【トリマー直伝】犬のブラッシングの正しいやり方を動画で解説!頻度や嫌がる時の対処法やおすすめ道具も紹介
「愛犬にブラッシングをしてあげたいけど嫌がる」と悩んでいる飼い主さん必見!ブラッシングは愛犬とのコミュニケーションの一つです。犬のブラッシングのやり方や嫌がる場合の対策、ブラッシングすべき場所、おすすめグッズについて、国内海外で15年以上経験のある現役トリマーの大森が解説します。
犬にブラッシングがもたらす効果
犬にブラッシングをする目的は毛をとかすことだけではありません。皮膚に刺激を与えることによって血行促進や新陳代謝、死毛などが取り除ける効果が期待できます。
皮膚に刺激を与える意味でも、ブラッシングは大切なことといえます。
短毛種の犬はブラッシングはやらなくて良い?
ブラッシングは長毛種の犬だけやれば良いと思われがちですが、短毛種だからやらなくて良いということはありません。短時間で構わないので、愛犬の健康管理やコミュニケーションの一環として行いましょう。
長毛種の犬はブラッシングで毛玉対策に
長毛種は毛が長いため、毛が絡まりやすく、固まって毛玉ができやすいです。ひどくなるとフェルトのような状態になります。スリッカーブラシを使用してブラッシングをしてあげてください。
ダブルコートとシングルコートのブラッシングの違い
犬の毛には、1本の太く長い「主毛」とそれを囲む複数の「副毛」が生えています。主毛のことを「上毛、ガードヘア、トップコート、一次毛」と呼び、副毛のことを「下毛、ダウンヘア、アンダーコート、二次毛」と呼ぶこともあります。
毛の密度は犬種によって多種多様で生え方もさまざまです。大きく分けると「ダブルコート」と「シングルコート」に分けられます。
ダブルコートは柴犬やコーギー、チワワ、ポメラニアンのように夏毛・冬毛といった生え変わり(換毛)があり、シングルコートはマルチーズやトイプードルのように主毛のみが伸びていきます。
どちらもブラッシングをする方法は変わりませんが、ダブルコートの場合は下毛まできちんとブラッシングしてあげることが大切です。
犬のブラッシングの開始時期・頻度
ブラッシングを始めるタイミング
子犬の頃からブラッシングするようにしてください。皮膚の代謝が良くなり、接する機会が増えることで愛犬と良い関係性をつくる機会にもなります。
犬のブラッシングの頻度
体全体を触ることが健康管理になります。1日1回はしてあげましょう。やりすぎは注意が必要です。犬にブラッシングをしてあげる部位
毛玉は「日頃のブラッシング不足」「毛が擦れることによる摩擦」などが原因で発生します。
毛玉ができやすい箇所は「脇」「耳の後ろ」「首周り」「胸」「お腹」「内股」などで、首輪や胴輪、洋服などが歩くときに毛と擦れやすい箇所です。
耳の後ろに毛玉がある場合は、耳のかゆみが原因で掻くことで、毛玉ができている可能性があります。毛玉のできる原因もチェックしましょう。
すでにある毛玉の対処法
自宅でハサミを使って毛玉を切ったり裂いたりすると怪我につながる危険があります。固まっている毛玉を指でほぐし、スリッカーブラシを使って皮膚の根本から毛玉の部分に向かってブラッシングしてあげてください。
\One Point!/
必ず皮膚との距離を確認しながら毛玉の部分をブラッシングしてください。何度も皮膚にスリッカーブラシを当ててしまうと「擦過傷(さっかしょう)」と呼ばれる皮膚が赤く擦り傷のような状態になる恐れがあります。全体がフェルト状の毛玉になっている場合は、バリカンで短く刈ってあげたほうが良いです。自宅では難しい状態の可能性があるので、トリミングサロンに相談することをオススメします。
犬が喜ぶブラッシングのやり方
\動画を見てチャレンジ!/
用意するもの
- スリッカーブラシ
- コーム
ブラッシング方法
- 落ち着いてできるように保定する
- 体をスリッカーでブラッシング
- 手足をスラッカーでブラッシング
- 首回りと頭をブラッシング
- コームでブラッシング残しをチェック
- 顔まわりをコームでブラッシング
Step1. 落ち着いてできるように保定する
テーブルの上など限られたスペースであれば落ち着いてブラッシングできるでしょう。
テーブルの上で保定しづらいときは、座って抱きかかえるとやりやすいです。
Step2. 体をスリッカーでブラッシング
スリッカーブラシの持ち方はさまざまですが、柄の部分を鉛筆のように持つのが基本です。
握りしめて持つと力が入りやすく怪我をさせてしまうのでやめましょう。全体をなでるように、皮膚と平行にブラッシングすると、表面しかブラッシングできなかったり、皮膚を傷つけたりしてしまうことがあります。
部分的に場所を決めてブラッシングし、少しずつ移動していきましょう。
場所を決めたら、毛をかき分けて根元にブラシをポンと軽く叩くように当て、そのまま毛先に向かってとかしていきます。
皮膚に当てるのは最初の瞬間だけで、あとは円を描くように一定方向にとかすのがポイントです。皮膚を削るようなブラッシングにならないよう気をつけましょう。
