【獣医師執筆】猫はささみを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫はささみを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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ササミは低カロリー高タンパクな食材として手作りごはんやおやつなど、猫が食べても大丈夫な食材です。茹で汁を普段のごはんにトッピングするのもオススメですが、腎臓病や結石の心配がある猫は注意が必要です。1日に与えていい量など与え方やアレルギーなど注意点、鶏肉を使った人気レシピについて解説します。

猫はささみを食べても大丈夫

鶏ささみ

ささみは鶏の胸肉の奥にある筋肉のことで、猫が食べても大丈夫な食材です。笹の葉の形をしていることから「笹身」と書いて、「ささみ」と呼ばれるのが一般的です。ささみは低脂質・高タンパクで、ダイエットにオススメの食材です。

猫が食べて大丈夫なささみの栄養成分

ささみはタンパク質だけでなくカリウムやリン、ナイアシン、葉酸を多く含みます。以下の表では、同じく低脂質の牛ヒレ、豚ヒレと栄養素を比較しました。

鶏ささみ 牛ヒレ 豚ヒレ
エネルギー 98kcal 207kcal 105kcal
タンパク質 23.9g 19.1g 22.7g
脂質 0.8g 15.7g 1.7g
カリウム 410mg 340mg 400mg
リン 240mg 180mg 220mg
ナイアシン 12.0mg 4.3mg 5.4mg
葉酸 15μg 8μg 1μg
※各 生100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

栄養素
特徴
カリウム 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。
リン 骨や歯の形成、エネルギー代謝に重要な役割を果たしています。腎臓病の猫ではリンの排出が正常に行われず腎臓病を悪化させてしまうため制限が必要です。
ナイアシン ナイアシンは補酵素として、エネルギーを作り出したり脂質や糖質、タンパク質を代謝したりする際に利用されます。不足すると「ペラグラ」と呼ばれるナイアシン欠乏症を引き起こし、皮膚の炎症や下痢、認知症につながります。犬は体内で必須アミノ酸であるトリプトファンから合成することができますが、猫は苦手です。そのため食事からのナイアシン要求性が高く、ナイアシン欠乏を起こしやすいとされています。
葉酸 体の細胞の生まれ変わりや成長をサポートするという大切な役割を持ち、「造血のビタミン」と呼ばれます。不足すると貧血や免疫力の低下につながります。

リンの過剰摂取は、腎不全を患うリスクが高くなります。腎臓の役割である、血中の老廃物をろ過したり、体に必要な水分の調節をする機能を衰えさせ、尿毒症や脱水症状を引き起こします。特に慢性腎不全は不治の病気です。注意して様子を見ながら、少しずつあげるようにしましょう。

リンを過剰摂取するとカルシウムが不足して骨が弱くなりますので、カルシウムとリンのバランスを考えてあげることも必要です。リン1に対してカルシウム1.2~1.5が理想的なバランスです。




猫にささみを与える際の注意点

猫

猫にささみを与える場合、以下の点に注意が必要です。
  1. アレルギー
  2. リンの過剰摂取
  3. 生肉

1. 鶏肉アレルギーに注意

鶏肉を使ったごはんを食べて皮膚が赤くなったり、痒がったりする場合はアレルギーの可能性がありますので、動物病院でアレルギー検査を受けることをオススメします。ただし、検査で鶏肉に陽性反応が出たとしても症状が出ていなければ避ける必要はありません

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。

初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 元気がない
  • 目の充血

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。


2. リンの過剰摂取に注意

リンはカルシウムと結びついてリン酸カルシウムとなり、骨や歯を形成する重要な役割を果たします。しかし、過剰に摂取すると腎臓に障害を起こし、腎臓病のリスクを高めます(※)。また、リンの過剰摂取はストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)結石のリスクも高めます。

腎臓病や結石の不安がある場合は、獣医師に相談して摂取量に注意してください。健康な猫でも毎日のようにトッピングやおやつとして与えることは避けてください。



3. 生肉に注意

鶏肉に限らず、牛肉や豚肉など肉全般を猫に生で与えることは、感染症の恐れがあります。詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。


そのほか、以下の点にも注意が必要です。

与えていい量

ささみを総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

愛猫のカロリー計算をする

猫は偏食になりやすい動物

猫は餌の好き嫌いが多く、偏食になりやすい動物です。鶏のささみは猫にとっては非常に好まれやすいので、ドライフード以外の食材に慣れてしまうと、栄養がバランス良く摂れるように配合された総合栄養食としてのキャットフードに戻ってくれないことがあります。与えすぎには注意しましょう。

香辛料に注意

スーパーマーケットで販売されているささみは、人間用に味付けされている場合は与えることを避けましょう。また、BBQソースなどで味付けをした肉をあげることも止めておきましょう。多くのソースは大量の塩や砂糖、猫が決して口にしてはいけない食材であるにんにくや玉ねぎ、ナツメグなどが含まれています。

もし、誤ってソースがかかったささみを食べしまった場合は、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。食べ物を摂取してから、数時間後に中毒症状が現れる場合もありますので注意が必要です。


骨付き肉は危険です

加熱された骨は、非常にもろくなっています。そのため、猫が骨付き肉を食べると、内臓を傷つけたり、消化されずに腸閉塞になったりする可能性があります。また、最悪の場合、窒息死も考えられます。

ささみのゆで汁は大丈夫?

ささみのゆで汁は、使うことができるので、有効活用させましょう。愛猫が風邪を引いて、食欲が低下した時は、ゆで汁をかけてドライフードをふやかして与えると、食欲がそそられて食べてくれます。ゆで汁は水分補給にも役立つので、あまり水を飲んでくれないネコちゃんに与えても効果的です。

鶏肉を使った猫用のおすすめご飯

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猫の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、猫も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。

1. 総合栄養食を適量与える

猫が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。

2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

猫のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから猫のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。

そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子猫からシニア猫(老猫)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。

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猫にささみをあげるときは適量を

猫

猫にとって鶏ささみは健康的な食材です。ただし、与え方やアレルギーには気を付けてください。基本的にささみだけですと、栄養に偏りが出てしまうので、キャットフードのトッピングやおやつとして適量をあげることをオススメします。

また、人間にとって美味しい食材でも、猫にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!

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