犬の歯磨きのやり方を歯科担当獣医師が解説!頻度、おすすめ歯磨きグッズも紹介

犬の歯磨きのやり方を歯科担当獣医師が解説!頻度、おすすめ歯磨きグッズも紹介

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犬の歯磨きをしなければと思っても「嫌がる・噛まれるからきちんとできない」という方も少なくないと思います。歯磨きをしないと歯石がたまり、口臭や歯周病などの原因になります。歯磨きは大変なことと思われがちですが、コツを掴めばとても簡単です。今回は、犬の歯磨きの仕方から、おすすめ歯磨きグッズなどをバンブーペットクリニック院長の藤間獣医師が解説します。

犬の歯磨きの必要性

歯磨きする犬

歯石になりやすい

ミネラルが多い犬の唾液は歯垢(プラーク)と結び付いて歯石になりやすく、歯垢を放っておくと3~5日で歯石になります。

人の場合は歯石化するのに約20日ほどかかりますので、犬の歯石化はスピードが速いといえます。

病気のリスクになる

犬は歯磨きをしないと口臭が酷くなるだけでなく、歯周病になったり、歯周病からさまざまな内臓疾患につながったりする可能性があります。

歯磨きをすることで、それらの病気のリスクを予防することができます。

子犬の歯磨きの開始時期

机にあごを乗せる犬

子犬の場合、生後6カ月を過ぎたくらいで永久歯が生え揃うため、その時期から始められると理想です。

犬の歯磨きの頻度や回数

毎日、少しずつ磨いてあげれば大丈夫です。全部の歯を磨くのが理想ですが、歯石になるのは3〜5日のため、今日は前歯だけ、今日は右側だけなど、毎日区画を分けて少しずつ歯磨きをしてあげると良いでしょう。

乳歯はすぐ抜けますので、それまでに「歯ブラシ=嫌なもの」というイメージを植え付けないようにすることが大切です。

犬の歯磨きのやり方

犬によっては簡単に歯磨きをさせてくれる子もいますが、最初から無抵抗という子はまれでしょう。焦らずにゆっくり慣らすようにしてください。

\動画を見てチャレンジ!/


Step1. 歯ブラシに慣れさせる

犬の歯ブラシの慣らせ方

初めて歯磨きをする子にとって歯ブラシが何かわかっていません。初期の時点で、歯ブラシに対して「嫌なもの」と印象付けないことが大切です。

そのため、1〜2週間は実際に歯を磨くのではなく、歯ブラシを見せたり、においを嗅がせたりして、歯ブラシに慣れさせましょう。

歯ブラシが出てくるとご褒美がもらえるといった学習をすると、嫌がられずに受け入れてもらいやすくなります。

Step2. 奥歯から磨く

奥歯を磨かれる犬

歯ブラシに慣れたら、実際に歯を磨いてみましょう。

犬は1番奥の大きな歯(第四前臼歯)に歯石がつきやすいといわれています。途中で嫌がると歯磨きの継続が困難になるため、奥歯から前歯に移動することが理想です。

Step3. 前歯を磨く

前歯を磨かれる犬

奥歯が磨けたら、前歯へ移行していきます。前歯は鼻に近いため、前歯への刺激がくしゃみを誘発することから、嫌がる子もいます。

嫌がられてもなお続けると、歯磨き自体に苦手意識を持ってしまうので、休憩やご褒美をはさみながら磨いていきましょう

どうしても難しい場合は、歯ブラシによる歯磨きではなく、歯みがきシートを使ってもある程度の効果は見込めます。

犬の歯磨きのポイント

歯と歯茎の隙間を磨くよう心がける

磨き方は基本的に人と同じです。歯の表面を磨くのではなく、毛先が歯と歯茎の隙間である歯周ポケットに入るように磨いてください。

ペンを持つように磨くのが良いと思います。歯磨きの後は、うがいをさせる必要はありませんし、その後にごはんやおやつを与えてもかまいません。

磨かせてくれたら大げさに褒めてあげましょう。

裏側(舌側)は2人がかりが理想

裏側は歯石がつきにくいものの、つかないわけではありません。

難易度が高いため、慣れるまでは保定係と磨く係に分かれて、2名で歯磨きに取り組めると良いでしょう。その際、少しだけ口を大きめに開けて磨いてみてください。

犬の歯磨きの際に気を付けたい点

口を大きく開ける犬

人間用歯磨き粉はNG

人間用の歯磨き粉にはキシリトールが含まれている場合があり、犬にとってキシリトールは中毒成分です。歯磨き粉を使う場合は必ず動物用を選ぶようにしましょう。


口を無理やり開けない

大人しく口を開けてくれる子は問題ありませんが、口を思い切り開ける必要はありません

閉じたままでいいので、口の中で磨くことができれば大丈夫です。

歯ブラシを噛ませない

歯ブラシを噛む場合、マズルを軽く押さえて口を閉じた状態で磨いてあげると良いでしょう。

力は入れすぎない

力を入れすぎて磨くと、出血する恐れがあります。血が出ている原因が、力の入れすぎなのか歯肉炎なのかわからない場合は、獣医師に診てもらうようにしましょう。

楽な体勢で行う

台の上など、犬が楽な状態で保定し、磨いてあげると良いでしょう。人間と違い、水で口をゆすがなくても大丈夫です。

歯科担当獣医師が紹介する犬の歯磨きおすすめグッズ

ベッツドクタースペック デンタルブラシ


※動物病院でのみ取り扱い
公式サイトを見る

ベッツドクタースペック デンタルジェル

歯ブラシでの歯磨きが大変な場合は、ジェルをウェットティッシュに付けて手で歯を磨いて慣れさせてあげても良いでしょう。


※動物病院でのみ取り扱い
公式サイトで見る

【動画解説】歯ブラシの選び方

YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは歯ブラシの選び方や注意点について獣医師の佐藤先生が解説する動画を公開しています。あわせてご覧ください。



犬の歯磨き関するよくある質問

乳歯はすべて取ったほうが良い?

犬の乳歯遺残
歯並びが悪くなった子

大きな問題はないのですが、噛み合わせが悪くなったり(不整咬合)、歯が皮膚にあたって皮膚炎や歯周病になったりする恐れがあります。

去勢・避妊手術などの際に一緒に抜歯をすることをオススメします。

歯ブラシの交換時期は?

できれば1カ月に1回くらい取り替えてあげると良い状態のまま磨けるでしょう。

歯ブラシの消毒方法は?

犬1匹ごとに犬用歯ブラシを揃えてあげることがベストでしょう。歯磨きをした後は、水洗いし、乾燥してあげたり、アルコール消毒することも良いでしょう。

犬の歯磨きはこまめに!

舌を出す犬
口臭・歯周病予防のため、歯磨きは必要
生後6カ月以降から歯磨きを始めることが理想
歯磨きをする前に歯ブラシに慣れさせる
毎日区画を分けて少しずつ歯磨きしましょう
人間用の歯磨き粉はNG
歯磨きは、口臭がひどくなるだけでなく、歯周病など犬の健康に大きく関わってきます。愛犬がずっと長生きで健康でいられるように、飼い主さんには毎日定期的に歯磨きを根気よく行いましょう。

【動画解説】犬の歯石取り・無麻酔はNG!

YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、獣医師の佐藤先生が犬の歯石取りについて解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。