【獣医師執筆】猫はブリ(鰤)を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説
魚好きな猫にとってブリはよだれが出る食べ物ですよね。ブリと言ってもお刺身など熱を加えないもの、焼いたり茹でたりの調理の仕方によっては注意点があります。今回はブリの成分や猫がブリを食べる際に気を付けておきたいことを紹介します。
前提として、猫は総合栄養食のキャットフードを食べていれば、それ以外は与える必要がありません。
ブリは猫が食べても大丈夫な食材です。与える際に気をつけるべきこともあります。ここでは、猫にブリを与える際の注意点を紹介します。
厚生労働省が発表している報告によると、アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、サバやイワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生します。
鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生の状態で食べることで、アニサキス寄生虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。人間だと嘔吐や激しい痛みを伴い、犬や猫にも同様の症状を起こす可能性があります。
ヒスタミンは熱にとても強いため一度ヒスタミンが生成されてしまうと熱処理によって分解することは困難になります。予防策として新鮮な魚を購入することを心掛け、常温の状態で放置などしないようにしましょう。ヒスタミン食中毒になると摂取後2〜3時間で以下のような症状が出ると言われています。
猫はブリを食べても大丈夫
ブリは猫が食べても大丈夫な食材です。与える際に気をつけるべきこともあります。ここでは、猫にブリを与える際の注意点を紹介します。
アニサキスによる食中毒
天然もののブリには、昨今話題になっている寄生虫「アニサキス」よる食中毒の心配があります。ただ、刺し身として一般的に流通しているブリは養殖もので、寄生虫の心配はほぼありません。また、天然ものでも適切に冷凍処理されていればアニサキスは死滅しているので問題ありません。厚生労働省が発表している報告によると、アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、サバやイワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生します。
鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生の状態で食べることで、アニサキス寄生虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。人間だと嘔吐や激しい痛みを伴い、犬や猫にも同様の症状を起こす可能性があります。
参照:都内流通サケ・マス類からのアニサキスⅠ型(Anisakis simplex)第3期幼虫の検出状況(東京都感染症情報センター)
ヒスタミン食中毒
ヒスタミン食中毒はヒスタミンという物質を含有している魚を摂取することによって発症する中毒です。魚がもともと持っているヒスチジンという物質が、細菌の持つ脱炭酸酵素の働きよって魚肉内でヒスタミンを生成します。魚を常温で放置することによって細菌が増殖するので、必然的にヒスタミンの生成される量も多くなり中毒を起こす確率が高くなります。ヒスタミンは熱にとても強いため一度ヒスタミンが生成されてしまうと熱処理によって分解することは困難になります。予防策として新鮮な魚を購入することを心掛け、常温の状態で放置などしないようにしましょう。ヒスタミン食中毒になると摂取後2〜3時間で以下のような症状が出ると言われています。
- 下痢
- 嘔吐
- 舌や顔の腫れ
- 蕁麻疹
- めまい
ブリの小骨
猫は食べ物を丸のみするため、骨が残っているとそのまま飲み込んでしまう場合があります。体内を傷つけてしまう可能性がありますので、猫にブリを与える際は骨を取ってから与えるようにしてください。猫にブリの皮は大丈夫?
ブリの皮には、豊富なコラーゲンが含まれています。コラーゲンは関節の滑りを良くする効果があるため、猫にとっても安心で健康的な食材です。切り刻んで与えてあげると良いでしょう。もちろん味付けはNG
猫にブリを与える場合は、何も味付けをせずに、茹でるか蒸すかして与えてあげましょう。調理する場合も、油や塩、胡椒は使わないようにしましょう。なお、にんにくや玉ねぎは中毒症状を起こしますので厳禁です。猫をブリに与える最適な量
ブリを総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。ブリとハマチの違い
知らない人もいるかもしれませんが、実はブリとハマチは同じ魚です。出世魚(しゅっせうお)といって稚魚から成魚までの成長段階によって複数の名前を持っているのです。
稚魚の時は「わかし」と呼ばれているこの魚は、体長が40cmほどになると「いなだ」や「ハマチ」、体長60cm以上になると「ワラサ」と呼ばれるようになります。そして、体長が80cm以上になると「ブリ」と呼ばれるのです。
ブリの成分
ブリの栄養成分は調理方法によっても異なるため一概に言うことはできませんが、今回は焼きブリの栄養成分を紹介します。
焼きブリの成分(100gあたり) | |
---|---|
エネルギー(kcal) | 304 |
たんぱく質(g) | 26.2 |
炭水化物(g) | 0.3 |
脂質(g) | 20.4 |
水分(g) | 51.8 |
カリウム(mg) | 440 |
リン(mg) | 170 |
ブリには血液をサラサラにしてくれる、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれています。
カリウム
カリウムは塩分を排出する働きがあるので、血圧を維持してくれます。利尿作用が体内の水分量を調整してくれるので代謝が良くなります。DHA
オメガ3の不飽和脂肪酸の一つで、皮膚粘膜の健康を保ち脳の働きを活発にしてくれる役割があります。認知症予防にもなるので、積極的に取り入れたい栄養素の一つです。EPA
魚に多く含まれている不飽和脂肪酸です。EPAが血中に血栓ができるのを防ぐことで、血栓の詰まりが原因となりやすい心筋梗塞や脳梗塞になる確率を下げてくれます。猫がブリを食べて体調を崩した場合の対処法
ブリの身自体に中毒成分はありませんが、普段食べ慣れていないものを食べた場合、体調を崩してしまうことがあります。また、骨などが刺さってしまうと嘔吐や下痢、腸閉塞を起こす可能性もあります。
もし猫にブリを食べさせて体調を崩した場合、早めに動物病院に相談しましょう。その際に、どのくらい、いつブリを食べて、どういった調理方法で与えたかをきちんと説明しましょう。
健康な食生活を
猫にとってブリは、皮まで健康的な食材です。ただし、骨とアレルギーには注意して食べさせてください。基本的に手作りごはんは栄養に偏りが出るため、獣医師にレシピを提案してもらったり、毎日栄養を考えられる方以外は、ドッグフードのトッピングやおやつとして与えてあげることをオススメします。
人間にとって美味しい食材でも、猫にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!
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