【獣医師解説】犬がうれしょんする理由は?やめさせるしつけ方を解説

【獣医師解説】犬がうれしょんする理由は?やめさせるしつけ方を解説

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うれしょんとは、犬のテンションが上がったり、興奮状態になった際、あるいは、人や他の犬から威圧感を感じた際に、おしっこを漏らしてしまうことをいいます。決して「うれしくて排泄している」わけではありません。今回は犬のうれしょんしやすい犬種や年齢、対策について、行動診療科獣医師の奥田が解説します。

犬のうれしょんとは

興奮している犬

犬のうれしょんとは、上述した通り、犬のテンションが上がったり、興奮状態になった際、あるいは、人や他の犬から威圧感を感じた際に、おしっこを漏らしてしまうことをいいます。

決して「うれしくて排泄している」わけではありませんので、うれしょんという表現は正しくはありませんが、一般的に「うれしょん」と呼ばれることが多いため、本稿では「うれしょん」と表記します。

家族が帰ってきたとき、知らない人に出会ったとき等、一定のタイミングで排泄している場合は、病気の可能性は低いといえますが、隠れた泌尿器系の疾患がある場合もありますので、注意しましょう。

犬がうれしょんするのはなぜ?2つの理由

嬉しそうなシーズー

01【犬のうれしょんの理由】劣位行動の一つ

うれしょんと呼ばれる状態は「家族」「他人」「他の犬」などとの接触の際に、犬がおしっこを排泄する状態を指します。もともと、そうした他の個体との接触の際に排泄するのは、相手への服従心の表れです。

犬やオオカミの群れでは、狩りから戻った大人の個体に対し、子どもが大人の口の周りをなめて胃の中の食べ物のはき戻しをねだる行動が見られます。その際に、口の周りをなめるだけでなく、おなかをみせて降参のポーズをとったりもします。

口の周りをなめる行動や、降参のポーズは、劣位行動といって、優位な個体(例えば大人の個体)に対して「取り入ろう」「ねだろう」という行動です。

うれしょんも、そうした劣位行動の一つと考えられています。

興奮状態が強ければ、そうした劣位行動の表現の仕方が強くなることがあります。そのため興奮状態では、よりうれしょんが起こりやすくなります。

02【犬のうれしょんの理由】びびりしょん

さまざまな動物に共通しますが、恐怖によっても排泄することがあります。

人が苦手な犬が、人と接したときに、強い恐怖心から排泄してしまっている場合でも「やだー、うれしょんしちゃった!」と周りがその恐怖に気づいてあげらないこともあります。

劣位行動にしろ、恐怖性の失禁にしろ、おしっこを漏らすということは、リラックスした、穏やかな関係ではないことを表しています。

うれしょんしている状態は、犬にとってあまり良い状態ではないと考えた方が良いでしょう。また、避妊去勢をするとなくなるケースもありますが、明確なエビデンスはありません。

犬のうれしょんが起こりやすいシーン

仰向けで寝転ぶ犬

飼い主が帰って来たとき

飼い主が帰ってきたことによる興奮状態のなかで、飼い主が犬に覆いかぶさるように撫でる際に発生することがよくあります。

犬と人ではサイズがかなり違うため、覆いかぶさるように撫でることは、圧迫感を生じさせます。

また、留守番中におしっこをしていなくて、膀胱に尿がたまっていると、より排泄しやすくなります。

そうした経験を繰り返すうちに、飼い主の帰宅と排泄を関連づけ、飼い主の帰宅時にうれしょんが多く起こるようになります。

お客さんが遊びに来たとき

来客に対して、リラックスしていられず、強く興奮してしまう犬では良く起こります。特に興奮しつつ、知らない人への警戒心がある場合、来客が手を出した際にうれしょんが発生することがよくあります。

他人に対してうれしょんをしている場合、他人との接触に自信がない場合が多くあるため、来客を呼ぶ際は、直接触れ合わせるのではなく、ケージに入れて置いたり、リードをつけて管理する方が良いでしょう。

いきなり撫でてもらうのではなく、おやつを与えるなど、犬が受け入れられるように対応しましょう。

外で好きな特定の人と会ったとき

うれしょんは、家の中だけ、家族にのみ起きるわけではありません。散歩中に飼い主以外の知らない人に会った時に興奮して、おしっこが漏れることもあります。

犬は知らない人でも、自分から近づいていくことがよくありますが、それは相手のことを好きだからではなく、相手に取り入るため、相手から危害を受けないためにやっている場合もあるため「知らない人に近づく=知らない人が好き」とは思わないほうが良いでしょう。

