
愛犬の食糞がいつまで続くのか悩む飼い主さんは少なくありません。年齢や犬種でよく見られる傾向がありますが、成犬で急にうんちを食べるようになった場合は病気の可能性も考えられます。やめさせるためスプレーやヨーグルトなどいろいろ試したけれどなかなか効果が出ないという方も多いはず。今回はドッグトレーナーの西岡が食糞の理由や対処法を解説します。
犬がうんちを食べちゃう(食糞)理由
かわいい愛犬が食糞する姿を見て、ショックを受ける飼い主さんは少なくありません。しかし、動物の世界で食糞は珍しい行動ではありません。ですから、「うんちを食べるなんてうちの子はおかしい」と思うのは気が早い判断です。
犬の食糞を「問題行動」「有害」と捉える飼い主さんもいると思いますが、問題なのは飼い主さんにとってであって、犬にとって特別な行動ではありません。例えば母犬が赤ちゃんのうんちを食べることがありますが、これは巣穴の衛生環境を保つためと考えられています。
犬の祖先であるオオカミは草食動物のうんちを食べることがありますが、自分では消化できない食べ物の栄養を他の動物のうんちから摂取するためと考えられています。
コアラの赤ちゃんは、逆にお母さんのうんちを食べます。うんちに含まれる腸内細菌を体に入れることで、ユーカリを消化できるようになります。コアラの袋が下向きに付いているのも、赤ちゃんがうんちを食べやすいからと言われています(※)。
このように動物ごとに目的の違いはありますが、食糞には理由があるのです。ただ怒ったりやめさせようとしたりするだけでは、お互いにストレスが溜まってしまいます。まずは、なぜ食糞をするのか考えることから始めてみましょう。
食糞は愛犬が飼い主さんに何かを伝えたいときのシグナルの一つです。単純に「やめさせたい」では、愛犬の気持ちや本当の理由に気付けません。飼い主さんと愛犬がより良い関係を築くきっかけだと考えましょう。
※参照:「コアラのふしぎ」(東京ズーネット)
犬の食糞で考えられる原因
犬の食糞は病気が原因で起きている場合もあります。特に成犬で急にうんちを食べるようになった場合は注意が必要です。検査でわかることもありますので、まずは獣医師に相談してもらえればと思います。
犬の食糞で考えられる主な原因は以下の通りです。病気や食事が原因の場合は犬の健康に直結します。どうやってやめさせるかを考える前に、原因が病気や食事ではないかを考えるようにしましょう。原因は複数の場合もあります。
| 犬の気持ち | 原因 | 対処法 | |
|---|---|---|---|
| 病気 | 空腹 | 寄生虫 |
・糞便検査 ・駆虫薬 |
| 消化不良 |
・血液検査 ・各病気の治療 |
||
| 認知症 | 治療 | ||
| 食事 | 空腹 | 量が足りていない | 適量を与える |
| 空腹 | 消化吸収率が悪い | フードの見直し | |
| 猫のうんちを美味しく感じる | タンパク質の違い |
・物理的に隔てる ・拾い食いさせない |
|
| 飼い方 | 好奇心 | 早すぎる親離れ | 時間とともに解消 |
| 飼い主さんとのコミュニケーション | 飼い主さんの間違った反応 | 反応しない | |
| おもちゃ代わり | 刺激・遊びが足りない |
・運動時間を増やす ・代わりのおもちゃを与える |
|
| 隠したい | 怒られたことがある | うんちをしたら褒めて、すぐ回収 |
犬の食糞【病気が原因】

病気が原因の食糞として、寄生虫による栄養不足と病気による消化不良が考えられます。
寄生虫による栄養不足
寄生虫の場合は、お腹にいる寄生虫に栄養を取られてしまうことで栄養不足となり、空腹を感じて食糞が起こります。犬のお腹に寄生する虫でよく見られるのは「条虫」「鉤虫」「鞭虫」「瓜実条虫」で、疑われる場合は糞便検査を行い駆虫薬で対処します。病気による消化不良
