猫も熱中症対策が必要!症状・なりやすい猫の特性・応急処置などを獣医師が解説

猫も熱中症対策が必要!症状・なりやすい猫の特性・応急処置などを獣医師が解説

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室内で過ごす猫でも、熱中症になる可能性があります。呼吸が早くなったり、歩けなくなったりと症状はさまざまですが、最悪の場合は死亡してしまうことも。猫は暑いとき、まめに水分補給をしたり、場所を変えたりして、自分にとって1番過ごしやすい場所を探します。一見しただけでは暑がっていることが分かりづらいため、普段からの予防が大切です。今回は、猫の熱中症について目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師の佐藤が解説します。

猫の熱中症とは

アイペット社データ

熱中症とは体温をうまく下げることができず、全身の働きが低下している状態のことをいいます。基本的に猫は室内飼いのため、外の影響を受けにくいですが、猫も熱中症にかかることがあります。

実際にアイペット損害保険では2018年8月に犬と猫の熱中症に関する調査を行った結果、「ペットも熱中症にかかることがあることを知っている飼い主さんは約8割いる」ものの、「約2、3匹に1匹は熱中症の症状が疑われたことがある」という結果が出ています。

猫も熱中症になる恐れがあることを理解した上で室温や湿度の調整など、対策をしましょう。

猫の熱中症の症状

ブリティッシュショートヘアー

猫の熱中症は、非常に症状の見分けがつきにくいことが特徴です。しかし、呼吸が荒くなることは、唯一の見分けるポイントかもしれません。

軽度〜中程度の症状

  • 発熱する(大半が39.5℃以上)
  • 呼吸が荒くなる
  • 立ちすくみ、ボーッとしている
  • ふらつく
  • ぐったりして元気がない

重度の症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 痙攣
  • 失神・昏睡状態

重度の症状を呈すると、死亡に至る可能性があります。体温が40〜43℃になると非常に危険な状態です。

猫の熱中症の応急処置

寝転ぶ猫

猫の意識がある場合

体温が39℃になるまで流水をかけてください。氷水を飲ませる飼い主の方がいますが、氷水は逆効果になるため、与えないようにしてください。

猫の意識がない場合

できるだけ早く動物病院に行きましょう。その際、できれば気道をふさがないように舌を外に出した状態で運んであげてください。

そして首、脇の下、股などの太い血管がある部位にタオルなどで包んだ保冷剤を当て、冷やすようにしてください。このとき、冷やしすぎると逆効果になりますので注意しましょう。

動物病院に連れていく前に、動物病院へ連絡を入れると、救命率がさらに上がります。

熱中症になりやすい猫の特性

こちらを見る猫

以下の条件が重なるほど、熱中症になりやすくなります。

  • 短頭猫種
  • 肥満猫
  • 病気を患っている(主に心臓病・呼吸器疾患)
  • 子猫・老猫

短頭猫種

ペルシャ猫などの鼻が潰れているような猫種は呼吸の通り道が細いため、熱中症になりやすいといわれています。

肥満猫

太り気味の猫も注意が必要です。脂肪は熱を閉じ込めるため、体内に熱がこもりやすい傾向があります。さらに、肥満は心臓や呼吸の機能に悪影響を及ぼします。体にとって悪い影響になることは多いため、ダイエットをおすすめしています。

病気を患っている猫

特に、呼吸数が上がる疾患(心臓病、呼吸器系、脱水)は注意が必要です。心臓病は具体的に、「僧帽弁閉鎖不全症」「肥大型心筋症」「フィラリア症」などが挙げられます。

呼吸器系は「猫喘息」「ウィルス性鼻気管・気管支炎」などが挙げられます。

脱水系は利尿剤を投与していたり、「腎臓病」「糖尿病」が挙げられます。

子猫・老猫

子猫や老猫の場合、肺の機能が成猫よりも弱く、体温調節も上手にできないため、特に注意しましょう。

猫の熱中症対策・予防法

猫UP

今までのことを踏まえた上で、愛猫が熱中症にならない環境をつくるために以下を心がけましょう。

  • 室内の温度は25〜28℃を保つ
  • 湿度は45〜65%を目安に
  • 水飲み場を数カ所設け、いつでも飲めるようにする
  • 水をあまり飲まない猫にはウェットフードか水でふやかしたドライフードを与える

万が一のことを考え、室温が見れる場所に見守りカメラの設置をしているとなお安心です。

愛猫の熱中症は室温湿度に気をつけて!

隙間から覗く猫

猫も熱中症になります
猫の「暑い」は分かりづらいため、普段から予防が重要
いつでも新鮮な水を飲める環境を作りましょう
室温は25〜28℃、湿度は45〜65%を心がけましょう
短頭種、肥満、子猫・老猫、病気を患っている猫は要注意

熱中症というと屋外で起こるものと思いがちですが、室内での熱中症も少なくありません。猫は「暑い」と言うことができませんので、普段からの予防が重要です。