【獣医師執筆】猫はポカリを飲んでも大丈夫?脱水症状対策に有効も量や与え方に注意
熱中症や脱水症の予防に良いとされるポカリは、猫が飲んでも大丈夫な飲み物です。ただし、猫用のポカリが販売されていますので、飲ませる場合は猫用を利用するようにしましょう。今回はポカリが猫に与える影響や与える際の注意点を紹介します。
猫はポカリを飲んでも大丈夫?
しかし脱水症状は猫にとって、最悪死亡してしまうこともある危険な症状です。ポカリを飲ませただけで回復するとは限りません。ポカリはあくまでサポート役、熱中症や脱水症状をみせた場合は、獣医師にきちんと見てもらいましょう。
また、猫が低血糖症になったときに、砂糖水を飲ませる方法がありますが、この砂糖水をポカリなどスポーツドリンクで代用させることもあります。低血糖症は、特に子猫の場合、命を落としかねない危険な症状です。応急処置としてポカリを与えたあとは、すぐに獣医師に診てもらうようにしてください。
猫にポカリを与える際の注意点
熱中症対策としてはもちろん、スポーツをしたときや風邪をひいたときなどの水分補給に良く飲まれるのがポカリは、大塚製薬が販売しているスポーツドリンクです。体内にすばやく吸収されるように、人の体液に近い成分を含んだ電解質(イオン)溶液になります。そんなポカリを猫に与えるときに注意すべき点は以下の通りです。
1.糖分の摂り過ぎ
ポカリをはじめとしたスポーツドリンクには、基本的に飲みやすいように砂糖が入っています。少々、糖分を摂り過ぎたからといって、猫の体にすぐに何かの症状が起こることはほぼありません。しかし、長期的に考えると肥満や糖尿病などのリスクにつながるので注意しましょう。2.塩分の摂り過ぎ
人の場合、塩分過多は高血圧の原因になるので、なるべく塩分を摂りすぎないように気を付けている方も多いと思います。同じように猫も塩分に気を付けたほうがいいと思う方も少なくないのですが、人と猫では体の作りが違います。例えば、「正常猫ではナトリウム含有量が異なる3種類の食事を7日間にわたり給餌したところ、(中略)血圧の変化は見られなかった」(※1)や「犬猫の腎臓病に伴う高血圧症ではナトリウム制限の有効性は明確に示されていない」(※2)という報告もあります。
しかし、だからといって人が食べるものを猫に食べさせれば塩分過多になってしまいます。塩中毒の危険性がありますし、過剰摂取による血漿(けっしょう)高カリウム濃度が続くと猫場合は心疾患、心不全につながる恐れがあり、逆に塩分を制限し過ぎると、塩分不足の悪影響が出てしまう場合もあります。
3. 腎不全の猫の場合
脱水症状を引き起こす病気は、熱中症だけとは限りません。急性腎不全や腎不全も、脱水症状を引き起こす病気になります。そのため腎不全の猫が脱水症状を起こした場合もポカリやスポーツドリンクを与えたいと思うかもしれませんが、自分の判断で与えることは避けましょう。腎不全から起きる脱水症状の場合、糖分や塩分が含まれたポカリを猫に与えることは、さらなる症状の悪化にもつながりかねません。まずは獣医師に相談を仰いでください。猫にポカリを飲ませるのは応急処置の場合のみ
人間用ポカリは糖分や塩分も多く、日常的に飲ませることはおすすめできません。あくまでも熱中症や低血糖症の応急処置、または衰弱して食欲不振の猫の水分補給として考えておくほうがよいでしょう。子猫や老猫(高齢猫)など体力がない猫と暮らしている方は、脱水症状などで体を壊す前に普段の生活環境を見直すなどの対策をするようにしましょう。
参考文献
- ※1:三品美夏、渡辺俊文『正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動』(日本小動物獣医学会誌)
- ※2:小山秀一『犬および猫における水およびナトリウムの調節機構』(動物臨床医学)
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