【獣医師執筆】犬はブロッコリーを食べても大丈夫!腎臓や結石など与え方の注意点を解説
ブロッコリーは、犬が食べても大丈夫な野菜です。しかし、大きいままだったり、大量に与えてしまったりすると、胃を刺激し消化不良の原因になってしまいます。では、愛犬にブロッコリーを与える際は、どんなことに注意したら良いのでしょう。今回は、ブロッコリーの栄養素をはじめ、与え方の注意点などご紹介します。
犬はブロッコリーを食べても大丈夫
ブロッコリーはビタミンCやβカロテン(ビタミンA)、ビタミンE、鉄、葉酸などを含み犬が食べても大丈夫な食材です。ただし、イソチオシアネートという成分が犬の胃を刺激してしまう可能性があるため、与え過ぎには注意が必要です。
また、ブロッコリーにはがんの予防効果や花粉症の症状を緩和する効果が期待できるスルフォラファンも含まれます。スルフォラファンを生成する酵素は熱に弱いため、生で食べたり低温で蒸したりすることで効率よく摂取することができます。
総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトコトオリジナルのフレッシュドッグフード「ペトコトフーズ」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。
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ブロッコリーにはゴイトロゲンが含まれているため、甲状腺機能に問題がある犬は注意が必要です。
犬も好きなブロッコリーの栄養素
βカロテン
ブロッコリーには、βカロテンを含んでおり、ビタミンAの体内変換が働きます。急激な摂取は、ビタミンA中毒を引き起こし、犬の肝臓トラブルなどにつながるため、ブロッコリーの過剰摂取は注意が必要です。ビタミンC
犬は体内でビタミンCを形成することができますが、年齢や体質が原因で不足してしまうこともあります。ビタミンCは犬の体を若々しく保ちガンを抑制する働きがあります。葉酸
葉酸は、体の細胞の生まれ変わりや成長をサポートするという大切な役割を持ったビタミンの一種です。ビタミンK
健康な血液と骨の維持に欠かせない成分です。この成分が欠如すると血が止まりづらかったり、骨が弱くなってしまったりします。ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があります。細胞膜トラブルの原因となる活性酸素に対抗する働きがあるため、皮膚のトラブルやがん、消化器疾患、更には老化防止にも効果があると言われています。食物繊維
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維ががあります。水溶性食物繊維は、血中のコレステロールを下げたり免疫力を上げてくれたりする効果があります。不溶性食物繊維は腸の中で膨らむため、便秘改善や大腸がんの予防に効果的です。ただし、過剰摂取すると下痢を引き起こす恐れがあります。たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や血液、皮膚、被毛など、体を作るために必要な栄養素です。また、体の調子を整えてくれる作用もあります。愛犬へのブロッコリーの与え方
何歳から与えても良い?
パピーの子犬の頃や免疫力が低下している場合、シニア犬(老犬)には、誤飲のリスクがあるため、気をつけてあげましょう。生のブロッコリーは刻んで
生のブロッコリーは非常に固く、消化もしにくいので、与える際は細かく切ってから与えてください。また、虫がついていることもありますので、よく洗ってからあげましょう。茹でたブロッコリー
ブロッコリーには水溶性ビタミンが含まれています。そのため、茹でるとビタミンが溶け出してしまうため、茹で時間の加熱は短時間で行うことをおすすめします。茹でた場合であっても、喉に詰まらせたりしないよう、細かく切ってあげましょう。冷凍の場合は自然解凍や電子レンジで温めてあげましょう。
ブロッコリーの茎(芯)
茎(芯)は非常に固いため、与える際は加熱後に皮を剥き、細かく切ってからあげると良いでしょう。犬にブロッコリーを与える際の注意点
アレルギーの可能性
アレルギーは、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることにより発症する可能性がある後天性アレルギーがあります。ブロッコリーを初めて与える際は、少量からスタートしましょう。以下の症状が見られた場合は、アレルギーの可能性があります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚のかゆみ
- 元気がない
- 目の充血
ブロッコリーを食べた際に上記のような症状が現れた場合は、獣医師に相談しましょう。
甲状腺に問題がある犬には与えない
ブロッコリーはアブラナ科の野菜です。アブラナ科に含まれるゴイトロゲン(グルコシノレート)は、ヨウ素の吸収を阻害する働きがあるといわれています。また、甲状腺ホルモンの分泌に悪影響を及ぼし、甲状腺に負担をかけてしまう可能性があります。尿路結石症の可能性
ブロッコリーにはシュウ酸が含まれており、尿路結石症になる可能性があります。尿路結石症とは、尿の通り道に結石という小さな石の塊のようなものができてしまい、尿を体外へ排出できない状態を指します。排出できないと体の中に尿がたまってしまい、腎臓に大きな負担がかかります。最悪の場合腎臓が機能しなくなり、尿毒症(腎臓が機能しなくなり、体外へ老廃物や毒素を排出できない症状)という病気になり死に至る可能性もあります。腎臓の不調は気づきにくいことで有名です。以下の症状が見られたら、獣医師に相談するようにしましょう。
- 頻尿になる
- (トイレをする姿勢になってから)尿が出るまでに時間がかかる
- おしっこをする時に痛そう(キャンと鳴く、震えるなど)
- 食欲がない
- おしっこに血が混じっている
ブロッコリースプラウトは犬に与えないほうが良い
ブロッコリーの種を発芽させた「ブロッコリースプラウト」は、ブロッコリーに微量含まれる植物由来の化学成分「スルフォラファン」を、成熟ブロッコリーの20倍以上も含んでいます。このスルフォラファンには、抗酸化作用や解毒作用といった、体の防御機能を高める働きがあると言われています。
しかしスルフォラファンは、過度に摂取すると胃を刺激してしまう可能性があります。そのため、与えるとしても極めて少量にするか、もしくは与えないようにしましょう。療法食として与える場合は、獣医師の指示に従ってください。
まとめ
甲状腺に問題がある犬には与えない
与える場合は細かく刻んで少量に
ブロッコリースプラウトは与えないほうが良い
栄養満点なブロッコリーですが、与え過ぎると逆効果になってしまいます。与える際は愛犬の様子を見ながら、少量ずつ与えるようにしてください。
参考文献
- 「Can Dogs Eat Broccoli?」(American Kennel Club)
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