猫の縄張りの範囲はどれくらい?行動範囲や家をパトロールする理由を紹介

猫の縄張りの範囲はどれくらい?行動範囲や家をパトロールする理由を紹介

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猫ちゃんと暮らしているとおうちをパトロールする姿を見かけることがありますね。猫は縄張り(テリトリー)を持つ動物です。外で暮らす猫たちは、マーキングをして行動範囲を決めることで喧嘩を避けてきました。今回は猫の縄張りについて、範囲や守るためにすることを解説します。

猫の縄張りとは

撫でられる猫

猫は縄張り(テリトリー)を持つ動物で、縄張りの中を自分の生活する領域として暮らしています。猫は現在ペットとして人と共に暮らしていますが、もともとは単独行動をする動物です。自分の縄張りを決めることによって、他の猫との縄張り争いや獲物の取り合いなどを防いでいるのです。

猫の縄張りの範囲

猫

猫は人と暮らすようになっても縄張り意識が高い動物です。猫の縄張りはどのくらいの広さなのでしょうか。

ホーム・テリトリー

ホーム・テリトリーは、いわば猫のパーソナルスペースです。猫が食事をしたり、眠ったりする場所で基本的に他の猫と共有することはありません。ペットとして飼われている猫の場合は、同居の猫や飼い主さん以外と共有することはないスペースです。ホーム・テリトリーの範囲は狭く、猫が暮らす家とその庭程度までの範囲です。

ハンティング・テリトリー

ハンティング・テリトリーとは、猫が野生で生活していたときの獲物をとらえるための行動範囲のことです。ハンティング・テリトリーの範囲には個体差があり、また食料が豊富であればハンティング・テリトリーが狭くても生活できますが、そうではない場合は広いハンティング・テリトリーが必要となってきます。

人間の社会で暮らすイエネコの場合は個体差がありますが、ハンティング・テリトリーはホーム・テリトリーの周辺、200~500mほどの範囲とされています。ハンティング・テリトリーは他の猫と共有することも多く、他の猫と遭遇してもホーム・テリトリーほどはケンカには発展しないようです。

野良猫よりペットの猫の縄張りは狭い

野良猫の縄張り(ハンティング・テリトリー)は、ペットの猫の縄張りよりも広いことが多いです。猫は狩りの必要がなくても習性として縄張りを持ちますが、ペットとして飼われている猫は自分で狩りをして食べ物を得る必要がありません。野良猫はご飯をくれる飼い主がいませんから、食べ物を得るために広い縄張りが必要となってくるのです。

メスよりオスの縄張りの方が広い

オスはメスよりも広い縄張りを持つことが多いです。オスはメスよりも強い縄張り意識を持っており、それがマーキングといった縄張りを主張する行為に現れます。オスの縄張りは食料を得るためだけではなく、繁殖相手を探すための行動範囲でもあるため、オスの縄張りはメスよりも広範囲になります。

猫のメスは発情期にしか交尾できませんが、オスは年中、交尾が可能です。そのため、相手を求めて縄張りを動き回っていますし、自分の子孫を残すために、たくさんのメス猫と繁殖するという目的のため、広い縄張りを必要とするのです。

猫が縄張りをパトロールする理由

猫

猫は家の中でも縄張りをパトロールする姿を見かけることがありますね。なぜパトロールをするのでしょうか。

祖先は単体で暮らすヤマネコ

現在ペットとして飼われているイエネコの祖先はリビアヤマネコであることがDNAの解析から判明しています。リビアヤマネコは現在でも中東からエジプトにかけての砂漠地帯に生息する小型の肉食獣で、外見や大きさはキジトラ猫にそっくりです。つまりイエネコは、祖先である野生のヤマネコのDNAを強く受け継いでいるのです。リビアヤマネコは集団で生活する動物ではなく、単体で縄張りを持ち、狩りをして暮らしています。

