
犬のカロリー計算|年齢別の必要量や自動計算アプリなど栄養管理士が解説
犬のカロリー計算を知ることで、愛犬の1日に必要な食事量を知ることができす。でもRERやDER、係数など聞き慣れない計算式に戸惑う飼い主さんも少なくないはず。そこで子犬からシニア犬(老犬)まで年齢別の必要カロリーや、簡易的な自動計算アプリなど、ペット栄養管理士が解説します。#犬の食育
愛犬の最適カロリーを自動計算する方法

手作りごはんを与えたい方やおやつの適量を知りたい方、ダイエットで与えるフード量を正確に計りたい方など、愛犬の最適カロリー量を知りたい方にオススメなのがPETOKOTO FOODSの自動計算アプリ「フード診断」(無料)です。
生年月日や体型、活発な子かどうかなど10個の質問に答えるだけで、1日の最適カロリーを簡易的に知ることができます。
愛犬の最適カロリーを自動計算する

本記事では、ご自身でカロリー計算を行い方や、カロリー計算の考え方を知りたい方向けに、犬のカロリー計算について詳しく解説していきます。
カロリーとは
そもそもカロリー(calorie)とはラテン語で熱を意味する「calor」から名付けられたエネルギーの単位で、「1gの水の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー(熱量)が1cal」で、1kgの水の温度を1℃上げるのに必要なエネルギーが1kcalとされています。エネルギーは動物が生きるために欠かせないもので、犬も食事から三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)を摂ることでエネルギーを生み出し、余りを脂肪として体内に蓄えます。食べすぎると太るのは、この体の仕組みによるものです。
ステージごとに最適カロリーは異なる

犬の最適カロリーは犬種や性別、不妊去勢手術の有無や活動量によって変わってきますが、どの犬にも大きく関係してくるのがライフステージの変化です。
子犬期は体の発育のために成犬期と比べて2〜3倍のエネルギーが必要です。小型犬から大型犬までサイズによっても異なり、成長が早い小型犬はより多くのエネルギーが必要となります。逆に大型犬は摂りすぎにも注意が必要で、過剰なカルシウム摂取は骨の異常につながる場合があります(※詳しくは関連記事をご覧ください)。
小型犬だと6〜7歳、中・大型犬だと5〜7歳くらいでシニア期(老犬)に入り、基礎代謝や活動量が低下することで肥満になりがちです。その後、小型犬だと11歳、中・大型犬だと8歳くらいで老齢期(高齢期)となり、食べる量が減ることで痩せていきます。
犬のカロリー計算式

犬ごとの最適カロリーを簡単に知る方法として冒頭でPETOKOTO FOODSの自動計算アプリ「フード診断」(無料)を紹介しましたが、自分で計算したい方向けに、犬のカロリー計算式について解説します。
犬の最適カロリーを知るためには、まず「安静時エネルギー量」を計算します。
安静時エネルギー要求量(RER)の計算方法
安静時エネルギー要求量はRER(Resting Energy Requirement)とも呼ばれ、「正常な犬が常温環境で食事はするが動かない状態」で必要な1日のエネルギー量を意味します。RERは以下の計算式で求めることができます。電卓を使う場合は以下の手順で計算してください。
- 体重を3回かける(体重 ✕ 体重 ✕ 体重)
- √(ルート)を2回押す
- 70をかける
iPhoneの電卓アプリを使う場合は、画面を横向きにするとルート計算のボタンが出てきます。

Androidの場合は、画面右端の緑の帯を左にスライドするとルート計算のボタンが出てきます。

例えば3kgの犬のRERを求める場合は、以下のようになります。
- 体重を3回かける→3 ✕ 3 ✕ 3=27
- √(ルート)を2回押す→2.2795...
- 70をかける→159.5654...
これで3kgの犬のRERは約160kcalだということがわかりました。これはあくまで安静時のエネルギー要求量で、実際は動きますのでもっと多くのエネルギーを必要とします。そのため犬ごとに不妊去勢手術の有無や年齢などの違いを加味し、活動量に応じたエネルギーを足したものが「1日のエネルギー要求量」です。
1日のエネルギー要求量(DER)の計算方法
1日のエネルギー要求量はDER(Daily Energy Requirement)とも呼ばれ、以下の計算式で求めることができます。係数は以下の表を参照してください。
成長期 | 4カ月未満 | 3.0 |
---|---|---|
4〜9カ月 | 2.5 | |
10〜12カ月 | 2.0 | |
不妊去勢している成犬 | 1.6 | |
不妊去勢していない成犬 | 1.8 | |
高齢 | 1.4 | |
肥満傾向 | 1.4 | |
ダイエット中 | 1.0 | |
重篤・安静時 | 1.0 |
例えば3kgの去勢している成犬の場合、160 ✕ 1.6=256となり、1日に摂るべき最適カロリー量は256kcalであることがわかります。
摂取カロリーを抑えてダイエット

