子猫の離乳食はいつから? 作り方や量、食べないときの食べさせ方を解説

子猫の離乳食はいつから? 作り方や量、食べないときの食べさせ方を解説

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もし離乳前の子猫を保護したら、人間の赤ちゃんと同じようにお世話が必要になります。ミルクで育て、大きくなったら離乳食を与えなければなりません。離乳食はいつから、どのように与えればいいのでしょうか。毎年10匹以上の子猫を育てている保護ボランティアの筆者が、子猫の離乳食の食べさせ方や食べないときの注意点を解説します。

子猫の離乳食はいつから?

子猫

母猫が子猫を育てない場合、あるいは乳飲み子の子猫を保護した場合には、人間が子猫を育ててあげなければなりませんね。最初はミルクで育てるのですが、ある程度大きくなったときには、いきなりカリカリをあげるのではなく離乳食を与えることになります。

歯が生えてくるのが目安

子猫は生まれてから10日~2週間ほどで目が開き、3~4週間ほどで歯が生えてきます。歯が生えてくるまではミルクで育ててあげなくてはなりません。子猫の口に歯が生えてくることが離乳食を開始する時期の目安となります。

無理に離乳を進めない

数時間おきに子猫にミルクをあげるのは大変ですし、早く離乳してくれると飼い主さんもだいぶ楽になるのですが、焦って離乳を進めるのは良くありません。離乳食に移行できるかどうかは子猫の成長度合いや、離乳食の味になじめるかどうかにも関わってきます。

無理やり子猫に離乳食を与えるようなことはしないようにしましょう。ただ、子猫の成長のために必要な栄養素を考えると、いつまでもミルクだけでは栄養的に不十分になってきます。離乳の時期期になったら少しずつ離乳を進めていきましょう。

子猫のペースに合わせる

筆者は毎年10匹以上の子猫を保護し、ミルクから育てていますが、子猫が離乳食を嫌がるときは無理にはすすめないようにしています。筆者は妊娠している母猫も何度か保護したことがあり、その子たちの子育ての様子を見ていると、子猫がかなり大きくなるまでおっぱいをあげます。そのため離乳の時期になれば離乳食を与え始めますが、子猫のペースに合わせて、無理に離乳食だけに切り替えることはしません。

「離乳食になかなか興味を持ってくれない」「離乳が思うように進まない」「いつまでもミルクを欲しがる」などの様子が見られたとしても焦る必要はありません。成長するとともにやがては全員がミルクを卒業し、ちゃんとキャットフードを食べられるようになります。無理に離乳を進めた結果、体調崩すことも少なくないので、筆者は子猫の離乳は子猫のペースに合わせてゆっくり行ってあげるのがベストだと思います。

子猫の離乳食の与え方

子猫

子猫を上手に離乳させるには少しコツがいります。

最初はほんの少しから

子猫の離乳には手間がかかりますし、コツが必要です。それまでミルクしか飲んでいなかったのにいきなり大量の離乳食を与えてしまうと、下痢や嘔吐などの体調不良を招いてしまいます。子猫の下痢は治りにくく、放置すると命を落とすこともあるので軽視してはいけません。子猫に離乳食を与える際は、最初はティースプーンの半分位の量から始めるといいでしょう。

最初は食べ方がわからない

子猫の前にお皿に入れた離乳食を出しても、ほとんどの場合は自分から食べることができません。子猫はこれまでミルクを乳首から吸って飲んでいたので、お皿から舐めるという行為をしたことがありません。目の前にあるものが何だかわかりませんし、食べるものだということもわかりません。

離乳食を口元まで持っていって匂いを嗅がせたら自分で舐め始めるということもありますが、多くの場合は自分で口の中に離乳食を入れることができません。まずは飼い主さんが離乳食を口に入れてあげましょう。

ティースプーンの先にほんのちょっぴりの離乳食を取り、子猫の口を開けて入れてあげます。生まれて初めて味わった離乳食が美味しければ、自分で顔を近づけてきて食べるようになります。ただ、意欲が湧いても初めはなかなか自分でお皿から舐めとるということができません。飼い主さんがティースプーンで少量をすくい取り、子猫の口元に持っていって食べさせてあげましょう。

子猫に離乳食を与えてみても興味を持たない場合は、無理に与えないようにしてください。その子はまだ離乳の時期になっていないか、離乳食を拒否しているということも考えられます。ミルクの前に一口だけ離乳食をティースプーンで口に入れてやるなどして、離乳食に徐々に慣らしていくようにしてあげましょう。

離乳食を与える回数

最初はミルクが主で、離乳食は徐々に慣らす意味で少しずつ与えていきます。離乳の時期に近づいた子猫は、4~6時間おきにはミルクをあげなくてはなりません。それに合わせてミルクの前に少しだけ離乳食を与えるというやり方で進めていくといいでしょう。