猫は肉食獣ではありますが小型であるために捕食される危険があり、瞬発力や運動能力に優れていますが体力はあまりないので、自分がよく知った範囲内で暮らすことが身を守る術となります。現在、人間と一緒に暮らしているイエネコたちも祖先のDNAを強く受け継ぎ、自分の縄張りを決めて暮らしているのです。


縄張りを守っている

猫が縄張りをパトロールするのは縄張りを守っているためです。縄張りは食料を得るための場所だけではなく、猫が安全に暮らすため、繁殖の相手を見つけるための大事な行動範囲です。その場所に他の猫が侵入してくることは、餌や繁殖相手の奪い合いになってしまいますね。自分が暮らす縄張りを守るために猫はパトロールを行うのです。

猫が縄張りを守るためにすること

猫

猫はさまざまなことをして自分の縄張りを守っています。

パトロール

日に何回か自分の縄張りを見回ることで、他の猫による縄張りの侵入を許さないようにしています。

マーキングする

排泄のための排尿ではなく、自分の縄張りを主張するためのマーキングとしておしっこをします。メスもマーキングをすることはあるのですが、多くの場合マーキングを行うのはオスです。

避妊手術や去勢手術を行うと、繁殖相手を探して縄張りを主張する必要がなくなるためにマーキングをしなくなることがあります。ただし発情期が来てマーキングをし始めてしまった後は、手術をしてもマーキングの癖が治らないこともあります。


鳴く

特に春などの繁殖のシーズンになると猫が大きな声で鳴いているのを耳にすることがありますね。これはテリトリーに侵入してきた猫に対する威嚇の声です。威嚇の声を発することによって自分の縄張りを守ろうとしているのです。


ケンカをする

威嚇の声によっても相手がテリトリーから出ていてくれなかった場合、自分の縄張りを守るためにケンカに発展してしまうこともあります。ケンカに負けてしまった結果、縄張りをとられて追い出されてしまうこともあります。

猫が縄張りを移動することもある?

口を開けた猫

猫は変化を嫌う動物なので縄張りの範囲内で暮らすことが多いですが、縄張りを変えることもあります。前述したように縄張りを他の猫にとられてしまい、追い出されてしまった場合は縄張りを変えざるをえません。また子育てをした母猫は、子猫が大きくなると自分の縄張りから子猫を追い出してしまいます。

多くの場合、成長した子猫を追い出すのですが、母猫の方が子猫に縄張りを譲って出て行くこともあるようです。他の猫がおらず、安全な新しい縄張りを見つけることは容易なことではないですね。それでも食料を得られることが分かっている縄張りを子猫に譲る、とても愛情深い母猫もいるのです。

飼い猫の縄張りは家

猫

飼い猫の縄張りは基本的に、飼い主さんと暮らしている家です。完全室内飼育であれば、おうちの中がその子の縄張りとなるので、おうちの中をパトロールして歩くのです。猫にとってはおうちはとても大事な場所ですから、心地よく過ごせるようにしてあげたいですね。

子猫のときから完全室内飼育にすると、自分が暮らす家の中だけを縄張りとして認識するようになります。そのため、外に出たがることもなく飼育しやすいですが、おうちから一歩でも出てしまうと、猫にとっては見知らぬ世界ということになりますから、迷ったり帰って来られなくなったります。

子猫のときから室内飼育した場合のみ、おうちの中だけを縄張りとするわけではありません。筆者は保護活動をしているので、何匹も大人になるまで外で暮らしていた子や、何年も外で暮らしてきた子を保護してきました。保護した子は全て完全室内飼育で保護し、里親さんにもそうするようお願いしています。はじめはおうちの中だけの生活に慣れないことがあったとしても、最終的にはおうちの中を縄張りと認識し、おうちの中だけで満足して暮らせるようになります。

猫はそもそも新しい環境が苦手なので、テリトリーの中で毎日変わらぬ生活をすることを好む動物です。おうちの中を猫がくつろいで過ごせるテリトリーとしてあげるといいですね!