【獣医師解説】犬に緑茶は与えてはダメ!舐めた場合の症状の可能性や対処法を解説
私たち日本人にとって馴染みの深い緑茶ですが、犬にとっては危険な飲み物です。緑茶に含まれるカテキンは犬にも嬉しい効果がありますが、同じく多く含まれるカフェインは害を及ぼす可能性があります。少量であれば、慌てなくても良いですが、注意が必要です。今回は緑茶を与えてはいけない理由や、緑茶の成分であるカテキンやカフェイン、シュウ酸などが犬に与える影響などを紹介します。
目次
- 犬に緑茶を与えてはいけない理由
- 犬が緑茶を大量摂取した場合に考えられる症状
- 緑茶を飲んだ場合の対処法・応急処置
- 犬がNGのカフェインが含まれる緑茶以外の飲料
- 緑茶のカテキン入りグッズで犬のオーラルケア
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犬に緑茶を与えてはいけない理由
01【犬に緑茶がNGな理由】カフェイン中毒
犬にとってカフェインは危険な成分です。緑茶にもカフェインが含まれます。犬のカフェインによる致死量は体重1kgあたり150mgだと考えられています。
4kgのトイプードルの場合、600mgを摂取すると危険です。緑茶の場合、100mlあたり20mgのカフェインが含まれていますので、単純計算で緑茶の致死量は3000ml(3リットル)となります。少量舐めただけで体調が変化する可能性は低いです。
現実的に死に至る確率は低いですが、危険な成分には変わりません。また、時間が経てば経つほど重症化してしまうため、気づいたらすぐ動物病院に連絡しましょう。
02【犬に緑茶がNGな理由】シュウ酸カルシウム尿石症
緑茶には約1%ほどのシュウ酸が含まれるとされ、摂取しすぎるとシュウ酸カルシウム尿石症の原因になります。この疾患は再発率が高く、3カ月後の犬で3%、1年後で36%、3年後で48%という報告もあります。特にシュウ酸カルシウム尿石症になったことがある犬には緑茶を与えたり、誤飲したりしないようにしてください。
参照:農林水産省(2000)『各種緑茶中のシュウ酸含量とその味への寄与』、日本ペット栄養学会(2014)『ペット栄養管理学テキストブック』
犬が緑茶を大量摂取した場合に考えられる症状
カフェインを大量に摂取した場合には以下のような下痢や嘔吐など、症状が見られる可能性があります。- 頻脈
- 呼吸促迫
- 過度の興奮
- 痙攣
- 不整脈(心室性期外収縮)
- 全身性のうっ血あるいは出血
緑茶を飲んだ場合の対処法・応急処置
病院に行く前に
飼い主が処置をすることで重病化する恐れもあるため、自己判断せず、必ず動物病院の先生に診てもらいましょう。的確な診断のためには、飼い主が正しく説明する必要があります。中毒物質の種類の特定と摂取経路を明らかにしておきましょう。
その上で、動物病院へ連絡し、その物のパッケージ(あるいは残っていた物質)を持っていくようにしましょう。また、致死摂取量は体重や状態によって変わるため、少しでも食べた場合は念のため動物病院に電話することを推奨しています。
動物病院での主な治療法
基本的に解毒剤は存在しないといわれていて、治療は苦痛を和らげることを目的とした一時的なものになります。血液検査や尿検査をすることが一般的です。催吐(さいと)させることは、摂食後数時間(4〜6時間)経過していても効果的とされています。催吐が十分効果的でない場合や禁忌の場合は、胃洗浄が有用とされています。
犬がNGのカフェインが含まれる緑茶以外の飲料
緑茶の他、紅茶、ウーロン茶、コーラなどにも含まれていますので注意してください。
カフェイン含有量(100mlあたり)
- エスプレッソコーヒー:140mg
- ドリップコーヒー:135mg
- インスタントコーヒー:60mg(インスタントコーヒー粉末2gを熱湯140mlに溶かした場合)
- 栄養ドリンク:50mg
- ココア:45mg
- 紅茶、抹茶:30mg
- 煎茶、ウーロン茶、ほうじ茶:20mg
- コーラ:10mg
まとめ
犬にとってカフェインを含む緑茶は危険な飲料です
量によっては中毒になる恐れも
カテキンを与えたい場合は市販のおやつを与えましょう
もし誤って犬が緑茶を口にしたら、冷静に動物病院に相談をしましょう。
日頃から、緑茶の管理に気をつけることも大切です。緑茶が入ったカップやペットボトル、茶葉などは愛犬が届かない場所に置くようにしましょう。