【獣医師執筆】犬はシナモンはNG!危険性や中毒症状、対処法を解説
独特の香り高さが特徴で、「スパイスの王さま」と呼ばれるシナモン。漢方の世界では「桂皮(ケイヒ)」と呼ばれ、滋養強壮や血行促進、鎮痛効果などがあるとされています。ただし、シナモンを犬に与えてはいけません。今回はその理由や犬に与える影響などを解説します。
犬にシナモンを与えるべきでない理由
人にとっては健康への効果を期待できるシナモンですが、犬に与えるのはやめましょう。シナモンに含まれるクマリンという成分には、高い抗酸化作用がある一方で、肝毒性(肝臓に対して毒性を保有しており有害であること)を持っているためです。
人の場合、1日当たりの摂取量は0.6~3gが目安とされていて、過剰摂取に注意しなければなりません。犬は人間より体が小さく、クマリンによる影響がその分大きくなるため、犬に与えることは好ましくありません。
シナモンロールやシナモンクッキーといった加工品もNGです。シナモンだけでなく、バターや砂糖も多く含まれているため、肥満や糖尿病の原因となります。
もし犬がシナモンを食べてしまい、普段と違う症状が表れたら、獣医師に相談をしてください。もちろん、個体差があるため食べれる、食べても大丈夫というワンちゃんもいるでしょうが、リスクはありますので、与えない方が良いでしょう。
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犬がNGのシナモンに含まれる栄養素
カルシウム
実は、シナモンには100gあたり1200㎎のカルシウムが含まれています。牛乳のカルシウム含有量は100gあたり110㎎ですから、シナモンのカルシウム含有量は牛乳の10倍以上にもなります。カルシウムは、別名「天然の精神安定剤」とも呼ばれ、骨や歯を丈夫にするだけではなく、神経や筋肉の活動が円滑に進むようサポートしてくれます。鉄分
貧血予防に意識して鉄分を取る人も多いと思います。もちろん、犬にとっても鉄分は必要な成分です。マンガン
シナモンには、ミネラルの一種であるマンガンが多く含まれています。このマンガンは犬にとって、とても重要な成分の一つです。マンガンは、犬の関節軟骨の形成や神経機能に大きく影響しています。マンガンが不足すると、発育不全につながる恐れがあります。犬はシナモンのにおいが嫌い?
シナモン特有の香りを好む人もいれば、香りが苦手でシナモンは食べないという人もいます。シナモンの香りには、リラックス効果があるといわれていますが、人と比べて嗅覚が鋭い犬にとってはどうでしょうか。実は、シナモンの香りが苦手な犬は多くいるようです。そのため、マーキングを防ぐためのスプレーや市販の犬よけスプレーのなかには、シナモンの香りを使うものもあります。
シナモン以外で犬に良い漢方薬がある
「せっかく良い効能がありそうなのに、愛犬にはだめなのね」と、がっかりした人もいるかもしれません。ですが、シナモン以外にも多くの種類がある漢方薬のなかには、犬が口にしてもよいものもあります。近年では、人間の病院と同じように、西洋医学に加えて東洋医学を取り入れ、治療に漢方薬を使う動物病院もあるので、気になる人は一度問い合わせてみましょう。
まとめ
肝毒性のあるクマリンが含まれるため犬に与えるべきでない
シナモンの香りが苦手な犬も多い
シナモンは少量食べてしまったからといって、すぐに大きな症状が出る可能性は高くありませんが、愛犬のことを考えて与えるのは控えましょう。
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