AAFCOをペット栄養管理士が解説|ドッグフード・キャットフードの最新栄養基準とは

AAFCOをペット栄養管理士が解説|ドッグフード・キャットフードの最新栄養基準とは

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AAFCO(アーフコ・全米飼料検査官協会)はペットフード(ドッグフード・キャットフード)の栄養基準を策定しているアメリカの団体で、日本でも多くのフードメーカーが総合栄養食の基準として採用しています。犬猫別の最新基準(2016年版)や注意点をペット栄養管理士が解説します。

AAFCOとは

AAFCO

AAFCO(アーフコ、アフコ)は、アメリカで動物の飼料やペットフード(ドッグフード・キャットフード)の栄養基準を策定している非営利の民間団体です。正式名称は「The Association of American Feed Control Officials」で、「全米飼料検査官協会」と訳されています。

日本では犬や猫が毎日の主食にできるドッグフード・キャットフードのことを「総合栄養食」と呼びますが、その際の栄養基準として一般的に利用されているのがAAFCOの栄養基準です。PETOKOTO FOODSAAFCOの栄養基準を満たした総合栄養食になっています。

国内メーカーの多くが加盟する「ペットフード公正取引協議会」という団体もAAFCOの栄養基準を採用しており、加盟社のフードには「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています」と表記されています。

なお、ヨーロッパにはAAFCOと同じように「FEDIAF(フェディアフ・欧州ペットフード工業会連合)という団体があり、ヨーロッパで作られたドッグフード・キャットフードにはFEDIAFの栄養基準が採用されています。


【最新版】AAFCOの栄養基準

AAFCOの栄養基準は定期的に見直しが行われており、現在の最新は2016年版になっています。犬と猫それぞれの栄養基準は以下の通りです。

※この栄養基準はペットフードの製造を前提としているため、一般的ではない食材の使用、調理・加工は想定されていません。手作りごはんの場合は、参考値としてご利用ください。

犬の栄養基準(AAFCO 2016)

栄養素
単位
子犬
成犬
タンパク質 % 22.5以上 18.0以上
アルギニン % 1.00以上 0.51以上
ヒスチジン % 0.44以上 0.19以上
イソロイシン % 0.71以上 0.38以上
ロイシン % 1.29以上 0.68以上
リジン % 0.90以上 0.63以上
メチオニン % 0.35以上 0.33以上
メチオニン+シスチン % 0.70以上 0.65以上
フェニルアラニン % 0.83以上 0.45以上
フェニルアラニン+チロシン % 1.30以上 0.74以上
トレオニン % 1.04以上 0.48以上
トリプトファン % 0.20以上 0.16以上
バリン % 0.68以上 0.49以上
脂肪 % 8.5以上 5.5以上
リノール酸 % 1.3以上 1.1以上
αリノレン酸 % 0.08以上 -
EPA+DHA % 0.05以上 -
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA 30:1 30:1
カルシウム % 1.2〜1.8 0.5〜1.8
リン % 1.0〜1.6 0.4〜1.6
カルシウム︰リン 1:1〜2:1 1:1〜2:1
カリウム % 0.6以上 0.6以上
ナトリウム % 0.3以上 0.08以上
塩素 % 0.45以上 0.12以上
マグネシウム % 0.06以上 0.06以上
mg/kg 88以上 40以上
mg/kg 12.4以上 7.3以上
マンガン mg/kg 7.2以上 5.0以上
亜鉛 mg/kg 100以上 80以上
ヨウ素 mg/kg 1.0〜11 1.0〜11
セレン mg/kg 0.35〜2 0.35〜2
ビタミンA IU/kg 5000〜250000 5000〜250000
ビタミンD IU/kg 500〜3000 500〜3000
ビタミンE IU/kg 50以上 50以上
ビタミンB1(チアミン) mg/kg 2.25以上 2.25以上
ビタミンB2(リボフラビン) mg/kg 5.2以上 5.2以上
パントテン酸 mg/kg 12.0以上 12.0以上
ナイアシン mg/kg 13.6以上 13.6以上
ビタミンB6 mg/kg 1.5以上 1.5以上
葉酸 mg/kg 0.216以上 0.216以上
ビタミンB12 mg/kg 0.028以上 0.028以上
コリン mg/kg 1360以上 1360以上

