【獣医師監修】犬がチョコレートを食べてはいけない理由 致死量や症状、応急処置を解説

【獣医師監修】犬がチョコレートを食べてはいけない理由 致死量や症状、応急処置を解説

チョコレートは犬が食べてはいけない食べ物として有名ですが、なぜいけないのかご存じでしょうか? クリスマスやバレンタインの時期は特に誤飲事故が増えるので、気を付けなければいけません。多少なら大丈夫と言われることもありますが、致死量は食べたチョコレートの種類や犬によって異なります。バンブーペットクリニック藤間獣医師監修のもと、犬がチョコレートを食べてはいけない理由などを解説します。

犬がチョコレートを食べてはいけない理由

板チョコレート

犬がチョコレートを食べてはいけない理由は、主にカカオに含まれる「テオブロミン」という成分の分解速度が遅いためです。テオブロミンはメチルキサンチン類と呼ばれる化合物の一種で、カフェインと同類の成分です。

人も犬も、肝臓でテオブロミンを分解します。ある実験によると、人が6時間で分解したものを、犬は3倍近い17.5時間もかけて分解しました(※1)

「高カカオ」のチョコレートは、一般的なチョコレートに比べて4倍以上のテオブロミンやカフェインが含まれているものもあります(※2)。犬はもちろん、人の場合でも中毒症状を起こす可能性がありますので、飼い主も食べ過ぎには注意が必要です。

また、ホワイトチョコレートにはテオブロミンが含まれておらず、中毒の危険性はありませんが、脂肪分や糖分が多いため与えない方が良いでしょう。

※2:「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」(国民生活センター)


犬はチョコレートを食べると死ぬって本当?

ホワイトチョコレート

アニコムの調査によると、獣医師172人に聞き取り調査をしたところ、死亡例として多かったのは、観賞用ユリの12件に次いで、チョコレートが9件、ネギ類が4件と続いたそうです(※3)

もちろん食べた量や年齢、体質など要因はさまざまあります。チョコレートを食べたから犬がすぐ死んでしまうということではありませんが、リスクのある食べ物であることには変わりはありません。


犬がチョコレートを食べた場合の症状

犬

テオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチン類は、中枢神経、循環器系、腎臓などに影響を及ぼします。中毒症状は数時間から半日ほどで表れ、主に以下のような症状が見られます。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • あえぎ(パンティング)
  • 落ち着きのなさ
  • 頻尿
  • 失禁

軽度の血圧上昇が見られ、徐脈あるいは、より一般的には頻脈が生じ、心室性期外収縮のような不整脈が表れることがあります。症状が深刻になると痙攣、昏睡などが見られるようになり、最悪の場合は死に至ります。

致死量

実験によると、犬の体重1kgあたり90〜100mgのテオブロミンを摂取すると中毒症状が出るとされています。一般的なチョコレート100gに含まれるテオブロミンが250mgほどですので、体重1kgあたり25gほどのチョコレートを食べると危険ということになります。

体重5kgの小型犬なら125g、体重10kgの中型犬なら250gのチョコレートとなり、一般的な板チョコが60gほどですので、単純計算で小型犬は板チョコ2枚、中型犬は板チョコ4枚が危険となります。ただし、高カカオを謳う商品では100gのチョコレートに1000mgのテオブロミンを含むものもありますので、その場合は板チョコ1枚以下でも中毒症状が出る可能性があります。

人の場合でもコーヒー1杯で眠れなくなったり、動悸がしたりする方がいますが、犬も同様に少量のチョコレートで中毒症状を起こす場合があります。安易に「食べた量が少ないから大丈夫」とは考えないようにしてください。

犬がチョコレートを食べてしまったら?

治療法

お手をする犬とチョコレート

テオブロミンに対して解毒剤は存在しないため、治療は催吐(さいと)させる対症療法が基本となります。摂取してから時間が経っていない場合は、催吐させることが最も一般に奨められています。

チョコレートは、溶けると「粘着性」を持つため、嘔吐してもなかなか容易に除去できません。催吐は摂食後数時間(4〜6時間)経過していても効果的とされていますが、十分効果的でない場合や禁忌の場合は胃洗浄が有用となります。

冷水や氷水を用いると、チョコレートの排除を悪化させてしまうため、温水を用いた胃洗浄が溶けたチョコレートを胃から除去する助けとなります。

活性炭はテオブロミンの半減期を短縮させるとされ、活性炭と塩類下剤の投与の場合は、4〜6時間ごとに必要に応じて繰り返します。

振戦、不安および痙攣のコントロールにはジアゼバムを用いることもあり、徐脈に対してはアトロピンを、頻脈にはリドカインやメトプロロール、プロプラノロールを投与する場合があります。膀胱粘膜からのテオプロミンの再吸収を阻止するために、膀胱に尿カテーテルを挿入しておくこともあるとされています。支持療法として輸液も行います。