特にうれしょんをしている場合は、何らかの警戒心があり、他人に対する不安感を抱いている可能性を考慮に入れましょう。

犬がうれしょんをしやすい時期

ぬいぐるみにあごを乗せる子犬

犬のうれしょんは、精神的にも肉体的にも成長途中である子犬の時期に多く起こります。

いつまでするかと言うと個体差がありますが、成犬になるにつれて自然と起こらなくなるケースが多いです。

ただし、服従心の強い犬は、成犬になってもうれしょんをすることもあります。


うれしょんをしやすい犬種

仰向けになっている小型犬

うれしょんを引き起こしやすい犬種は、チワワやミニチュアシュナウザーのような小型犬が多いといわれています。その理由は、人の愛玩目的で創り出されたという歴史と関係していると考えられています。

犬はオオカミから進化しましたが、柴犬やシベリアンハスキー等は、オオカミと遺伝的に近く「チワワ」「ポメラニアン」「トイプードル」「シュナウザー」などの、日本で人気の小型犬や超小型犬は、オオカミから遺伝的に離れています。

そうした犬種は幼形のまま成熟し、いつまでも子犬のようなあどけない行動を示す傾向があります。

小型犬がうれしょんをしやすいのは、そうした育種の過程で極端に小型化され、成犬となっても「完全な大人」になり切れないということが大きく影響しているといえます。

犬の「うれしょん」と「おしっこの失敗」との違い

ベッドで寝ながら上目遣いの小型犬

犬の中には、うれしょんの量が多くて「トイレのしつけの失敗?」と懸念される飼い主さんもいますが、うれしょんとおしっこの失敗を区別して、判断を間違えないようにしないといけません。

おしっこを失敗するときは、多くの犬は周りのにおいを嗅ぎ、おしっこをする前の準備行動をとります。

しかしうれしょんの場合には、興奮や相手からの圧迫感がきっかけとなるため、排泄の際に起こる準備行動はありません。

そのため、トイレトレーニングをしている時期にうれしょんをした場合、状況を見誤らないようにしましょう。当然、トイレのしつけも、うれしょんも叱るのは厳禁です。


犬のうれしょんは病気?

袋に隠れる犬

子犬の排泄の問題では、うれしょんだと思っていたら、先天的な泌尿器の奇形があったという場合もあります。

うれしょんであれば、犬を興奮させたり、犬に圧迫感を与えないような対応を行えば、成長と共に頻度は減っていきます。

しかし、そうならない場合、獣医師に相談し、身体の病気が関連していないか、調べるようにしましょう。

犬のうれしょんの治し方

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興奮を加速させない

帰宅後すぐに愛犬に触ると、興奮が高い状態で、圧迫感のある触り方をすることになり、うれしょんが引き起こされます。

帰宅した時は、触るのではなく、おすわりを指示してフードを与えるなど、愛犬を落ち着かせてから、冷静に接することで、うれしょんを防ぐことができます。

▶トレーニング方法
  1. 「おすわり」や「待て」のコマンドで一旦興奮を抑える
  2. 落ち着けたらおやつをあげて褒める

大げさに褒めるとまた興奮する可能性があるため、冷静に褒めてあげましょう。

撫で方を考える

興奮のボルテージを上げない一つの方法としては、撫で方を見直すということです。

激しく、ワシャワシャ顔回りを撫でるというのは犬を興奮させる方法です。そういった方法だと、犬を興奮させ、うれしょんを起こしやすくなります。

帰宅時に撫でるのではなく「おすわり」や「待て」などを指示して、一旦愛犬の興奮を抑えてから、フードを与えて褒めるようにしましょう。

この場合も、興奮を加速させないように、穏やかに褒めることをオススメします。




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まとめ

笑顔で走る犬

うれしょんは、興奮した際や、相手の関係で圧迫感を感じたときに起こりやすい
精神的にも肉体的にも未発達な子犬期に見られることが多い
愛犬を興奮させるのではなく、落ち着かせながら関わるとうれしょんを防げる

うれしょんは、幼い頃の一過性であることが多いです。

そのため、うれしょんも楽しめるくらい寛大な気持ちで、愛情を持って愛犬と向き合うことで、飼い主さんにとっても良い思い出となることでしょう。

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