猫の栄養基準(AAFCO 2016)

栄養素
単位
子猫
成猫
タンパク質 % 30.0以上 26.0以上
アルギニン % 1.24以上 1.04以上
ヒスチジン % 0.33以上 0.31以上
イソロイシン % 0.56以上 0.52以上
ロイシン % 1.28以上 1.24以上
リジン % 1.20以上 0.83以上
メチオニン % 0.62〜1.50 0.20〜1.50
メチオニン+シスチン % 1.10以上 0.40以上
フェニルアラニン % 0.52以上 0.42以上
フェニルアラニン+チロシン % 1.92以上 1.53以上
トレオニン % 0.73以上 0.73以上
トリプトファン % 0.25〜1.70 0.16〜1.70
バリン % 0.64以上 0.62以上
脂肪 % 9.0以上 9.0以上
リノール酸 % 0.6以上 0.6以上
αリノレン酸 % 0.02以上 -
アラキドン酸 % 0.02以上 0.02以上
EPA+DHA % 0.012以上 -
カルシウム % 1.0以上 0.6以上
リン % 0.8以上 0.5以上
カリウム % 0.6以上 0.6以上
ナトリウム % 0.2以上 0.2以上
塩素 % 0.3以上 0.3以上
マグネシウム % 0.08以上 0.04以上
mg/kg 80以上 80以上
(ドライ) mg/kg 15.0以上 5.0以上
(ウェット) mg/kg 8.4以上 -
マンガン mg/kg 7.6以上 7.6以上
亜鉛 mg/kg 75以上 75以上
ヨウ素 mg/kg 1.8〜9.0 0.6〜9.0
セレン mg/kg 0.3以上 0.3以上
ビタミンA IU/kg 6668〜333300 3332〜333300
ビタミンD IU/kg 280〜30080 280〜30080
ビタミンE IU/kg 40以上 40以上
ビタミンK mg/kg 0.1以上 0.1以上
ビタミンB1(チアミン) mg/kg 5.6以上 5.6以上
ビタミンB2(リボフラビン) mg/kg 4.0以上 4.0以上
パントテン酸 mg/kg 5.75以上 5.75以上
ナイアシン mg/kg 60以上 60以上
ビタミンB6 mg/kg 4.0以上 4.0以上
葉酸 mg/kg 0.8以上 0.8以上
ビオチン mg/kg 0.07以上 0.07以上
ビタミンB12 mg/kg 0.02以上 0.02以上
コリン mg/kg 2400以上 2400以上
タウリン(ドライ) % 0.1以上 0.1以上
タウリン(ウェット) % 0.2以上 0.2以上

AAFCOに関する注意点

AAFCOはアメリカの団体で日本人には馴染みがないことから、飼い主さんの誤解を生み出してしまうことも少なくありません。代表的な注意点を2つ解説します。

1. AAFCOは認定機関ではない

AAFCOの栄養基準はペットフードメーカーなどに向けて公表された「ガイドライン」です。AAFCOが検査機関や認定機関として「総合栄養食」としてのお墨付きを与えるわけではありませんので、「AAFCOの栄養基準を満たした総合栄養食」があっても、「AAFCO認定の総合栄養食」はありません。

2. 基準を満たす=良いドッグフードとは限らない

AAFCOの栄養基準は成分についての基準です。「AAFCOの栄養基準を満たす」ということから分かるのは「総合栄養食である」ということだけで、品質の良し悪しは分かりません。例えば新鮮な肉を使っても鮮度の落ちた肉を使っても成分が同じなら、どちらも「AAFCOの栄養基準を満たした総合栄養食」です。

まとめ

犬
AAFCOはペットフードの栄養基準を作る団体
日本の総合栄養食の多くが採用している
フードの良し悪しの基準ではない点に注意
AAFCOはアーフコと読み、ペットフードの栄養基準を策定する団体です。日本では多くのフードメーカーが総合栄養食の基準として採用しています。AAFCOの栄養基準を満たした総合栄養食と書かれていても、それだけで品質の良し悪しを判断することはできません。毎日食べさせられるごはんかどうかを知るための情報としてご利用ください。

【動画解説】ドッグフードの選び方

YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、獣医師の佐藤先生がドッグフードの選び方について解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。