犬がマーキングをする理由は?やめさせるためのしつけや対処法についてトレーナーが解説
犬のマーキングには、排尿とは別の意味があります。本能的な行動ではありますが。地域社会での問題にもなりやすく、迷惑行動の代表ともいえます。散歩中だけでなく、室内でもしてしまったり、中には人に対してしてしまったりする子もいます。今回は、マーキングの意味やしつけの必要性などについて、ドッグトレーナーの西岡が解説します。
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犬のマーキングとは

マーキングは、犬(特にオス)にとっての本能的行動であり、ほとんどの犬がおこなう、ごく自然な行動です。中にはメスでもマーキングする子もいます。
マーキング行動は犬だけじゃなく、ネコ科の動物やキツネやクマなどの野生動物もする行動なため、それだけ本能に根付いたものなのです。
犬がマーキングをする意味
自分のにおいを付けることにより、自己主張やテリトリー主張、他の犬とのコミュニケーションなど、さまざまな意味があります。また、不安などのストレスからマーキングすることもあるので、自分を落ち着かせる効果もあるようです。問題とされることが多い行動ですが、マーキングそのものは自然に生きていく上で大切な行動でもあるのです。
犬のマーキングと排尿は違うの?
マーキングと排泄の意味合いは全く違うのですが、行動的には同じおしっこをしているので、散歩の最初のほうは排泄とマーキングと同じになっていたりします。ただ、数回した後におしっこが出ていないのにしてしまっているのは、マーキングといえるでしょう。マーキングとは、排泄目的ではなくにおいい付けが目的の行動のことをいいます。
犬があちこちでマーキングする理由

犬のマーキング行動の意味は「におい付け」ですが、犬によって屋外や室内など、マーキング行動をする場所がさまざまだと思います。マーキングをする場所によってどんな意味があるのか、それぞれ解説します。
散歩中のマーキング
いろいろな意味合いがありますが、ほとんどの場合はマーキングをすることによってテリトリーの自己主張や、他の犬との情報交換が目的です。ただの習慣でしている子も多いでしょう。室内でのマーキング
他の犬のにおいもしないのに家の中で何度もマーキングしてしまうなら、不安を感じている、落ち着かない、などの理由があるのかもしれません。運動不足などの欲求不満やストレスが原因の場合もありえます。もしくはそれらがきっかけで、家具などにマーキングすることが癖になっているということも考えられます。人に対してしてしまうマーキング
飼い主にする場合は、他の犬のにおいを付けてきた場合などヤキモチをやいた可能性がありそうですが、来客などに対してもするなら、支配欲や所有欲の強さからでしょう。犬のマーキングをやめさせるためのしつけ方

散歩中にマーキングしそうになったら、早めにリードを短くして、まずは動きをしっかりコントロールすることが大切です。犬がマーキングしていることを飼い主さんが気付いてないことも多いので、しつけでやめさせる以前に、飼い主さんがその都度ちゃんと止められるように気をつけることです。
しつけの問題以前に飼い主さんの意識の問題でもあります。その上でお散歩トレーニングでリードコントロールして、マーキングそのものの習慣を変えていきましょう。
室内でのマーキングはいろいろな原因があるので、まずはその原因を取り除いてあげることが大切です。その上でいつも同じ場所でしてしまっていたり、習慣になってしまったりしているなら、その場所でご飯やおやつを与えると、徐々になくなっていきます(基本的習性として、食事をする場所では排泄はしないのです)。
犬のマーキングはやめさせるべきか

マーキングそのものは自然な本能的行動ですし、無理矢理全てをやめさせるのはどうかと思います(特に未去勢や習慣化してる子に対しては)。大きな公園や自然の中では好きなようにさせてあげて良いと思います。
ただ、メリハリはしっかりつけるべきで、公園の子ども達が遊ぶ遊具や砂場や芝生など、みんなが使用する場所では絶対にマーキングさせないべきです。ウンチの放置もまた大きな原因ですが、それらが守られていないが故に、犬が立ち入り禁止の公園が増えてしまったのです。
そして僕の経験上ですが、10数年前はカフェブームで犬連れOKなカフェがすごく増えましたが、少し時間が経つとたくさんのお店が犬連れ禁止になりました。なぜかと言うと、犬連れの方のマナーが悪いからです。吠えて他のお客様に迷惑をかけたり、飲食店なのに店内でマーキングしてしまったり……。
なにより問題なのは、飼い主さんがそれらを「問題や迷惑行為だと認識していなかったから」だと思います。自分の愛犬の行動には責任を持ち、しっかりコントロールするべきです。
さらには、散歩中に関しては犬がおしっこをしたらお水をかけるというのもマナーですが、だからといってお水さえかければどこでもマーキングさせていいかというと、そんなわけはありません。他人のおうちの門や敷地内など、そもそもさせるべきではありませんよね。
しかし、犬にはマーキングして良い場所と悪い場所は認識できません。においが気になるところにはマーキングしたくなってしまいます。そこで、飼い主さんがきちんとマーキングコントロールしていけるよう、しつけをしていきましょう。
避妊去勢手術は犬のマーキング予防に効果的か

マーキングという行動が起こりやすくなる時期の前に避妊去勢することは、高確率でマーキング行動の予防になります。(あくまでマーキング予防についてです。去勢避妊の適切な時期についてはいろいろな考え方があります。)
ただ、避妊去勢後しばらくしてから、他の犬の真似をしてするようになる子もいます。身近にマーキング癖のある犬がいたら、特に真似してしまいやすいです。
逆に、マーキング行動が起こりそれが習慣化してしまうと、その時点で避妊去勢しても行動は治まりにくいです。ただ稀に、手術した途端にしなくなるケースがあるので、あまりにマーキングで困ってるなら何歳でも避妊去勢はおこなう価値はあると思います。
犬にマーキング防止グッズは活用すべき?

マーキング癖のある子は、マナーベルトは必須です。屋内(カフェやショップ、自宅以外の友人などの家)では当然ですし、屋外でも状況によってはマナーベルトするべきです。
ただ、「マナーベルトをしているからおしっこは外に漏れない」からといって、カフェやショップで足を上げておしっこポーズをしている愛犬をそのままにしている飼い主さんをたまに見かけます。いくらおしっこがマナーベルトで防がれてるとはいえ、見てるほうは気分が良くありません。飼い主の責任とマナーとして、させるべきではありませんので気をつけましょう。