子犬にとって危険な犬パルボウイルス感染症|症状や予防法など獣医師が解説

子犬にとって危険な犬パルボウイルス感染症|症状や予防法など獣医師が解説

死亡するのはほとんど、幼若齢の子犬です。パルボウイルスに子犬がかかり、二次感染がおこり、さらに治療が遅れれば、体力が奪われて死亡することがあります。犬パルボウイルス感染症の症状や治療法、消毒方法について野坂獣医科院長の野坂が解説します。

犬パルボウイルスとは

正面を見る犬

犬パルボウイルスは、抵抗力の強いウイルスです。自然界で室温でも数カ月間、感染する能力を維持できる非常に恐ろしい伝染病ウイルスです。そのため、動物病院やペットショップ、猫カフェなどがウイルスで汚染した場合には、床、壁、トイレやケージなどの念入りな清掃と消毒が必要です。

消毒にはアルコールや洗剤では効果がなく、ヒトのノロウイルスの対策と同様にブリーチやハイターなどの塩素系消毒剤を希釈し、使用する方法が推奨されています。

宿主はイヌ科動物で、猫からも検出されることがあります。実験感染では、猫、フェレットやミンクなどに感染することがわかっています。

潜伏期は4~7日間です。その間、犬パルボウイルスはリンパ節や血液中で活動しています。7日目を過ぎたころに中和抗体が出現し始め、ウイルスは減少していきます。


犬パルボウイルス感染症にかかりやすい犬種・年齢

ラブラドールレトリバー

全年齢で感染しますが、1歳以下の犬での発病が多いです。幼若な子犬が発症し、二次感染が加わると、死亡する可能性があります。

「母親からの移行抗体がなくなった」「ワクチン注射をしていない」「ストレス環境にいる」「腸内細菌が整っていない」「腸内寄生虫が存在している」といった犬は発症しやすいので、子犬が感染した可能性があれば、早急に動物病院の獣医師と治療の相談をしましょう。

犬パルボウイルス感染症の原因・感染経路

感染した犬の糞便や嘔吐物の中のウイルスや、それに汚染された食器やケージなどが経口、経鼻から体内に侵入し、感染が成立します。感染犬がいる可能性があれば、念入りに「清掃」「消毒」を行いましょう。

犬パルボウイルス感染症の症状

キャバリア

感染後、食欲不振や元気消失します。その後、嘔吐や出血性下痢がみられます。

その後、白血球の減少が認められます。発熱や脱水が認められ、二次感染が起きたとき、治療が間に合わなければ、死亡します。死亡してしまうのはほとんど、幼若齢の子犬です。



犬パルボウイルス感染症の診断

こちらを見る犬

診断方法は2通りあり、感染初期かどうかで診断方法が異なります。まずワクチンの接種歴を確認し、感染初期であれば「抗原検査」を行い、感染後時間が経過したときは「血液検査」を用いることもあります。

抗原検査(感染初期)

抗原検査では動物病院内で検査できる抗原検出キットを用いて、糞便検査をします。糞便検査は病気の後期では、反応しにくくなるので注意が必要です。

血液検査(感染後期)

血液検査は抗体の検出をします。発症しはじめた時期に抗体が産生され始めるので、発症直後は抗体が少なく、検出できない可能性があります。そのため、感染初期では有効な診断方法とはいえません。

その時期を過ぎれば、1年以上血液中に残る抗体が産生されます。

犬パルボウイルス感染症の治療法

柴犬

ウイルスへの特効薬はありません。したがって、感染を疑うのであれば、早めに入院し、現在、発現している症状である「下痢」「嘔吐」「脱水」「低血糖」などに対する対症療法(輸液療法、制吐薬、栄養剤)を行います。二次感染がある場合、治療中に回復できず、死亡することもあります。

また、白血球の減少や貧血があれば、他の犬の血液を輸血することもあります。さらに、インターフェロン、広域に効く抗生物質を投与することもあります。

発病後1週間以内に血液中に免疫ができるので、その時まで治療を行うことができれば、ほとんど急速に回復に向います。感染を疑うのであれば、なるべく早めに動物病院へ連れて行き、感染初期に治療を開始してもらいましょう。


犬パルボウイルス感染症によいご飯・サプリメント

寝てる犬

回復期には高栄養食、消化の良いフードなどで少量のご飯から開始し、徐々にご飯をいつも通りのものに戻していくと良いでしょう。

犬パルボウイルス感染症の予防

有効性に優れた予防ワクチンが開発され、国内で販売されています。このワクチンを適切に用いていれば、病気の予防はできます。動物病院で獣医師と予防接種の方法を相談し、予防しましょう。


子犬には危険な感染症です

ミニチュアダックスフンド

犬パルボウイルス感染症は、特効薬が無く、子犬が発症し、二次感染が重なれば、死亡する可能性のある伝染病です。また、伝染力が強く、完全室内飼いの犬でも感染する可能性のあるので、1頭飼いでも注意が必要です。

この病気だけでなく、他の病気も含めて、病気を理解しておきましょう。この病気の有効性に優れた予防ワクチンが開発され、国内で販売されています。適切なワクチン接種を毎年行い、愛犬が免疫力を維持できるようにしてあげましょう。

参考文献

  • Ikedaら, Predominance of canine parvovirus (CPV) in unvaccinated cat populations and emergence of new antigenic types of CPVs in cats., Virology. 2000 Dec 5;278(1):13-9.
  • Taguchiら, Effects of body weight on antibody titers against canine parvovirus type 2, canine distemper virus, and canine adenovirus type 1 in vaccinated domestic adult dogs.Can J Vet Res. 2012 Oct;76(4):317-9.
  • Taguchiら, Booster effect of canine distemper, canine parvovirus infection and infectious canine hepatitis combination vaccine in domesticated adult dogs.Microbiol Immunol. 2012 Aug;56(8):579-82.

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