ダイエットが必要な子にはRERに掛ける係数を1.0〜1.4にして摂取カロリーを計算し、それに合った量のごはんを与えることで体重を減らすことができます。理想体重が決まっている場合は理想体重のRERを計算し、1.2〜1.4の係数を掛けるようにしてください。
例えば3kgで肥満傾向の犬の場合、DERは160 ✕ 1.4=224となり、224kcalが1日の最適カロリー量となります。100gで373kcalの総合栄養食を与えようとすると最適な給餌量は224/373 ✕ 100=60.0536...となり、1日に約60g与えることでダイエットができます。
パッケージの給餌量は目安
よく「パッケージに書かれている通りに与えたのに太ってしまった」という話を聞きますが、パッケージに書かれた「体重が◯◯kgの子には1日◯◯gを与えてください」という説明は、あくまで目安です。RERに犬ごとの係数を掛ける必要があったように、犬ごとに最適な食事量は異なりますのでご注意ください。理想体重を知るためのBCS
理想体重がわからないと、いつまでダイエット用の給餌量を続ければいいのか迷ってしまうと思います。そんな場合は、「ボディコンディションスコア」(BCS:Body Condition Score)を利用しましょう。以下の表を参考に、3の理想体型を目指してください。その時の体重が理想体重の目安になります。ダイエットの方法について詳しく知りたい方は、関連記事も参考にしてください。

参照:『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(環境省)
BCS1 | 痩せ | 助骨、腰椎、骨盤が容易に見え、触っても脂肪がわからない状態。腰のくびれと横から見た際の腹部の吊り上がりが顕著です。背骨がゴツゴツと見える場合もあります。 |
---|---|---|
BCS2 | やや痩せ | 助骨が容易に触れます。上から見て腰のくびれが顕著、横から見て腹部の吊り上がりも明瞭な状態です。 |
BCS3 | 理想体型 | 過剰な脂肪の沈着がなく助骨を触れます。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見た際は腹部の釣り上がりも見られます。 |
BCS4 | やや肥満 | 脂肪の沈着はやや多いものの、肋骨は触れます。上から見て腰のくびれはありますが顕著ではなく、腹部の釣り上がりはやや見られる程度の状態です。 |
BCS5 | 肥満 | 助骨は厚い脂肪に覆われて容易に触れません。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着しています。腰のくびれはないか、ほとんど見られません。横から見て腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている状態です。 |
体重の測り方やボディコンディションスコアの確認方法は、獣医師の佐藤先生にYouTubeで解説していただきました。ぜひ以下の動画を参考にしてください。
1日に与えていいおやつの量

DERは総合栄養食を与えることを前提にしていますので、与えていいおやつの量については別で考える必要があります。おやつを与えたい方は、DERの10%以内を目安にしてください。
例えばDERが256kcalの犬にバナナをおやつとして与えたい場合、バナナ100gで93kcalですので256/93 ✕ 100=27.5268...となり、約28g以内なら与えても大丈夫です。一般的なバナナ1本が約145gですので、5分の1にカットしたものが約28gとなります。
市販のおやつであればパッケージに書かれたカロリーを参照し、野菜・果物などの食材の場合は文部科学省が提供している「食品成分データーベース」を利用するといいでしょう。
手作りごはんのカロリー計算

ごはんを手作りする場合はまずDERを計算し、それに合うカロリー量のごはんにしなければいけません。その際、食材一つ一つのカロリーを調べて何g使うかを調整しながらDERに合うようにしていくのは大変です。
そこでオススメなのが、江崎グリコが提供している「栄養成分ナビゲーター」です。食品を選んで何g使うかを指定すると、カロリーから栄養成分まで使う量に応じた個々の数字と合計値を教えてくれます。成分値は先ほどの文部科学省のデータが使用されています。
ただ、食材だけでタンパク質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを最適にすることは非常に難しいため、手作りごはんは栄養バランスが崩れがちです。おやつや記念日のごはんを手作りにするのであれば問題ありませんが、毎日のごはんを手作りにすることはオススメしていません。詳しくは関連記事もご覧ください。
気になることがあれば専門家に聞いてみよう!

InstagramのPETOKOTO FOODSアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」を定期開催しています。愛犬のごはんについて気になることがある方は、ぜひご参加ください。
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