\One Point!/
一方向にブラッシングするのではなく、前、後ろ、横と、方向を変えながら、多方向にブラッシングすると良いです。Step3. 手足をスラッカーでブラッシング
手足も体と同様に、一箇所ずつとかして少しずつ移動していきます。
移動する方向は、足元から上に向かって少しずつ進んでいきます。
Step4. 首回りと頭をブラッシング
首回りや頭をブラッシングするときは、あご下の毛を持って顔を固定するとブラッシングしやすいです。
Step5. コームでブラッシング残しをチェック
スリッカー同様、一箇所ずつチェックしていきます。毛をかき分け根元からゆっくりとかして、ブラッシング残しや毛玉はないかをチェックしましょう。
引っ掛かりがあったらスリッカーに持ち替えて再度ブラッシング。コームで無理にとかすと、痛がることがあるのでやめましょう。
Step6. 顔まわりをコームでブラッシング
顔まわりはコームの細かい方でブラッシングします。目から鼻に向かってブラッシングすると怖がらずに行えます。
犬のブラッシングの注意点
噛んだり怒ったり暴れる場合
ブラッシングを嫌がってストレスを抱えてしまったり、スリッカーブラシをおもちゃのように噛む場合があります。ブラッシングという行為が楽しいものだと認識させるために「スリッカーブラシを少し当てたら褒める」「少しブラッシングできたら褒める」というように、少しずつ慣らしてあげてください。
アレルギー、膿皮症などの皮膚病を持つ場合
アレルギーや膿皮症など、皮膚病のトラブルを抱える犬の場合は皮膚が荒れやすいため、刺激が少なくなるようにやさしくブラッシングしてあげてください。かさぶたがある場合は、かさぶたの箇所を避けてあげましょう。
あくびをする理由
ブラッシングが気持ちよくて眠くなり、あくびをすることもありますが、ブラッシングが嫌で気持ちをごまかすためにあくびをする場合もあります(転位行動)。無理をさせていないかよく見てあげてください。
ブラシつき掃除機は嫌がることも
効率的ですが、犬が音を嫌がる可能性があります。その場合は無理に使用を続けずに普通のブラシでブラッシングしてあげましょう。犬のブラッシングで必要な道具
ブラッシングには一般的にスリッカーブラシが使われますが、他にもさまざまなブラシやグッズがあります。愛犬に合ったものを選んでください。
スリッカーブラシ
一般的に使われているブラシで、ピン(針金)の部分がくの字に曲がっているのが特徴です。ピンが硬いハードブラシと柔らかいソフトブラシがあります。長毛種、短毛種、ワイヤー種を問わず使用できます。
ハードスリッカーとソフトスリッカーの違い
毛玉やもつれができている場合はハードスリッカーを使用しますが、力を入れ過ぎたり、何度もブラッシングしてやりすぎてしまうと「擦過傷(さっかしょう)」を引き起こす恐れがあります。ハードスリッカーを使用する際は注意してください。ソフトスリッカーでもやり過ぎればハードスリッカーと同じことになりますが、ハードよりは怪我の心配がありません。
自宅でスリッカーを購入しお手入れする場合は、ソフトスリッカーがオススメです。
獣毛ブラシ
「豚毛」「猪毛」「馬毛」「混合型」などの種類があります。静電気が生じにくいという特性があり、被毛をとかすというよりは、被毛についたホコリなどを取り除きます。くし(コーム)
くしの目は細目と粗目があり、毛並みを整えるときに用います。おすすめのくしを紹介しているので、こちらの記事をご覧ください。ピンブラシ
ピンが真っ直ぐになっていて、目が荒くなっています。長毛種に使用するのにオススメのブラシです。ラバーブラシ
柔らかいゴム製のブラシです。被毛を手入れできると同時に、皮膚に対するマッサージ効果もあります。短毛種にオススメのブラシです。
手袋タイプのブラシ
手袋タイプのブラシもあります。体をなでてあげるような感じでブラッシングします。毛が舞いやすいので外で行うのをオススメします。もしくは、シャンプーで体を濡らした時に手袋タイプでブラッシングしてあげると毛が抜けやすく、舞いにくいです。
ブラッシングスプレー
ブラッシングの時に使用するスプレーで、静電気防止や皮膚被毛の毛艶が美しくなる効果が期待できます。おすすめのブラシを紹介しているので、こちらの記事をご覧ください。
愛犬のブラッシングでコミュニケーションを!
ブラッシングは血行促進や新陳代謝の活性化に
毛の長さに関係なくブラッシングは毎日しましょう
お家でのブラッシングはスリッカーブラシとコームが最適
人と違って皮膚が毛に覆われている犬は、注意して見てあげないとなかなか問題に気付けません。
愛犬の健康管理のため、愛犬との絆を深めるためのコミュニケーションツールとして、毎日少しでもブラッシングをしてあげてください。
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