【獣医師執筆】愛犬に鹿肉を与えても大丈夫!生食やアレルギーなど与える際の注意点を解説
ヘルシーなイメージの強い鶏肉や馬肉よりも低カロリー・高タンパクなお肉として注目されている鹿肉。犬の飼い主さんの中には愛犬に食べさせてみようと思った方も少なくないはず。鹿肉にはビタミンB群、アセチルカルニチンなどの嬉しい栄養が豊富に含まれており、犬が食べても大丈夫な食材です。今回は、犬に鹿肉を与える際の注意点や鹿肉おやつなどを紹介します。
犬が鹿肉を食べることの効果・メリット
鹿肉はタンパク質やビタミンB2、ビタミンB12、鉄などを含み、犬が食べても大丈夫な食材です。タンパク質の量は牛、豚、鶏と同程度ですが、脂質が少ないのが特徴です(部位によって異なります)。
雑食性の犬にとって、タンパク質は重要なエネルギー源。皮膚・被毛などの健康維持や、老犬の筋肉維持としてもメリットがあるでしょう。
鹿肉には牛肉の約2倍のアセチルカルニチンというアミノ酸が含まれます。犬は体内で合成できるため非必須アミノ酸ですが、脂肪燃焼の際に利用されるためダイエットの際のタンパク質源として鹿肉はオススメの食材です。
参照:『LC-MS/MSを用いたシカ肉に含まれる遊離およびアシルカルニチン含有量の測定』(日本食品科学工学会誌)
犬に鹿肉をあげる際の注意点とデメリット
栄養満点で犬にも嬉しい成分が多く含まれている鹿肉ですが、与え方などを一歩間違えてしまうと危険が伴うことも。注意点を確認しておきましょう。
01【犬に鹿肉を与える際の注意点】生肉は危険
生肉は寄生虫の懸念もあり、O157(腸管出血性大腸菌)やサルモネラ属菌などの食中毒だけでなく、E型肝炎に感染する可能性もあります。日本では2003年の4月に兵庫県で野生の鹿肉を生で食べた人がE型肝炎に感染する事例が報告されています。万が一の事態に備えるためにも、犬に鹿肉を与える際は茹でるなど十分に火を通したものをあげることを推奨します。
<E型肝炎>
E型肝炎とは、E型肝炎ウイルスによる一過性の急性肝炎です。症状は食欲不振や嘔吐、発熱などが挙げられますが、E型肝炎の致死率は高く、十分に気をつける必要があります。参照:「最近のE型肝炎の増加について(2016年4月27日現在)」(国立感染研究所)、「食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について」(厚生労働省)
02【犬に鹿肉を与える際の注意点】鹿肉アレルギー
食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。鹿肉は牛肉や豚肉に比べると、「低アレルゲンの食品」といわれていますが、鹿肉アレルギーを持っている子もいるので最初は少量を食べさせることからスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状などが見られます。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方でアレルギーテストで陽性になった食材は全て食べれないと考える飼い主さんも多いですが、症状がなければ問題ありませんので、注意しましょう。
03【犬に鹿肉を与える際の注意点】腎臓病
鹿肉はたんぱく質が豊富な食材です。犬がダイエットをしていたり、皮膚の健康を促したりする場合は、たんぱく質を摂取することは効果的といえます。しかし、腎不全や慢性腎臓病など腎臓に疾患を抱えている場合にたんぱく質が豊富な食材を摂取してしまうと、病気の症状が悪化してしまう恐れがあります。
04【犬に鹿肉を与える際の注意点】与える量
総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。
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05【犬に鹿肉を与える際の注意点】与える頻度
鹿肉は嗜好性が高いので、鹿肉ばかりあげてしまうと普段のドッグフードを食べなくなる恐れがあります。犬は元々肉食動物だったため、「鹿肉のみを食べていても犬は健康に過ごせる」という意見もありますが、犬が体内の臓器などに疾患を持っている際などは療養食や総合栄養食が推奨されています。
まとめ
腎臓病の犬には与えないで
嗜好性の高い食材です
与える際は十分に熱を通したものを
基本的に鹿肉だけですと、栄養に偏りが出てしまうので、ドッグフードのトッピングやおやつとして適量をあげることをオススメします。
人間にとって美味しい食材でも、犬にとっては危険な食べ物もたくさんあります。それらをきちんと理解した上で、楽しいペットとの食ライフを過ごしてくださいね!
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