犬用車椅子のオーダーメイドやレンタル価格とは?もう一度走るために
「犬に車椅子」なんて考えたことがない人が多いと思います。それでも、もしものときのために健康なうちから車椅子がどんなものなのか、値段や購入方法など考えてみてください。今回は犬の車いすについて実体験をもとに紹介します。
もしあなたの大切な愛犬が、病気やケガ、または年齢を重ねることで体が不自由になった時、以前のように動けるようになって欲しいとさまざまな治療やケアをされると思います。ただし犬は、人間のように動かなくなった機能を何とかして(リハビリをして)動けるようにしようという考えはありません。今の自分の体を受け入れ、生きることだけを考えている犬たちに、私たち飼い主は何ができるのでしょうか。今回は犬の車椅子について実体験をもとに紹介します。 最近ではショップにサンプル品が置いてあることもあり、何度か犬用の車椅子を目にする機会はありました。ただ実際に足が動かなくなった愛犬に車椅子をすぐに買おうという決断にはなれず……。
費用はもちろんですが、愛犬が車椅子を受け入れてくれるのか、車椅子を使うことによって本来回復する見込みがあるのに、歩くことを諦めてしまうのではないかなど。我が家に限らず、車椅子に乗せるという決断はとても難しく、皆さんとても悩まれているようです。 フレンチブルドッグの場合、上半身の筋肉が発達しているので車椅子を上手に乗りこなす子が多いと病院の先生からは言われました。確かに「命(みこと)」は前足だけで、家中のどこにでも行けましたし、時折上半身だけで後ろ足を持ち上げ、まるで逆立ちをしているような格好で歩いて来ることもありました。そんな姿に、「もしかしたらそのうち歩けるようになるのでは?」と車椅子を決断できずにいました。
手術から4カ月後、フレンチブルドッグのオフ会に参加した時、「命」と同じヘルニアの永吉君が車椅子で参加していました。気さくなママさんが「命ちゃんも乗ってごらん」と永吉君の車椅子を貸してくれました。
乗せた瞬間に一気に走り出した「命」。ヘルニアになる前のように大好きなドッグランを走り回る姿を見て、車椅子に乗せようと決めました。「命」が永吉君の車椅子を上手に乗りこなしたので、永吉君と同じペット車椅子専門店ONE OFF PROさんで車椅子を作ることにしました。
もともと走ることが大好きで、ドッグレースやレトリーブ(※)に挑戦したこともあり、車椅子をすぐに乗りこなすことができました。車椅子は軽いのでカートに載せてどこにでも持ち歩きましたし、歩けそうな場所があればカートから下し車椅子に乗せ一緒に歩きました。ほとんどの車椅子は飼い主が一人で乗せられるように作られています。慣れてくると数分で装着出来ますよ! 高木さんは自身で飼われている愛犬のリュウ君が2歳でヘルニアになったことがきっかけで犬用の車椅子を作り始めたそうです。現在12歳のリュウ君は車椅子を必要としないまでに回復し、シニアライフを楽しんでいます。
体重別に約5キロまでの重さの子は車重が800グラムまで、5〜10キロまでの重さの子は車重が1.2キロまで、10〜15キロまでの重さの子は車重が1.8キロまで。より詳しく精密に製作する場合は動物病院からレントゲン撮影の原紙を頂きそこから計算して製造しているそうです。またフルオーダーの場合は色やタイヤなどを選び、愛犬の名前を入れたりすることも可能です。タイヤはアスファルトもちろん、ウッドデッキ、芝生の上などさまざまな路面に対応しているものがほとんどです。北海道の雪道用にタイヤの代わりにスキーやキャタピラーなどもあります。
「命」も始めは後ろ足を引きずりながら乗っていたので、足の毛が擦り剥けたりしていました。ところが乗せているうちに、麻痺していた後ろ足が前足の動きに合わせて動くようになってきました。車椅子以外にも、足を回したり、鍼治療、レーザーなどもやっていたのでさまざまな要因が考えられますが、実際に動き始めたのは車椅子に乗りはじめてからなので、「命」には車椅子でのリハビリが合っていたようです。 車椅子に乗るにはある程度前足の筋力が必要です。ドッグレースをやっていたのと、フレンチブルドッグという犬種柄、上半身の筋肉が発達しているので、「命」の場合はじめからスイスイ走ってくれました。ヘルニアになってからはもうドッグレースに出ることはないと思っていましたが、楓のレースに連れて行くと「命」も走りたがったので走らせてみたところ無事に完走。 