【獣医師執筆】犬に唐辛子を与えるのはNG!食べてしまった場合の危険性と対処法を解説
食べると体がぽかぽか温まる唐辛子。冬の寒い時期はもちろん、夏でもスタミナがつきそうと人気の激辛メニューに欠かせない香辛料です。でも身近にあるからこそ、好奇心旺盛な愛犬がパクリッと食べてしまったなんてことも。犬が食べるのはNGです。その理由を解説します。
犬に唐辛子を与えるのはNG
唐辛子は、βカロテンやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどを含み、人が食べる分には(適量である限り)健康的な食材ですが、犬には与えてはいけません。その理由は辛さの原因である「カプサイシン」です。
カプサイシンは匂いも味も犬にとって刺激が強すぎるためです。辛味は味覚ではなく痛覚です。犬にとって痛みがストレスになるだけでなく、嘔吐や下痢など胃腸に悪影響を及ぼす恐れがあります。
参照:グリコ 唐辛子のおはなし
犬が唐辛子を食べた場合に考えられる症状
体重13〜16kgの雑種犬14匹を対象にした実験では、10mgのカプサイシン投与によって30分ほど胃腸の活動が阻害されたことがわかっています(※1)。なお、鷹の爪1本(約1g)には、約1mgのカプサイシンが含まれています(※2)。大量に舐めた・食べた場合は、死に至る可能性も考えられますので注意が必要です。
以下のような症状が見られる場合は少量でも動物病院を受診してください。
- 咳・くしゃみ
- よだれ・泡を吹く
- 涙目
- 顔を何度もこする
- 嘔吐
- 下痢
※参照1:『Intragastric capsaicin stimulates motility of upper gut and proximal colon via distinct pathways in conscious dogs』(Digestive Diseases and Sciences)、※参照2:「カプサイシンに関する情報」(農林水産省)
犬が唐辛子を食べてしまった場合の対処法
飼い主さんが無理に吐かせるなどの処置をすると重病化する恐れもあります。食べた量が少なかったとしても、中毒を起こす量は体重や健康状態など犬ごとに変わります。いつもと違う様子が見られる場合は食べた唐辛子の種類と量を把握した上で、すぐに動物病院に連絡してください。獣医師が的確な判断をするため、飼い主さんの説明が重要です。
犬のしつけに唐辛子を使うことは絶対NG
例えしつけとして使用し効果が出たとしても、それは本来のしつけではなく、犬がその嫌悪的な刺激に慣れてしまえば効果はなくなってしまいます。効果が出ないからと唐辛子の量や使用量を増やして、愛犬の体調が悪くなってしまっては元も子もありません。
唐辛子は犬の食糞防止に有効?
愛犬の食糞の問題に悩む飼い主は少なくありません。食糞の防止として唐辛子を使った商品もありますが、犬にとって刺激物であることに変わりありません。まずは、犬が食糞してしまう理由が何か、食事量の見直しやトイレはすぐに掃除しているかなど、食糞をさせてしまう可能性がないか考えてみましょう。トレーナーや獣医師に相談するなど、犬に負担をかけない方法でしつけてあげましょう。
YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、ドッグトレーナーの西岡先生が犬の食糞について解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。
まとめ
犬が唐辛子を食べると嘔吐や下痢を起こす可能性がある
量によっては呼吸器官や食道器官にも炎症を起こすこともある
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