なぜ犬はうれしょんするの? 理由や対処法をトレーナーが解説

犬の飼い主さんや、犬と触れ合う機会がある方は、「うれしょん」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。うれしょんとは、犬のテンションが上がったり嬉しくて興奮状態になったりした際に、おしっこを漏らしてしまうことです。今回は犬のうれしょんについて、その理由やしやすい時期、普通の排泄との違いや対策について、ドッグトレーナーの酒匂が解説します。

犬のうれしょんとは

お腹をなでられる犬

「うれしょん」という言葉をご存知ですか? 「うれしょん」とは、犬が興奮した時におしっこを漏らしてしまう現象のことを指します。大概の場合、ワンちゃんが高揚感を感じている際に起こり得る現象といえます。

犬がうれしょんをしてしまう理由

嬉しそうなシーズー

うれしょんが起こる場合には共通した理由があります。犬にとって嬉しいことが起き、興奮と喜びで背中が丸まりやすい体勢になることから、お腹を圧迫しておしっこが漏れやすい体勢になります。もしくは、逆にお腹を見せ体の力が抜けて、我慢していたおしっこが漏れてしまうのではないかといわれています。

この行為は、犬の最上級の服従と興奮を現し、専門的には「服従排尿」「興奮排尿」と呼ばれています。

では、具体的にどんな状況下で起こることが多いのでしょうか。

飼い主が帰って来た時

「うれしい!」という気持ちから興奮してうれしょんすることがあります。犬によっては、お留守番の間、おしっこを我慢していて漏れてしまったということもあります。

また、あまりにも留守番が長い場合は、分離不安が「うれしょん」を引き起こしているとも考えられます。


お客さんが遊びに来た時

人のことがとっても好きな犬の場合、突然の来訪者が目の前に現れると大興奮してうれしょんするということもよく聞きます。ただこの場合、「お客さまの洋服を汚してしまわないか?」と飼い主さんはヒヤヒヤしてしまうと思います。どうしても心配な場合にはオムツを着けるという方法があります。

野外で好きな人と会った時

うれしょんは、家の中で起きるだけではありません。お散歩中に、好きな人に会った時にも興奮して漏れてしまうこともあります。

犬がうれしょんをしやすい時期

嬉しそうな犬

うれしょんは、精神的にも肉体的にも成長途中で不完全である、子犬の時期に多く起こります。成犬になるにつれて自然と起こらなくなるケースが多いです。

私が見ているわんちゃんも、パピーの頃はお伺いするたびにうれしょんしていた子であっても、2歳を超えると自然とおさまることが多いです。ただし、服従心の強い子の場合は成犬になっても特定の人にだけうれしょんをしてしまうこともあります。

うれしょんをしやすい犬種

ミニチュアシュナウザーの赤ちゃん

うれしょんを引き起こしやすい犬種は、チワワミニチュアシュナウザーのような小型犬が多いです。その理由は、犬は人間の愛玩目的で創り出されたという歴史と関係していると考えられています。

「犬」はオオカミと近縁であり、その姿は「オオカミの子ども」にとても似ています。遺伝的に見ても犬は「オオカミが幼形進化したもの」といわれています。外見がオオカミに似ている犬種(シベリアンハスキーなど)ほど、大人のオオカミと似た行動や特徴をとるという研究結果も発表されていますが、日本で人気の小型犬や超小型犬は幼形のまま成熟し、いつまでも子犬のようなあどけない行動をします。

小型犬がうれしょんをしやすいのは、オオカミに比べると極端に小型化され、成犬となっても「完全な大人」になり切れないということが大きく影響していると言えます。

おしっこの失敗との違い

部屋から様子を伺う犬

犬の中には、うれしょんの量が多くて「おしっこのしつけの失敗なのでは?」と懸念される飼い主さんもいるようですが、嬉しくて興奮した時に出てしまううれしょんと一般的なおしっこの失敗を区別して、判断を間違えないようにしないといけません。

おしっこを失敗するときは、大概犬は周りのにおいを嗅ぎ、おしっこをする前の準備行動をとります。しかしうれしょんの場合には、そのような精神的な余裕はありません。嬉しくてたまらない状況だからです。そのため、トイレトレーニングをさせている時期にうれしょんした場合、「状況を見誤って叱らないでほしい」とアドバイスをしています。

うれしょんは病気?

嬉しそうなゴールデンレトリーバー

ほとんどのケースで、うれしょんは病気ではありません。しかしながら、ごくまれに神経系の病気や排尿異常の場合もあります。その違いについては「嬉しい興奮状態でなくても体を丸めると漏れてしまうかどうか」ということを判断基準にするのが良いでしょう。


うれしょんの治し方

ミニチュアダックスフンドの赤ちゃん

興奮を加速させない

帰宅後すぐに愛犬に触ると、嬉しさと興奮のボルテージは急激に上昇し、うれしょんが引き起こされます。10分程度無視して愛犬を落ち着かせてから、冷静に接することで防ぐことができます。

コマンドを一つ指示する

興奮のボルテージを上げないもう一つの方法としては、コマンドで指示を出すことです。「おすわり」や「待て」などを指示して、一旦愛犬の興奮を抑えてから触ってあげると良いでしょう。この場合も興奮を加速させないように、穏やかに褒めてあげながら触ると良いでしょう。


オムツをする

来客時などはあらかじめオムツをさせておくと、お客さまが愛犬に接した際に洋服を汚す心配もありません。ですので、来客時だけオムツをさせておくこともオススメです。

まとめ

うれしょんは、嬉しくて興奮した際にしてしまう
精神的にも肉体的にも未発達なパピー期に見られることが多い
興奮した愛犬を一旦落ち着かせてから触るとしにくくなる

愛犬がうれしょんしてしまっても、「うれしょんは愛情表現」と捉えて、叱らないであげてください。うれしょんは、幼い頃の一過性であることが多いです。そのため、うれしょんも楽しめるくらい寛大な気持ちで、愛情を持って愛犬と向き合うことで、飼い主さんにとっても良い思い出となることでしょう。

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