
犬のグルーミングをトリマーが解説!トリミングとの違いや愛犬が喜ぶやり方を紹介
犬のグルーミングは犬を清潔に保つために必要なケアです。トリミングは聞いたことがあるけどグルーミングはないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。「トリミングとグルーミング」の違いや、グルーミングの頻度ややり方、サロンでの料金目安などを国内海外で15年以上経験を持つ現役トリマーの大森先生が解説します。
犬のグルーミングとトリミングの違い
グルーミングは「全身をお手入れし、清潔に保つこと」で、トリミングは「毛をカットしてキレイに整えること」です。
グルーミングの1つとして、トリミングがあります。
グルーミングは毛をカットするトリミング以外に「ブラッシング」「爪切り」「耳掃除」「歯磨き」「肛門腺絞り」「シャンプー」などを行います。
犬のグルーミングの目的
健康管理・維持
グルーミングは、愛犬の健康状態を知るために大切な毎日のケアです。体全体をブラッシングすることで皮膚に刺激を与えて血行促進や新陳代謝の活性化につながり、日々の変化を知ることができます。
全身をお手入れすることで、皮膚の異常や腫瘍の有無など、病気の早期発見にもつながります。
コミュニケーションの構築
体を撫でてあげることは、愛犬との絆を深める大切なスキンシップです。小さい頃から撫でて触れてあげることによって犬も喜びを感じ、社会化として人に対しての安心感につながります。
本来の美しさを発揮
被毛の美しさを保つためにブラッシングが欠かせないのはもちろんのこと、シャンプーをすることで体に付いた汚れなどを洗い流して清潔に保つことができます。グルーミングによって、犬本来の美しさを発揮させることができます。
毛の生え変わりの時期
毛が生え変わる時期のことを換毛期といいます。毛が二層になっている「ダブルコート」の犬種は年に2回(春と秋)生え変わりの時期があり、毛がよく抜けます。ダブルコートの主な犬種
- 柴犬
- ダックスフンド
- チワワ
- コーギー
- ポメラニアン
- ペキニーズ
- シベリアンハスキー
犬のグルーミングの頻度

ブラッシング
ブラッシングは基本的に毎日行いましょう。なでてあげる感覚と同じようにブラッシングすることで、スキンシップの一環にもなります。爪切り・シャンプー
爪切りやシャンプーなどは、月に1回が目安です。個体によって爪の伸び具合、肛門腺の溜まり、体の汚れ具合はさまざまです。シニア犬(老犬)のグルーミング
シニア犬の場合、シャンプーやトリミングは体に負担がかかってしまうため頻度を減らしましょう。ニオイが気になる場合は、パウダーシャンプー(水を使わないシャンプー)をしたり、爪切りも何回かに分けて細かく行ったり、トリマーと相談しながらケアしてあげてください。
パピー(子犬)のグルーミング
パピー(子犬)が初めてサロンに行く場合は、一般的にワクチンの接種を事前に行っている必要があります。ワクチン接種後すぐのグルーミングは犬に負担が掛かってしまうため、2週間ほど空けてからのグルーミングをおすすめします。
犬のグルーミングにかかる費用と時間

ペットサロンでグルーミングをお願いした場合の一般的な費用と時間を紹介します。地域やお店により異なりますので、必ずご利用になるサロンに確認するようにしてください。
- 小型犬:約2500円~、約30分〜1時間
- 中型犬:約3500円~、約1〜2時間
- 大型犬:約5000円~、約1〜3時間
上記の金額・時間は、グルーミング全般として以下の項目を実施した場合の目安として算出しています。
- 爪切り
- 足裏バリカン
- 耳掃除
- ブラッシング
- 肛門絞り
- シャンプー
- ブロー(毛を乾かすこと)
また、サロンにより金額は差がありますが、オプションメニューとして「爪切りだけ」「足裏バリカンだけ」など単品でオーダーを受けてくれるサロンもあります。その場合の時間は1項目約10分を目安にすると良いでしょう。
その他に「毛玉取り」や「パック」「マイクロバブル」などもありますので、ご利用のペットサロンでご確認ください。
犬のグルーミングの種類・役割
グルーミングには、ブラッシングやトリミングだけでなく、さまざまなケアが含まれます。1. ブラッシング

犬にブラッシングをする目的は毛をとかすことだけではありません。皮膚に刺激を与えることによって血行促進や新陳代謝、死毛などが取り除ける効果が期待できます。皮膚に刺激を与える意味でも、ブラッシングは大切なことです。
2. コーミング

ブラッシングの後は、コームで毛の根元から毛先に向かって毛をとかし、毛がもつれていないか確認します。これをコーミングといいます。
コーミングをすることで毛玉ができにくくなります。
3. 爪切り

犬の爪切りも大切なグルーミングの一つです。
お散歩に行くと削れることで爪の伸びは遅いですが、削れ方もバラバラで、狼爪(ろうそう)など地面につかない爪もあります。そのため、定期的に爪切りをする必要があります。
4. 耳掃除

犬の耳を清潔に保つことで外耳炎などの病気を予防することができるだけでなく、異常があった場合の早期発見につながります。
愛犬の体に触ることはスキンシップにもなります。耳掃除に限らず、爪切りやブラッシングなど楽しみながらコミニケーションを取ることで、飼い主と愛犬の関係性もより良いものにしていきましょう。
5. 歯磨き

犬は歯磨きをしないと口臭が酷くなるだけでなく、歯周病になったり、歯周病からさまざまな内臓疾患につながったりする可能性があります。
歯磨きをすることで、それらの病気のリスクを予防することができます。
6. 肛門腺絞り

「校門絞り」など漢字を間違えがちですが、肛門腺(こうもんせん)とは肛門付近にある腺で、マーキングに使われる強い臭いの分泌物が出る場所です。
愛犬が自力で肛門腺にたまっている分泌物を排泄できない場合、分泌液が肛門嚢に溜まり、細菌の繁殖で炎症を起こして「肛門嚢炎(こうもんのうえん)」などの病気になることがあります。
分泌液が溜まりすぎると肛門嚢が破裂することもあるので、人の手で絞り出してあげる必要があり、この行為を「肛門腺絞り」といいます。
7. シャンプー

犬のシャンプーは、皮膚、被毛を清潔に保ち体を清潔にするために大切なケアです。
パック

シャンプーをする際に、ハーブパックや泥パックなどでケアすることができます。
8. ドライヤー

シャンプーをした後に必ずすることがドライヤーです。犬がドライヤーを嫌がるからといって、シャンプー後に自然乾燥をさせるのはおすすめできません。
濡れた状態で長時間放置すると、蒸れて皮膚炎の原因になったり、菌が繁殖して、ニオイの原因にもなったりします。
また、乾燥に時間がかかることで被毛もモジャモジャになり美しく保てません。
9. バリカン

バリカンは、犬の清潔を保つためだけでなく、足裏の毛が伸びたことで床が滑りやすくなり腰に負担がかかってしまうため、足裏をバリカンをしてあげることが大切です。
10. トリミング

トリミングもグルーミングの中の一つです。清潔を保つだけでなく、犬種別に可愛いカットで愛犬とのコミュニケーションを深めることもできます。
グルーミングが愛犬の健康管理に!

愛犬の健康のために、日々のケアで体をチェックし早く異変に気付いてあげることが大切です。
おうちでのチェックはもちろん、ペットサロンも活用しながら愛犬がいつでもキレイで健康に過ごせるようにしてあげましょう!