完全に離乳食に移行しても子猫は一度にたくさん食べられませんし、食べ過ぎると下痢や嘔吐などを発症することがあります。適量を1日に何回かに分けてあげます。

一度に食べられる量にもよりますが、3~6時間おき程度に離乳食を与える必要があります。子猫は空腹の時間が長いと低血糖症を発症し、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。最低でも6時間おきには食事を与えるようにしてください。

与える離乳食の量

一度にたくさんの量を与えず、その子の体重に合わせた適量を与えるようにしてください。生後1カ月程度の子猫の場合、1回の食事量はペースト状の離乳食の場合25~30グラム程度で、それを3〜4時間おきに与えます。体重に合わせて徐々に量を増やしていきます。

離乳食が食べられるようになると自分で水も飲めるようになります。それまでは水分の補給もミルクからのみでしたが、水も飲めるようになるため子猫用の水飲みを用意してあげましょう。


離乳食の作り方

子猫

子猫の離乳食にはどのようなものを与えればいいのでしょうか。

市販の離乳食がおすすめ

現在は子猫の離乳食もたくさんの種類が売られています。市販の離乳食は子猫の栄養を考えて作られているので、市販の離乳食を利用するといいでしょう。

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離乳食はほとんどの場合ペースト状になっていますが、このペースト状のものを子猫はなかなか舐めとることができません。最初はペースト状の離乳食に子猫用の粉ミルクを溶かしたものを混ぜ、ドロドロの状態にして与えます。

このようにするとペースト状の離乳食が口やお皿に張り付くこともなく、子猫の小さな舌でも食べられるようになります。

美味しいものを選ぶ

子猫にすんなりと離乳してもらうコツは、子猫が美味しいと感じる離乳食を選ぶことです。また子猫が食べやすい離乳食であることも大切です。

筆者はさまざまな離乳食を試してきましたが、扱いやすく、猫も美味しく食べられるロイヤルカナンの「マザー&ベビーキャット」というペースト状のものを利用しています。ミルクを混ぜると簡単にドロドロになってくれますし、味も美味しいらしく子猫がすんなりと食べてくれることが多いです。

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安全なものを選ぶ

子猫に与える離乳食は、成分を確認して安全なものを与えてあげたいですね。できれば保存料が少ないもの、着色料などを使用してないものがいいでしょう。

粉末よりペースト状のものが人気

離乳食には粉末をお湯で溶かしてドロドロの状態にして与えるものもあります。これは保存の仕方が簡単でコスパ的にも優れていますが、子猫には人気がないことが多いです。筆者の経験ではペースト状のほうがすんなりと離乳食に移行できるようです。

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手づくりできる?

離乳食を手づくりするのはあまりオススメしません。栄養の面を考えても、子猫に必要な栄養を取り入れる離乳食を手づくりするのは知識が必要ですし、とても手間がかかるからです。

急に離乳の時期の子猫を保護し、手元に市販の離乳食がないときなどは、「鳥のひき肉を軟らかく煮る」「キャットフードをふやかす」などしてもいいでしょう。ただし、これは空腹による死を防ぐための応急処置ですので、すぐに専用の離乳食に切り替えてください。

離乳食を与える際の注意点

子猫

子猫の離乳は慎重に行わなくてはなりません。離乳食を与える際の注意点を解説します。

「ちゅ~る」を与えてもいい?

猫に人気の「ちゅ~る」はペースト状であり、最近では総合栄養食のものも発売されましたね。子猫用のものもあります。子猫にちゅ~るを与えれば、もちろん食べることはできるでしょう。しかし最初からちゅ~るを与えることはおすすめしません。

ちゅ~るは嗜好性が高く猫が喜んで食べてくれるので筆者も愛用していますが、ちゅ~るばかり食べるようになるのはいいことではありません。ちゅ~るはそもそも離乳食ではありませんので、最初は離乳食として作られた物を使用するようにしましょう。

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下痢になりやすい

離乳食に移行する際には、下痢を発症しやすいので注意が必要です。それまでミルクしか飲んでいなかったのにいきなり固形のものが消化器官に入ってくるので、うまく消化できずに下痢を発症してしまうのです。

離乳食の与え方で紹介した通り、はじめはほんの少しの離乳食から始め、子猫の消化器官も対応できるように徐々に慣らしていってください。気をつけていても下痢になってしまうことはあります。その際は放置せずに、必ず動物病院で診てもらいましょう。

ほんの数百グラムしかない子猫の下痢は命取りになる危険があります。薬を飲んだり、輸液をしたりすれば、そんなに重篤にならずに改善することが多いので早めに受診しましょう。

嘔吐する場合

まだ自分の体をグルーミングすることがなく、体内に毛玉も入っていない子猫はあまり嘔吐しないのが普通です。しかし食べ過ぎや何らかの体の不調がある場合は嘔吐することがあります。前述したように、離乳の際には消化器官に負担がかかることがあり、それが原因で嘔吐する場合もありますので注意が必要です。

少しずつ離乳を進めることが大切ですし、繰り返し嘔吐する際には早急に病院に行きましょう。「離乳食が合わない」「食べ過ぎ」といった原因のほかに、ワクチン未接種の子猫はウィルス感染のリスクもあります。嘔吐を伴う病気には非常に恐ろしいパルボウイルス感染症などもありますから、油断せずに病院に連れて行ってあげてください。


食べないときはどうする?