レースに参加できたことが嬉しくてそれだけでも満足だったのですが、車椅子製作の高木さんから思いがけない提案を頂きました。「レース用の車椅子を作りましょう」と。「命」が乗っている車椅子はお散歩などで普通に歩く分には問題ありません。でも走る動作は歩くとはまた違った衝撃が体にかかるようです。「命」の走る動画を何度も観ていただき、タイヤを替え、ダンパーやスタビライザーのついた車椅子2号が完成しました。 座面は1号で使用しているものをそのまま使うのでお値段12万円ほど。同じ頃、車椅子仲間の永吉君も「命」とは別のレースに参加していました。永吉君はそのレースでMVPを獲得。車椅子だって何でもできるんですよ! 一見苦しそうに思える体勢ですが、伏せをしている状態です。またお座りができる車椅子もありますが、精密な調整が必要で高額になります。 お店の前で調整していたところ、たまたま車で通ったご夫妻が降りてきました。フレンチブルドッグを飼われているご夫妻で、車椅子で楽しそうに走っている姿を見かけて思わず声を掛けたそうです。我が家も「命(みこと)」の体が動かなくなった時は、悲しくてとても落ち込みました。でも今は「命」が元気に車椅子で歩いている姿をみると明るく前向きな気持ちになります。「命」と永吉君はこれからもいろんなところに行って、いろんなことに挑戦したいと思っています。
犬の車椅子とは
犬の車椅子は病気や事故などによって引き起こされる骨折やヘルニア、麻痺など、さまざまな理由により歩けなくなってしまった犬のための歩行補助具として誕生しました。愛犬の車椅子という決断
2017年1月、我が家の愛犬「命(みこと)」が突然ヘルニアグレード5を発症。緊急手術でいのちは助かりましたが、両足が完全に麻痺して立つことも歩くことも出来なくなりました。そんな「命」にもう一度歩くきっかけをくれたのが車椅子でした。費用はもちろんですが、愛犬が車椅子を受け入れてくれるのか、車椅子を使うことによって本来回復する見込みがあるのに、歩くことを諦めてしまうのではないかなど。我が家に限らず、車椅子に乗せるという決断はとても難しく、皆さんとても悩まれているようです。
手術から2カ月ほどでカートに乗ってお散歩に行けるほどに回復した「命」
手術から4カ月後、フレンチブルドッグのオフ会に参加した時、「命」と同じヘルニアの永吉君が車椅子で参加していました。気さくなママさんが「命ちゃんも乗ってごらん」と永吉君の車椅子を貸してくれました。
乗せた瞬間に一気に走り出した「命」。ヘルニアになる前のように大好きなドッグランを走り回る姿を見て、車椅子に乗せようと決めました。「命」が永吉君の車椅子を上手に乗りこなしたので、永吉君と同じペット車椅子専門店ONE OFF PROさんで車椅子を作ることにしました。
犬の車椅子の種類
犬の車椅子は前肢用と後肢用の二つがあります。犬の車椅子は歩行補助、移動ができるようにするものですが人間用と違うのは前肢と後肢があるということです。歩行の補助であれば支えるタイプのハーネスもあります。前肢用の車椅子
犬用ハーネス Amazonで見る
前肢用の車椅子参照:M.E. Maxx
車椅子の乗せ方
- 「命(みこと)」の車椅子は基本自立します。
- 上から乗せる
- 首のバンドを止める
- 体を固定するバンドを止める
犬の車椅子の費用と紹介
値段は2万円程度~10万円ほどすることもあります。しかし、最近では犬の車椅子を扱うお店も増え、月額数千円~車椅子のレンタルができる所もあります。小型犬用車椅子 Amazonで見る
犬の車椅子 オーダーメイドのお店
- 有限会社 ONE OFF PRO 北海道の札幌市にあるペット用の運動歩行補助具を制作されている会社でフルオーダーメイドも可能です! HPはこちら:有限会社 ONE OFF PRO
- M.E. Maxx 新潟県中央区にあるお店で、アメリカで有名なペット車椅子を扱うDoggon’ Wheels社の日本代理店でもあります。後肢用だけでなく前肢用もあるのが魅力です。 HPはこちら:M.E. Maxx
- ポチの車椅子 神奈川県厚木市で犬用車椅子の制作・販売を行っています。全国の動物病院や大学病院、医療センターなどからの依頼も受けています。事前予約で当日持ち帰りもできるそうです!
