犬が朝吠えるのはなぜ?原因やしつけ対策をトレーナーが解説
犬が朝早くから吠えて「うるさい」と思った経験は、犬と暮らしていない人でもあるでしょう。クンクン鳴くだけなら最初はかわいいと思えるかもしれませんが、ずっと鳴かれていると気になって眠れませんよね。犬の朝吠えは子犬だけでなく、成犬や老犬にも見られる行動で、育犬ノイローゼや近所トラブルになってしまうこともあります。今回はどうして犬が朝吠えてしまうのか、原因と対処方法を解説します。
目次 [開く]
犬の朝吠えに困る飼い主さんとご近所さん
明け方の早朝時間に吠えだす犬。「まだ寝ていたいのに……」と困っているのは飼い主さんだけではありません。小型犬であっても犬の吠え声というのはよく通る大きな声をしています。マンション、戸建てに限らず「うるさい」と思っているご近所さんはいるでしょう。これに適切な対応をせず、その場しのぎで過ごしていると吠えはどんどんエスカレートしていってしまいます。そして、クレームや最悪の場合引っ越しをしなければいけなくなるほど、無駄吠えは問題となる行動なのです。
犬が朝に吠える原因
まずはどうして犬が朝に吠えるのか、その原因を考えてみる必要があります。愛犬の行動、そして飼い主さん自身の行動を振り返って考えてみましょう。要求吠え

朝吠えの理由として多いのが要求吠えです。
- ケージから出してほしい
- お腹が空いた
- トイレがしたい
- お散歩に行きたい
- 遊んで欲しい
- 早く起きてきてほしい
など、犬が飼い主さんに対して何らかの要求があるときにするのが要求吠えです。これは、あとの学習による吠えにもつながってきます。
警戒吠え

犬は、音や動き、においにとても敏感に反応します。朝というのは人が活動し始める時間帯でもあります。
- 新聞配達
- 早朝出勤の人
- 部活などで朝早い学生や子どもたち
- 鳥のさえずりや野良猫
など、知らない人が家の前を通ることに反応しているということも考えれます。特に、人の気配を感じやすい戸建てでは警戒吠えというのは多いかもしれません。そして最も大事なのが、足音や子どもたちの声に対して警戒心を強めているのか、窓から見える姿や影なのか、というところまで知ることです。
こちらも、要求吠え同様、繰り返されることで強化されてしまうので、次の「学習による吠えも」合わせてお読みください。
学習による吠え

学習による吠えは、繰り返し成功経験をすることで、その行動が頻度が増える(強化される)ということです。
例えば、最初のきっかけはただ寂しくて何気にクーンクーンと鳴いただけだとします。しかし、その寂しげな鳴き声に飼い主さんが心配して起きてきてくれたとしたら、犬は「鳴いたら飼い主さんが来てくれた」と思うでしょう。1回では確信がなくても繰り返し同じ経験をすることで、鳴いたら(吠えたら)起きてきてくれると学習します。これは、ケージから出してあげる、ご飯をあげるというのも同じことです。
そして、警戒吠えも同様です。「誰だ!」「こっちに来るな!」と警戒して吠えた相手が、いなくなって行くという成功経験は繰り返され学習に変わっていきます。もちろん、吠えられた人は、たまたまそこを通っただけ、用事があっただけなのですが犬にとってはそんなこと理解できません。
一度確信を持って学習したものは、犬はとても自身満々になります。寂しげに鳴く鼻鳴きで反応してもらえなくなると、次第に吠えへと変わっていきます。
病気によって吠えることも
犬が吠えるのには必ず何らかの理由があります。しかし、それが外的要因ではないこともあります。吠えから病気が疑われるのは、体の痛み、認知症、ストレス、難聴などが挙げられます。詳しくは「犬の吠え」についての記事をご覧ください。とはいえ、病気の場合には朝だけ、夜だけと限定されることが少ないので様子を見て判断してあげてください(関節炎がある子の場合には、気温や気圧で吠えることがあります)。
吠えさせないためのしつけと対策
まずは、愛犬がなぜ吠えているかの原因を突き止めることが大切です。要求吠えの場合の対策
要求吠えの場合には、犬の要求吠えに応えないことが大切ですが、吠えさせないために対策するようにしましょう。- ご飯の回数を増やす・寝る前に与える。
- 寝る前に疲れさせてあげる。
- トイレトレーニングが終わるまでは、トイレシートをケージの中に敷いてあげる。
警戒吠えの場合の対策
警戒吠えの場合には、人の気配を感じないようにしてあげましょう。ケージやクレートで寝かしている場合には、上から大きめのタオルをかけて暗くしてあげるのが効果的です。学習による吠えの場合の対策
学習して強化されてしまった場合はとても難しいです。学習してしまった内容を新しく上書きするのはとても時間のかかることです。要求吠えであれば応えないことが1番ですが、まずは環境を変えてあげるようにしましょう。吠えについての詳しいしつけ方は関連記事をご覧ください。
愛犬に合わせた生活リズムはやめよう

愛犬はとてもかわいくつい甘やかしてしまいがちですが、それでは飼い主さんが疲れてしまうでしょう。犬が吠えるから朝起きる、遊んで欲しいとおもちゃを持ってきたから遊んであげるでは、応えてもらえなかったときに過剰な行動へ出ることがあります。それは後に問題行動となり、今よりもつらい日々になってしまうでしょう。
犬も長年繰り返してきた生活を変えることはストレスになります。きちんと飼い主さんがルールを決めて、ワンちゃんには飼い主さんの都合に合わせてもらいましょう。