犬の体臭はなんでするの?皮膚の構造を被毛研究のプロが解説
初めまして、犬用シャンプーを30年開発してきた株式会社ハートランドです。みなさんは犬の皮膚が私たち人よりデリケートであることをご存じでしょうか? 同じ皮膚といっても、犬の皮膚と私たち人の皮膚では構造も特徴も異なります。連載「愛犬の被毛ケア」の第2回は、「犬の皮膚」について解説します。
前回は「犬の被毛(犬の毛)」がテーマでしたが、今回は犬の皮膚についてお話しします。皮膚の構造からフケや体臭の原因まで、正しい知識がみなさんと愛犬の健やかなペットライフにつながれば幸いです。
まずは犬の皮膚の構造からお話しさせてもらいます。
犬の皮膚も人の皮膚も、三つの層から成り立っています。皮膚の表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の順です。一般的に表皮と真皮をあわせて「皮膚」と呼んでいます。皮膚には、犬の毛を生み出す毛包(毛のう:皮脂腺を含む)や汗を排出する汗腺などの附属器官がたくさん存在しています。
次は「表皮」について掘り下げてお話しします。
角層は薄い表皮の一番外側を占める非常に薄い組織です。細菌やウイルスなど外からの物質侵入を妨ぎ、体を維持するために不可欠な水分が失われるのを防いでいます。
角層の層数は人で平均13層程度と言われているのに対し、犬や猫の場合は8層程度と人よりも薄いとされています。犬や猫の皮膚が私たち人間よりデリケートと言われるのは、皮膚の薄さが理由の一つなのです。
次は「真皮」についてお話しします。
そして最後は、「皮下組織」です。
真皮の線維は「引っ張る」「擦る」といった外からの力には強いのですが、「固いものにぶつかる」「叩く」などの鈍性の力に対しては弱い特徴を持っています。そこで皮下組織がクッションとして働きます。お腹が背中よりも厚いのは、外力にさらされやすい部分をクッションで守るためなのです。
なお、口唇や目瞼、外耳、肛門には機能性の問題から皮下組織は存在しません。
犬の皮膚の構造
まずは犬の皮膚の構造からお話しさせてもらいます。
犬の皮膚も人の皮膚も、三つの層から成り立っています。皮膚の表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の順です。一般的に表皮と真皮をあわせて「皮膚」と呼んでいます。皮膚には、犬の毛を生み出す毛包(毛のう:皮脂腺を含む)や汗を排出する汗腺などの附属器官がたくさん存在しています。
次は「表皮」について掘り下げてお話しします。
表皮
表皮は体の一番外側、最外部に位置する薄い組織で、外の刺激から体の内部を守る重要な役割を果たしています。表皮は細かく体の表面側から「角層(角質層)」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の順に層になっています。角層は薄い表皮の一番外側を占める非常に薄い組織です。細菌やウイルスなど外からの物質侵入を妨ぎ、体を維持するために不可欠な水分が失われるのを防いでいます。
角層の層数は人で平均13層程度と言われているのに対し、犬や猫の場合は8層程度と人よりも薄いとされています。犬や猫の皮膚が私たち人間よりデリケートと言われるのは、皮膚の薄さが理由の一つなのです。
次は「真皮」についてお話しします。
真皮
真皮は豊富な繊維によって皮膚の強さとしなやかさを作っています。いろいろな細胞成分や血管、リンパ管、神経系が存在し、免疫機能や栄養補給、体温調整、感覚にも貢献している組織です。そして最後は、「皮下組織」です。
皮下組織
皮下組織は主に脂肪細胞から構成され、体のエネルギーとなる中性脂肪を貯蓄しています。熱の産生や体温喪失の遮断を行っています。真皮の線維は「引っ張る」「擦る」といった外からの力には強いのですが、「固いものにぶつかる」「叩く」などの鈍性の力に対しては弱い特徴を持っています。そこで皮下組織がクッションとして働きます。お腹が背中よりも厚いのは、外力にさらされやすい部分をクッションで守るためなのです。
なお、口唇や目瞼、外耳、肛門には機能性の問題から皮下組織は存在しません。
犬のフケの原因
みなさんは「ターンオーバー」という言葉を聞いたことはありますか? 「新陳代謝」のことでで、皮膚の一番下の層である基底層で新たに生み出された細胞が、一定期間を経過して表皮の表面(角層)から剥がれ落ちるまでのことを言います。
表皮から剥がれ落ちた古い細胞が、いわゆる「垢」です。垢は人の頭皮や、犬猫の犬の毛がある部分では「フケ」とも呼ばれます。このフケは通常の状態では微細なため、あまり目立たない事が多いです。
人の場合、表皮のターンオーバー期間は28日程度です。犬や猫の表皮のターンオーバー期間は人より短く、22日程度と言われています。毎日入浴する人とは異なり、犬や猫のフケは皮膚表面に蓄積しやすく、皮脂やほこりと混じり合って目立ってくることがあります。
皮膚表面に蓄積したフケは酸化などによって刺激物質となり、炎症の原因にもなります。愛犬の健康のためにも、定期的なブラッシングは欠かさないようにしましょう。
病気が原因で出るフケ
皮膚に傷や炎症などの異常がある場合は、皮膚が早く治そうとする体の働きによって期間が短くなります。しかし短期間で形成された皮膚は不完全な状態になり、本来の機能が発揮されません。異常なフケの原因としては、「細菌・真菌感染」「寄生虫」「脂漏症」「アトピー性皮膚炎」「内分泌疾患」などが考えられます。詳しくは関連記事をご覧ください。
犬の体臭の原因
私たちは暑いときに体中から汗をかきますが、犬は暑くても汗をかくことはありません。それは体に分布する汗腺の種類の違いによるものです。
人は「エクリン腺」と呼ばれる汗腺が全身に分布しており、そこからサラサラした無味無臭の汗を出します。犬の場合はエクリン腺が肉球にしかないため、人のように汗をかくことがないのです。
一方、犬は体の大部分に「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺が分布しています。人では鼻の横や外耳、脇、陰部など限られた場所に分布しています。アポクリン腺から出る汗はエクリン腺から出る汗に比べて粘性が高く、体臭やフェロモンに関わる汗とされます。
アポクリン腺は有毛部に存在しますが、背中に多い傾向があります。人はシャワーで体を洗いますので臭いが問題になることはありませんし、猫も自分でグルーミングをしますので臭うことは滅多にないはずです。しかし、犬は自分でグルーミングをしませんので、臭うことがあります。「臭うかな?」と思ったらシャンプーをしてあげましょう。
正しい知識で愛犬のケアを
今回は犬の皮膚の構造についてお話ししました。ご理解いただけましたでしょうか? 犬の皮膚は私たちの皮膚よりも薄く、よりデリケートです。フケや体臭は悩んでおられる方も多いと思いますが、正しい知識を持ってケアしてあげることが大切です。シャンプーする際も、皮膚を優しく洗うことを心掛けてみてください。
※参考文献:『パーフェクトスキンガイド』