犬の肥満リスクとは? 考えられる原因や病気、ダイエット法を獣医師が解説

犬も人間と同じく、肥満になると病気にかかりやすくなります。純粋に太ってきた場合はダイエットをおすすめしますが、病気が疑われるケースもあります。今回は、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師の佐藤が犬が肥満になった場合に考えられる病気や原因、愛犬の適正体型のチェック方法、ダイエット法などを解説します。

犬の肥満で考えられる原因と病気

太り気味のパグ

摂取カロリーの増加

ごはんの量を測定せずにあげていると、知らず知らずのうちに、量が増えている場合があります。まずはごはんの量を正確に量ってみましょう。

もちろんおやつも摂取カロリーの一つです。また、ごはんやおやつの種類を変えたときに、グラム数が同じでもカロリー量が増加している場合もあります。ご家族の中にこっそりおやつをあげている人がいることもありますので、注意してあげましょう。


消費カロリーの低下

運動量の低下や基礎代謝エネルギーの低下が考えられます。運動量の低下は、散歩時間が減った、ドッグランに行く回数が減った、ということだけでなく、体のどこかが痛くて散歩に行きたがらなかったり、本当は体がしんどくてあまり動いていなかったなど、病気が隠れている場合があります。普段と違いがないか、注意してみてあげてください。

去勢手術や避妊手術を行った

去勢・避妊手術を行うと基礎代謝エネルギーが低下します。術後は食事量を減らす必要があり、一般的に30%減にすべきだといわれています。

しかし、それぞれ個体差があるので、体重測定を行いながら食事量を調整していかないと、太ってくるケースがあります。動物病院の先生に相談して管理してあげてください。


ホルモン疾患

「甲状腺機能低下症」と「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」が愛犬が太る病気として挙げられます。

甲状腺機能低下症など内分泌疾患に罹患した場合、基礎代謝エネルギーが低下します。症状は気づきづらく、「なんとなく元気が無い」「なんとなく顔に覇気が無い」などがサインとなります。

副腎皮質機能亢進症、別名クッシング症候群は、腎臓の近くにある副腎と呼ばれる内分泌腺が過剰に働いている状態です。症状は、飲水量や尿量が増加したり、腹筋の筋肉が落ちてお腹がぽっこり出てきたりします。

その他

肥満以外にも妊娠やお腹に水が溜まってしまう病気の場合、太って見えることがあります。

犬が肥満の場合のリスク

上目遣いの犬

一言でいうと病気にかかりやすくなります。脂肪が関節や臓器を圧迫するため至るところに負担をかけてしまいます。

それによって、関節や呼吸器、肝臓がダメージを受けたり、免疫力が下がるので「皮膚病」「膵炎」「心臓病」「糖尿病」などさまざまな病気になりやすくなります。

愛犬が太っていると思ったら、早いうちに動物病院で太る病気ではないか確認の上、ダイエットさせることをおすすめします。


適正体重の判断基準

本とヨークシャーテリア

犬の体重は犬種によってもばらつきが大きいため、「太っている」「ちょうど良い」「痩せている」の区別は体重ではなく体型で確認します。この体型をスコア化して評価できるようにしたものをBCS(ボディコンディションスコア)といいます。

5段階法と9段階法があり、5段階法ではBCS3が理想の体型です。9段階法ではBCS4〜5が理想の状態ですが、基本的には評価基準は同じなので5段階法についてご説明します。これはお家でも確認できるので、ぜひ愛犬の体型をチェックしてみてください。

ボディコンディションスコア(BCS)

BCS1(痩せ)

助骨、腰椎、骨盤が容易に見え、触っても脂肪がわからない状態。腰のくびれと横から見たい際の腹部の吊り上がりが顕著です。

BCS2(やや痩せ)

助骨が容易に触れます。上から見て腰のくびれが顕著、横から見て腹部の吊り上がりも明瞭な状態です。

BCS3(理想的)

過剰な脂肪の沈着がなしに助骨は触れます。上から見て、肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見た際は腹部の釣り上がりも見られる。

BCS4(やや肥満)

脂肪の沈着はやや多いものの、肋骨は触れます。上から見て腰のくびれはありますが顕著ではなく、腹部の釣り上がりはやや見られる程度の状態です。

BCS5(肥満)

助骨は厚い脂肪に覆われて容易に触れません。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着しています。腰のくびれはない、もしくはほとんど見られません。横から見て腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている状態です。

子犬、老犬の場合は?

上記BCSは成犬以上の犬が対象のため、子犬の場合はちょっとふっくらした状態が望ましいです。反対に、老犬の場合は加齢とともに痩せる傾向にはありますが、上記BCSを体型の判断基準にしましょう。


犬のダイエット法と肥満予防

振り向く犬

犬が肥満になる場合、考えられる原因は大抵飼い主さんにあることが多いです。逆に言えば、飼い主さんが管理できれば、ダイエットにつながります。

また病気で太っている可能性もありますので、ダイエットを始める前に動物病院での受診をおすすめします。ダイエットしてもどんどん太る場合は病気の可能性が高いでしょう。

体重を量る

太ったか否か判断するためにも、まずは体重を量ってみましょう。見た目は太ったと感じても実際は体重の変動がない場合があります。

また、肥満体型の評価方法はいろいろありますが、ご家庭でもわかりやすいものとすれば、肋骨が触れるか、くびれがあるか、などで評価することができます。詳しくは動物病院で適正体型を評価してもらうと良いでしょう。

食事量を量る

食事量を量ってみましょう。できれば、器にこのぐらいというような曖昧な測定方法ではなく、しっかり何グラムとはかりなどで量ってください。

市販されているドッグフードの多くには、袋の裏側などに適正食事量が記載されていますが、私たちより体が小さな犬は、ちょっとした誤差が栄養不足や肥満につながります。1日の最適カロリー量を正確に知ることが大切です。

1日の最適カロリー量は、ペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができますので、ぜひご利用ください。

適正食事量より多くの食事を与えていませんか? ごはんだけでなく、おやつも摂取カロリーとなります。おやつを与える場合は1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。

運動量を増やす

単純に運動量が少ない可能性があります。運動量を増やしてみましょう。適正な運動量の目安は体重10kgの犬で約10〜20分を1日2回で、移動距離にして1〜2kmといわれています。

ただこの目安はおおまかなもので、犬種、年齢、体格によっても違いますし、走る歩くなどの状況によっても変動しますので、その子がある程度一回の散歩で疲れていることが見受けられれば、運動量の確保ということになります。散歩やドッグラン、お出かけなどでカバーしてあげましょう。

食事量を減らす

通常の80%くらいの量にして経過を見ましょう。


改善されない場合は病院へ

パグ

肥満により、歩けなかったり、息切れが起きたり、いびきをかいたり、関節や肝臓など多くの影響があります。愛犬の寿命を短くしないためにも、可愛いからといってドッグフードを与え過ぎたり、面倒くさいからといって散歩に連れていかないことは危険です。

上記の内容を行なっても、体重に変動がない場合は疾患が隠されている可能性があります。また、妊娠の場合は、乳腺が張ってきたり、食欲が増減したりと体調の変化も見られるので、運動などを増やす前に病院で診てもらいましょう。


第3稿:2020年3月12日 公開
第2稿:2017年9月5日 公開
初稿:2016年2月13日 公開