【獣医師執筆】犬が車酔いする3つの原因は?症状や対策を紹介
犬とのお出かけには何かと必要になる車。しかし愛犬が車酔いをすると「よだれ」や「嘔吐」「下痢」「ぐったりする」といった乗り物酔いの症状が出て、犬にとってもつらく嫌な時間になってしまいます。今回は、犬が車酔いになる理由や症状、その対策を獣医師の佐藤が解説します。
犬が車酔いをする3つの理由
01【犬の車酔いの理由】車の揺れ
車酔いの原理は人も犬も同じです。目で感じる「車の揺れ」や「振動」「スピード」などの情報が、平衡感覚をつかさどる三半規管が感じる情報と異なることによって脳内が混乱し、酔いが起こるのです。
02【犬の車酔いの理由】におい
車内の消臭剤や芳香剤、ガソリンといった特殊なにおいが車酔いを誘発する場合もあります。03【犬の車酔いの理由】不安・トラウマ
車酔いとは本来「体の反応」ですが、たとえ一度であっても「ツライ」という記憶が強く残ると、次からは車が動き出していなくても、嘔吐などの車酔いの症状が見られることがあります。参照
・毎日新聞 「犬の車酔い、訓練で克服」
・日本獣医師会雑誌/小動物臨床関連部門 「犬の輸送ストレス軽減のための新規鍼治療の試み」
犬が車酔いした場合の症状
初期症状
- 落ち着かない
- 頻繁にあくびをする
軽度の症状
- 泡やよだれが出る(つばが出る)
- パンティング(ハッハッと浅い呼吸)
重度の症状
- 嘔吐(吐く)
- 下痢
- ぐったりする
次第に不安や緊張からあくび・パンティング、ペチャペチャ音がなるほど舐める(よだれが出てしまうため)などの行動が見られ、重度の場合は体調へ影響します。
初期症状が見られたら、重症化する前に休憩を取りましょう。
犬の車酔い対策
大きな揺れや興奮状態にならない環境をつくる
「車の揺れ」だけでなく、ストレスを感じることで、興奮状態になり、酔いやすくなることもあります。そのため、乗車中クレートの中にいてもらう場合は、タオルなどを入れて揺れないように配慮し、タオルをかけてあげるなど落ち着く環境を作ってあげることが大切です。
抱っこして気分転換
抱っこや後部座席に座らせるなどは、犬の体が揺さぶられやすいため車酔いしやすくなりますが、しっかりと抱えてあげることやたまに外の空気を吸わせてあげることで酔い止め効果があります。ただし、窓から犬の顔を出す行為は、道路交通法違反になりますし、運転中は必ずケージに入れたり、シートベルト付きのドライブボックスに入れるようにしましょう。
食事のタイミングを考える
車で出かける直前にごはんを与えると、揺れによって吐きやすくなり、反対に空腹でも吐く子もいます。出発の時間よりも2時間ほど前にごはんを与えるか、直前になる場合には、普段与えている半量にし、目的地についたときに残りの半量を与えるなど工夫をしましょう。
酔い止めの薬を利用する
人間同様、犬にも犬用の酔い止め薬があります。旅行など車に乗せることがわかっている場合には、事前に動物病院で相談し、酔い止めを利用して「気持ち悪い経験をさせない」ということも大切。
酔い止めを飲ませる場合は、出発の30分〜1時間前に飲ませてあげることも重要です。
犬の車酔いを克服するトレーニング
車酔いの原因
車酔いは体が大きく揺さぶられることによって起こるものです。車に乗っただけで酔うという犬の場合には、ゆっくり時間をかけてトレーニングしてあげることで車に乗れるようになります。
もちろん、揺れに適応できるようになるにはツボを押したり、体幹を鍛えたり慣れという部分もありますが、まずは「車に乗っても酔わない」ようにしてあげることが大切です。
Step1. エンジンをかけずに
まずはエンジンがかかってない状態で行います。- リラックスした状態で車の周りをにおいを嗅がせたり散歩する
- 普段犬を乗せている場所のドアを開け、すこ~しずつ近付けるようにおやつやフードを与える
- 車に乗せた状態でおやつやフードを与える
- 少しずつ車に乗っている時間を伸ばす
- ドアを軽く閉め、すぐにご褒美を与える
- ドアを深く閉め、すぐにご褒美を与える
- ドアを閉めるて、すぐにご褒美を与える
最初は1〜3を日を分けて練習してあげましょう。
\Attention/
近付きたがらないのにリードを引いて無理やり近づけたり、一歩前に出たのにご褒美を与えないでさらに距離をのばしたりは絶対にしないようにしましょう。犬にも自分のタイミングがあり、せっかく勇気を出して進んだのにご褒美がもらえないとその後のトレーニングが難しくなります。
Step2. エンジンをかけた状態で
次の段階としては、Step1の1〜7をエンジンがかかった状態で少しずつ慣らしてあげましょう。その後、徐々に以下の2つもトレーニングに取り入れていきます。
- 犬を車に乗せた状態で少し前に動いてみる
- 犬を車に乗せた状態で少しバックしてみる
犬の様子を見ながら少しずつ時間や距離を振動などの刺激に慣れさせていくようにしましょう。
まとめ
車酔いは体が大きく揺さぶられることによって起きます
愛犬の様子を見ながら少しずつ車に慣れるトレーニングをしましょう
食事は出発の2時間程度前に済ませておきましょう
もし愛犬が吐いてしまっても叱ったりせず、しっかり休憩を取れるよう余裕を持って行動することをおすすめします。
参考文献
- 毎日新聞「犬の車酔い、訓練で克服」
- 日本獣医師会雑誌/小動物臨床関連部門「犬の輸送ストレス軽減のための新規鍼治療の試み」
専門家相談のインスタライブ開催中!
ペトコトのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」やトリマーやトレーナーへの相談会を定期開催しています。愛犬について気になることがある方は、ぜひご参加ください。
アカウントをフォローする