犬は鮭(サーモン)を食べても大丈夫
鮭はタンパク質やEPA、DHAなどオメガ3脂肪酸、ビタミンDやビタミンBを含み、犬が食べても大丈夫な食材です。身が赤いことからマグロ、カツオなどと同じ赤身魚だと思われがちですが、実は白身魚です。鮭の身が赤いのはカニやエビと同じ「アスタキサンチン」と呼ばれる色素を含むからで、アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングの効果が期待できます。
鮭とサーモンの違いは?
鮭は、サケ科サケ属の魚で、正式名称は「サケ」、もしくは「シロザケ」です。回転寿司やお刺身などでサーモン、トラウトサーモンと呼ばれているものはシロザケではなくサケ科タイヘイヨウサケ属の「ニジマス」です。名称には歴史的な経緯があるため詳細は割愛しますが、今回は同じサケ類の魚として紹介します。鮭(サーモン)の適切な与え方

加熱し、無添加で
油や塩、胡椒などの調味料は添加せずに、茹でるか蒸して与えましょう。鮭のフレークや缶詰など味付けされたフードは、塩分が多く含まれているため、与えてはいけません。与える量に注意
鮭を総合栄養食にトッピングしたり、おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができます。
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皮は与えて大丈夫
鮭の皮には、豊富なコラーゲンが含まれています。コラーゲンは関節の滑りを良くする効果があるため、犬にとって健康的な食材です。切り刻んで与えると良いでしょう。白子も与えて大丈夫
鮭の白子の80%は水分でできており、犬が食べても問題ありません。白子に含まれる「アルギニン」という成分が、インシュリンの分泌を活発にするため、糖尿病や腎不全などの腎臓病予防にもつながると考えられています。
犬に鮭(サーモン)を与える際の注意点

アニサキスによる食中毒
天然ものの鮭には、寄生虫「アニサキス」よる食中毒の心配があります。刺し身として一般的に流通している鮭は養殖もので、寄生虫の心配はほぼありません。また、天然ものでも適切に冷凍処理されていればアニサキスは死滅しているので問題ありません。アニサキスは寄生した魚介類の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、胃壁や腸壁に刺入して嘔吐や激しい痛みを伴う食中毒(アニサキス症)を引き起こす恐れがあります。アニサキスは熱に弱いので、煮たり焼いたりすればほぼ死滅するといわれています。
参照:都内流通サケ・マス類からのアニサキスⅠ型(Anisakis simplex)第3期幼虫の検出状況(東京都感染症情報センター)
ビタミンB1欠乏症の恐れ
生の鮭は「チアミナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含有しています。少量では問題ありませんが、日常的に大量の生の鮭(チアミナーゼ)を摂取してしまうとビタミンB1が不足し、「ビタミンB1欠乏症」になる可能性があります。
ビタミンB1欠乏症の初期では食欲低下やよだれが多くなる症状が見られ、その後けいれん発作や神経・運動機能障害につながります。
早く治療を行えば回復が見込めるようですが、重症な伸筋硬直や昏睡状態になっても治療が行われなかった場合48時間以内に死に至る可能性が高いとされています。
アレルギーの可能性
食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。アレルギーの場合、以下の症状になる可能性が挙げられます。- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 元気がない
- 皮膚のかゆみ
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
鮭(サーモン)に含まれる主な成分

DHA
オメガ3の不飽和脂肪酸の一つで、皮膚粘膜の健康を保ち脳の働きを活発にする役割があります。認知症予防にもなるので、積極的に取り入れたい栄養素の一つです。EPA
魚に多く含まれている不飽和脂肪酸です。EPAが血中に血栓ができるのを防ぐことで、血栓の詰まりが原因となりやすい心筋梗塞や脳梗塞になる確率の減少が期待できます。ビタミンA
「目のビタミン」とも言われ、白内障の予防や角膜の健康維持に重要です。また、皮膚や被毛の健康状態を保つ効果もあります。ビタミンD
カルシウムの吸収を助ける重要なビタミンです。犬にとってカルシウムを効率よく吸収することは、骨粗しょう症や骨折予防につながります。ビタミンE
抗酸化作用があります。過剰な活性酵素を除去することで老化や免疫力の低下を防ぐ働きがあります。まとめ

茹でるか蒸して与えましょう
皮や白子も与えて大丈夫
生で与えることは危険が伴う
味付けした鮭は避けましょう
人間にとって美味しい食材でも、犬にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!
この記事を監修した専門家
日本獣医生命科学大学
獣医保健看護学科
小田民美講師
日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科卒業。2014年3月、博士号取得。同年4月より同大学獣医保健看護学臨床部門 助教。2017年より現職。日本獣医生命科学大学付属動物医療センター動物看護師 兼務。動物看護師統一認定機構「認定動物看護師」。日本ペット栄養学会認定「ペット栄養管理士」。一般社団法人「日本動物看護職協会」理事。
参考文献
- Can Dogs Eat Salmon?」(American Kennel Club)
- アニサキスによる食中毒(アニサキス症)について」(厚生労働省)」