  • 必要ならば気道の確保と換気
  • 酸素吸入
  • 静脈の確保
  • 発熱があればその治療
  • 心電図をモニターし、心調律不整があれば、一般的に受け入れられている方法で治療する

応急処置

眠るシーズー

飼い主が処置をすることで重病化する恐れもあるため、必ず動物病院に連絡し、先生に診てもらいましょう。緊急の場合は、先生に緊急処置を聞き、自分の判断では行動しないようにしてください。

犬がチョコレートを誤飲した場合、最悪、急性暴露後6〜24時間以内に死に至ることもあります。慢性的な摂食では、心不全になって死に至ることもあります。発見次第、食べたチョコの種類と量を把握した上で、すぐに動物病院に行くようにしましょう。

獣医師が的確な判断をすることが重要ですので、飼い主が正しい説明をする必要があります。まずは中毒物質の種類の特定と摂取経路を明らかにしてください。その上で、動物病院へ連絡し、その物のパッケージ(あるいは残っていた物質)を持っていくようにしましょう。

致死摂取量は体重や状態によって変わるため、少しでも食べた場合は念のため動物病院に電話することを推奨しています。

チョコレートケーキ・ドーナツも食べてはダメ?

チョコレートケーキ

テオブロミンが入っている以上、チョコレートケーキやチョコレートドーナッツ、チョコレートシロップも食べさせてはいけません。ただ、前述した通り、中毒の危険度に関してはチョコレートの種類と量により、クリーム成分なども入っていますので一般的な板チョコよりは危険度は低いと考えられます。

しかし、どれだけのチョコレートで中毒症状を起こすかは犬によって異なります。食べてしまった場合はすぐに動物病院で診てもらう方が良いでしょう。当たり前ですが、人の食べ物には犬には過剰な糖分や塩分、脂肪分などが含まれ、またチョコレート以外にも犬にとって有害な成分が含まれている可能性があります。誤飲に気をつけるとともに、愛犬が欲しがっているからといって与えるのはやめましょう。

犬用のチョコレート風ケーキなら大丈夫

バレンタインを愛犬と楽しみたいという方もいると思います。チョコレートケーキはダメですが、チョコレート風ケーキなら大丈夫。犬用の商品が販売されていますので、試してみるのもいいですね。もちろん、与え過ぎは禁物です。

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チョコレートの誤飲に注意すべき犬の特徴

伏せるフレンチブルドッグ

誤飲事故は、どんな犬でも注意すべきことではありますが、年齢や犬種によって起こる確率が変わってきます。

アニコムが保険契約をしていた犬で発生した誤飲事故を年齢別に調査したところ、0歳が4.4%、1歳が2.5%、2歳が1.8%、3~10歳はそれぞれの年齢で1.5%以下だったことがわかりました(※3)。イギリスで行われた調査でも、4歳未満の若い犬でチョコレートの誤飲が最も多く、次いで中年の成犬(4歳以上8歳未満)、8歳以上のシニア犬という結果になりました(※4)

若い犬ほど好奇心が強く、チョコレートの誤飲事故が起こりやすいといえるでしょう。



誤飲に注意すべき犬種

年齢の違いのほかに、犬種で誤飲の発生に違いはあるのでしょうか? 先ほどのアニコムの調査によると、契約頭数の多い上位17犬種の0歳の犬を対象に調査したところ以下の犬種は平均の4.4%よりも高い傾向にあったそうです。

  1. フレンチブルドッグ:7.1%
  2. ゴールデンレトリーバー:6.8%
  3. キャバリア:6.0%
  4. パピヨン:5.5%
  5. ラブラドールレトリーバー:5.3%
  6. トイプードル:4.5%

これらの犬種は、特に注意するようにしましょう。もちろん犬によって性格が異なりますので、該当しなかったからといって安心していいわけではありませんよ。

まとめ

チョコレートマカロン
犬はチョコレートに含まれるテオブロミンの分解速度が遅いため中毒を起こしやすい
数時間から半日ほどで中枢神経、循環器系、腎臓などに影響を及ぼす
目安として体重1kgあたり25gほどのチョコレートを食べると危険
大切なことは、犬がチョコレート食べられる環境を作らないことです。テーブルの上に放置しない、家族で危険性を共有するといったことを行い、犬がチョコレートを誤飲しない環境を作るようにしましょう。

参考文献

公開日:2016年8月7日

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