【獣医師執筆】犬はパプリカを食べても大丈夫!与えていい量や注意点を解説
パプリカはカラーピーマンとも呼ばれ、犬が食べても大丈夫な野菜です。緑ピーマンよりも栄養豊富で、特に赤ピーマンは抗酸化作用が期待できます。今回は犬にパプリカを与える際の注意点や与えていい量、生や加熱調理の違いについて解説します。
犬が食べて大丈夫なパプリカの栄養成分
パプリカも緑のピーマンも同じ「ピーマン」ですが、肉厚で大型な品種をパプリカと呼びます。緑のピーマンは未成熟な果実ですが、パプリカは成熟したものが出荷されます。栄養価はパプリカのほうが高く、特に赤ピーマンの栄養が突出しています。
※犬はβカロテンを体内合成してビタミンAを作ることができ、ビタミンCも体内合成できます。ビタミンA(βカロテン)・ビタミンC、ビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンとしてまとめて「ビタミンACE(エース)」と呼ばれます。赤ピーマンに含まれる赤色色素「カプサンチン」にも抗酸化作用があります。
パプリカに含まれる栄養素
赤ピーマン | 黄ピーマン | 橙ピーマン | 緑ピーマン | |
---|---|---|---|---|
エネルギー | 28kcal | 28kcal | 19kcal | 20kcal |
カリウム | 210mg | 200mg | 230mg | 190mg |
βカロテン | 1100μg | 200μg | 420μg | 400μg |
ビタミンE | 4.3mg | 2.4mg | 3.1mg | 0.8mg |
ビタミンC | 170mg | 150mg | 150mg | 76mg |
葉酸 | 68μg | 54μg | 53μg | 26μg |
※各100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)
カリウム | 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。 |
βカロテン | 犬はβカロテンを体内でビタミンAに合成することができます。ビタミンAは健康な被毛を保ち、視力維持にも役立ちます。不足することで免疫力の低下や骨の形成不全につながります。 |
ビタミンE | ビタミンEはトコフェロールとも呼ばれ、抗酸化作用を持ちアンチエイジングや認知症予防、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患への抗炎症作用が期待されます。単体では吸収効率が低く、脂質と一緒に摂ることで吸収が促進されます。 |
ビタミンC | 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。犬は体内で合成することが可能です。 |
葉酸 | 体の細胞の生まれ変わりや成長をサポートするという大切な役割を持ち、「造血のビタミン」と呼ばれます。不足すると貧血や免疫力の低下につながります。 |
※参照:「パプリカはピーマンとは違うのですか。」(農林水産省)
犬にパプリカを与える際の注意点
なお、アレルギー検査で陽性が出た食材は食べられないと考える飼い主さんが少なくありませんが、実際にアレルギー症状が出ていなければ与えても問題ありません。誤解から愛犬の食の選択肢を狭めてしまわないように、以下の記事も参考にしてください。
アルカロイド(カプサイシン)は大丈夫?
パプリカを含むナス科の植物には、アルカロイドという成分を含みます。犬が摂取すると嘔吐や下痢などの中毒症状を起こす可能性がありますが、パプリカでは相当な量を食べない限り問題にはなりません。アルカロイドは油に溶ける性質がありますので、気になる飼い主さんは油で炒めたものを与えるといいでしょう。パプリカはトウガラシの仲間でもあります。トウガラシはアルカロイドの一種で犬に毒性のある辛味成分「カプサイシン」を含みますが、パプリカにカプサイシンは含まれませんので与えて問題ありません。
※参照:「Capsaicin level of various Capsicum fruits」(International Journal of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences)
犬へのパプリカの与え方
パプリカは犬に生で与えて問題ありませんが、加熱することで消化も良くなり甘みが増すため加熱調理をオススメします。生のシャキシャキとした食感を好む子もいるかもしれませんが、甘いものが大好きな犬は、加熱されたパプリカのほうを喜ぶと思います。
ヘタは硬く消化不良になったり詰まらせたりする可能性がありますので、取るようにしてください。種やワタにも栄養が含まれ与えても問題ありませんが、種の消化は良くありませんので取ったほうがいいでしょう。
与えていい量
前提として、犬は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。与え過ぎは肥満の原因になりますし、タンパク質のため、過剰摂取は腎臓病のリスクもあります。おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。
愛犬のカロリー計算をする
まとめ
パプリカは緑ピーマンよりも栄養が豊富
特に赤ピーマンは強い抗酸化作用あり
ヘタや種を取って適量を与える
専門家相談のインスタライブ開催中!
ペトコトのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」やトリマーやトレーナーへの相談会を定期開催しています。愛犬について気になることがある方は、ぜひご参加ください。
アカウントをフォローする