- 工房スイーピー 大阪府大阪市にあるお店です。犬用の車椅子の他にもおむつカバーや犬用の靴などの保護用品も扱っているので症状に合わせて相談して購入することができます。 HPはこちら:工房スイーピー
「命(みこと)」の車椅子を作ってくれたONE OFF PRO
自分で立つことができるまでに回復した「命」。既製サイズを「命」用にカスタムしたのでお値段8万円ほどでした。自分専用の車椅子に最初は固まっていましたが、2~3回ブルブルと体を揺らしたら、すぐに歩き始めました。「命」の場合は自分で乗りやすい位置を調整しているようです。車椅子に乗り始めてからは前脚への負担の軽減、もう一度歩ける(走れる)喜びで元気を取り戻しました。※レトリーブはおもちゃやボールなどを飼い主が投げ犬がキャッチして戻ってくる競技
ON OFF PRO店主の車椅子に対する考え
「不自由な体で始まる愛犬の新しい生活が少しでも良いものになるように、飼い主さんのお手伝いをしたいです。そして車椅子は新しい生活のためのリハビリ器具の一つとして考えて欲しいです。また生活をしていく中で体の動きは変化していきますので、その都度調整や乗り換えが必要な場合もあります。そういった意味でも完璧な車椅子といった完成形はまだ見つかっていません。そして犬の車椅子をいまだに好奇な目で見る人が多いですが、目指すはカッコいい車椅子。羨ましいくらいのカッコいい車椅子をご提案できるよう努力しています」そう話す店主の高木さんは愛犬家でもあります。高木さんの愛犬「リュウ」君
車椅子の値段や重さ・デザインなど
既製サイズの場合、小型犬(チワワ等)で2万8000円~、ダックスフンドは長さがあるので4万~6万円ほどです。フルオーダーは12万円~で、犬種や骨格によって値段も重さも変わります。フルオーダーの場合、愛犬の動きを確認し、その子の歩き方の癖に併せた車椅子をご提案しているそうです。体重別に約5キロまでの重さの子は車重が800グラムまで、5〜10キロまでの重さの子は車重が1.2キロまで、10〜15キロまでの重さの子は車重が1.8キロまで。より詳しく精密に製作する場合は動物病院からレントゲン撮影の原紙を頂きそこから計算して製造しているそうです。またフルオーダーの場合は色やタイヤなどを選び、愛犬の名前を入れたりすることも可能です。タイヤはアスファルトもちろん、ウッドデッキ、芝生の上などさまざまな路面に対応しているものがほとんどです。北海道の雪道用にタイヤの代わりにスキーやキャタピラーなどもあります。
スキータイプ(左)とキャタピラタイプ
車椅子でできること
皆さんが想像する車椅子は「歩行困難になった犬のサポートしてくれる乗り物」といったイメージでしょうか。私も「命(みこと)」が乗るまでは「動かない足の代わり」と思っていましたが、前足への負担の軽減、正しい姿勢を保つことでリハビリにもなる場合があるようです。「命」も始めは後ろ足を引きずりながら乗っていたので、足の毛が擦り剥けたりしていました。ところが乗せているうちに、麻痺していた後ろ足が前足の動きに合わせて動くようになってきました。車椅子以外にも、足を回したり、鍼治療、レーザーなどもやっていたのでさまざまな要因が考えられますが、実際に動き始めたのは車椅子に乗りはじめてからなので、「命」には車椅子でのリハビリが合っていたようです。