消化不良の原因となる病気として、「胃や腸の疾患(炎症、異物、腫瘍など)」「糖尿病による消化器症状」「膵炎や膵外分泌不全」「肝臓や胆嚢の疾患」などが挙げられます。病気を特定し、それ自体の治療が優先されます。ステロイドを使用していると、副作用として食欲増進が起こることがあります。認知症による異常食欲
犬も年を取ると認知症になる可能性が高まります。ごはんを食べたのに忘れ、実際に空腹を感じて食糞に至る場合があります。認知症は進行状況に応じたケアが必要になります。食糞後に吐く
食糞後に吐く場合も「病的な場合」と「病的ではない場合」がありますので、以下の関連記事を参考にしてください。犬の食糞【食事が原因】

食事が原因の食糞として、量や消化の問題が考えられます。
食事量の不足による空腹
子犬の急激な成長に飼い主さんが気付かず、ごはんが不足している場合があります。ペットショップなどで迎えたときに教わった量や増やし方をそのまま続けている飼い主さんでよく見られます。少なくとも2週間に1回は体重測定をして最適な量を与えましょう。※1日の最適カロリー量は、ペトコトフーズの「食事量計算機」(無料)で簡単に計算することができます。
消化吸収が悪いフードによる空腹
うんちは多いほうが健康と考える飼い主さんもいますが、実際は逆です。消化吸収が悪いごはんを食べていると、体に摂り込まれなかった栄養がうんちと一緒に出るため量が多くなります。そうなると食べているごはんの量は適正でも、実際は十分に吸収されていないため犬は空腹を感じるかもしれません。より質の良いフードに変更したり、いつもドライフードであればウェットフードへ変更したりすることで改善される可能性があります。
猫のうんちを好む
猫のごはんに含まれる栄養成分は犬よりもタンパク質が多くなるため、必然的にうんちに含まれるタンパク質も多くなります。猫のうんちが臭いのは、猫が肉食動物だからです。そのため猫のうんちを美味しいと感じるワンちゃんもいるようです。しかし、猫のうんちを食べてしまうのは感染症のリスクがありますので衛生的に良くありません。猫が同居している場合は、トイレに近づけないようにしてください。野良猫のうんちは寄生虫がいる可能性が高いです。拾い食いをしないよう十分に注意してください。
犬の食糞【飼い方・環境が原因】

食糞の原因が病気や食事でない場合、暮らしの中で理由を探ってみましょう。運動不足やストレス、環境の変化などです。愛犬の立場になって考えてみるといいでしょう。
母犬と離れるのが早過ぎた
子犬のうんちは母犬が舐め取ってきれいにしてくれることが多いため、子犬がうんちに興味を持つことはありません。しかし母犬と離される時期が早過ぎた場合、処理してくれる母犬がいないことで自分のうんちに興味を持って食べてしまう可能性があります。このケースでは成長とともに食糞は見られなくなります。成犬になっても続く場合は、別の原因を考えたほうがいいかもしれません。
飼い主さんの気を引くため
うんちを食べたところ、飼い主さんが「わー!!」と大騒ぎしたことに喜びを感じてしまう場合があります。「うんちを食べる=喜んでくれる/かまってくれる」という図式が、愛犬の中で出来上がってしまっているのです。暇・退屈だから
運動不足だったり、長時間のお留守番が続いていたりすると、時間も体力も余って退屈しのぎに口に入れてしまうこともあります。特に留守番の際に食糞が行われるときは、これが原因かもしれません。怒られたくない
トイレトレーニングで失敗したときに叱られたことが強く心に残ってしまい、「うんちをしたら怒られる」と思って隠すために食べてしまうことがあります。犬の食糞をやめさせる方法
食糞には原因がありますので、やめさせるためには原因になっている問題を解決しなければいけません。その上で、習慣化してしまっている場合はドッグトレーニングが有効です。私のオススメは「ゲーム」にして教えていくこと。ぜひ試してみてください。
【基礎編】食糞対策ゲーム
- うんちをしたら無言ですぐ片付け、おやつをあげる
- おやつをあげるときに褒める