離乳食をなかなか食べてくれなくても焦る必要はありません。そのうち絶対にミルクから卒業する日が来ますので、諦めずに少しずつ離乳食を与えてあげてください。また離乳が進まない原因には離乳食がその子の口に合っていないことも考えられるので、別な離乳食を与えて様子を見てみると良いでしょう。

完全に離乳した後に離乳食を食べなくなってしまったときは、絶対に放置してはいけません。前述した通り、子猫は空腹の時間が長いと低血糖症を発症し、最悪の場合は命を落としてしまいます。幼い子猫の場合、「食べない=死」に直結すると思ってください。

なんらかの体の不調が原因の場合が多いので、必ず獣医に診てもらいましょう。食べないと死んでしまいますので、強制給餌をしてでも食べさせるようにしてください。強制給餌はペースト状の離乳食をシリンジで少しずつ与えるようにします。

なかなか食べてくれないときは、より栄養価の高い「退院サポート」や「カロリーエース」などのような栄養食を使用しても良いでしょう。これらは最初から介護用に作られているのでシリンジで与えることも比較的楽にできます。ただし、これらによって下痢を発症することもありますので、獣医師と相談しながら与えるといいでしょう。

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体重チェックをする

子猫は毎日体重が増えていくのが当たり前です。1週間で80~100gほど増えることもあります。もし子猫の体重が減ったとしたら、体に不調がある、栄養が十分ではないということが考えられます。

子猫は体調が急激に悪化しやすく、そうなった場合、簡単に命を落としてしまいます。子猫が順調に育っているかどうか、できれば毎日体重チェックをしましょう。ごく小さい時期は普通の体重計では測れないことが多いので、キッチンスケールなどを利用するといいですよ。


おしっこ・うんちをチェックする

おしっこやうんちのチェックは猫の健康管理には非常に重要ですね。子猫は特に重要で、うんちが良い状態かどうか、おしっこが十分に出ているかどうかなどをチェックしてあげましょう。

ミルクを飲んでいたときは水分摂取は充分ですが、離乳を始めると水分が不足することもあります。ちゃんと水を飲んでいるか、おしっこは出ているかをチェックすることもとても重要です。離乳の時期になっても自分でおしっこがなかなかできない子もいますので、その際は飼い主さんがお尻を刺激して出してあげてください。

下痢を発症していた場合、お尻の周りが炎症を起こしていることもありますので注意をしてあげてください。本来であれば母猫がきれいにしてくれるのですが、その母猫がいない場合は飼い主さんが代わりに子猫を清潔にし、守ってあげる必要があります。

離乳食はいつ卒業する?

子猫

離乳食はいつまで与えればいいのでしょうか。

ドライフードに移行する時期

離乳食をすっかり食べ慣れてきたら、カリカリ(ドライフード)を与えてみましょう。筆者は子猫が自分でお皿から離乳食を食べられるようになり、1週間~10日程度経過したらカリカリもすすめてみることにしています。その頃になるとお皿から食べることに慣れていますので、お皿に入ったカリカリに興味を持って鼻を近づけていきますし、「いい匂いだなあ」と思ったら口に含んで自分で食べるようになります。

カリカリに移行する際も、子猫のペースに合わせてゆっくりと進めてあげてください。最初は数粒から与えてみて、うんちの様子などに気を配りながら徐々に量を増やしていくと良いでしょう。子猫の中には離乳食よりカリカリの方が好きになって、早くカリカリを食べるようになる子もいます。

子猫用のフードを選ぶ

カリカリに移行する際は、子猫用のキャットフードを選んであげてください。子猫用は子猫の口に合わせて小さくできていますし、子猫に必要な栄養素が入っています。生後4~5カ月程度までは子猫用のフードをあげるようにしましょう。

子猫用のフードは大抵の場合、「生後12カ月まで」と書かれていますが、特に避妊・去勢した後に生後1年ずっと子猫用フードを与え続けると、肥満になってしまうことがあります。猫にも太りやすいなど、体質に差がありますので子猫の体重を見ながら、特に避妊・去勢後はフードを変えるなどの対処をしてあげてください。

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子猫のペースに合わせて離乳を

実は、離乳が始まるとミルクだけを与えていた頃よりも飼い主さんはちょっと忙しくなってしまいます。離乳食に慣れるまではミルクも、離乳食も両方あげなくてはならないからです。一度に切り替えることは子猫の体調不良を招いてしまいますので、子猫のペースに合わせてゆっくりと離乳を進めてあげてください。