うんちをしているときに声をかける必要はありません。うんちを口に入れようとしたら、食糞がいけないことだと分かっている子の場合は「ダメ」と声をかけてもOKです。おやつをあげるときに大切なのは、「特別なおやつ」を用意することです。
チーズやジャーキー、レバーなど、匂いが強くて少し柔らかめのものが良いでしょう。「飼い主さんの意向通りにできたときのみ食べられるもの」であることが大切です。「うんちよりも魅力的なものがもらえる」と、愛犬に認識させることが重要だからです。
片付けが終わったらご褒美がもらえるというルールを少しずつ覚えさせましょう。少しオーバーに褒めてあげることも最高のご褒美になります。ルールを覚えることで、「うんちが出た瞬間に食べる」という行為は無くなっていきます。
【応用編】食糞対策ゲーム
基礎ができるようになったら少しレベルを上げて、「うんちが出たら教えに来る」ということを教えましょう。- うんちをしたら飼い主さんの近くで「おすわり」をさせる
- うんちを片付けてからおやつをあげ、同時に喜び褒める
少しずつ教えていくことで、食糞が減るとともに、うんちが出たら知らせに来てくれるようになります。
【シーン別】お留守番のときの食糞対策ゲーム
お留守番しているときに食糞をする場合、「一緒にいるときはルールを守るのに、留守番になるとできない……」と諦めないでください。この場合の飼い主さんの課題は、「愛犬を信じて諦めないこと」です。愛犬がゲームのルールを理解してくると、食糞は確実に減っていきます。お留守番させた日にうんちがあったら、うんちの状態を確認してみましょう。
遊んだ跡やちょっとかじった跡があったら、ご褒美をあげずに黙って淡々と片付けるようにしましょう。それだけで愛犬は、「あーあ、褒められなかった」と理解していきます。
食品を使った犬の食糞対策
インターネットには食糞に対する情報が溢れています。その中には、キャベツやパイナップル、ズッキーニ、ヨーグルト、わさび、唐辛子などの食品や、ビターアップルのスプレーが食糞対策になるという情報もあります。しかし私の経験上、効果はほとんどないか一過性です。味に慣れてしまったり、「かけられる前に急いで食べちゃお!」と逆効果になる場合もあります。食物繊維が豊富な食材も、消化不良を起こす可能性があるのでオススメしません。
ごはんを変える
消化吸収が課題の場合、消化吸収と栄養吸収が高いごはんに切り替える方法があります。犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。
総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
食糞しやすい犬種・しにくい犬種

7 最後に、アメリカで行われた犬の食糞に関する調査研究を紹介します。飼い主さんに愛犬の食糞を見たことがあるか聞いたところ、見た回数1〜5回が7%、6回以上が16%でした。つまり4匹に1匹は食糞をしていることになります。
その中で特徴的に食糞が多かった犬種は、シェットランドシープドッグとテリア犬種、ハウンド犬種でした。食への関心や好奇心が強い犬ほど、食糞が多くなるようです。
一方で、日本でも人気のプードルでは、スタンダード・ミニチュア・トイのいずれも食糞が見られない傾向があることがわかりました。
7
※参照:『The paradox of canine conspecific coprophagy』(Veterinary Medicine and Science)
まとめ
食糞は愛犬が飼い主に何かを伝えたいときのシグナル
病気の場合や食事に問題がある場合は動物病院へ
根本的な原因を分析して、ゲーム感覚でしつけを行う
何かを食べさせたり、スプレーをしたりで簡単にやめさせるのは難しいでしょう。根気よく向き合うことが大切です。困ったときは一人で悩まず、獣医師やドッグトレーナーなど専門家を頼るようにしてください。
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