【獣医師執筆】犬は食べて良い貝・食べてはいけない貝|危険性や注意点を解説

【獣医師執筆】犬は食べて良い貝・食べてはいけない貝|危険性や注意点を解説

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島国である日本で、美味しい海の幸として広く好まれている「貝」。貝は、お刺身やお寿司などの和食から、カルパッチョやリゾットなどの洋食まで、さまざまなジャンルの料理に用いられていますね。そんな貝を、犬は食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、貝が犬に与える影響や、食べても大丈夫な貝についてなどご紹介します。

犬貝を食べても大丈夫?

市場で売られている貝

犬は、貝に含まれる成分を消化する酵素をもっていないので、貝をうまく消化することができません。

また、貝の内蔵であるワタやウロと呼ばれる黒っぽい部分は、犬にとって毒となる可能性もあります。

犬が貝を食べてしまったときに出る症状

犬が貝を食べると、消化不良により下痢や嘔吐などの症状が現れる場合があります。

また生の貝には、神経機能を保つ「ビタミンB1(チアミン)」を分解する酵素、「チアミナーゼ」が含まれています。そのため、大量に摂取するとビタミンB1(チアミン)欠乏症となり、運動失調や昏睡などの神経症状が現れる可能性もあります。

そのためアメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)は、アワビはアルコールやカフェインなどと同じ「危険度レベル中(摂取量によっては危険度が高まる食材)」、その他の貝類は生卵やナッツ類などと同じ「危険度レベル低(適量であれは問題ないが、過度に摂取すると危険な食材)」に設定しています。


犬が食べてはいけない貝の種類

特に注意するべき貝は、アワビ、サザエ、ツブ貝、赤貝、トリ貝などです。

特に春(2月~5月)は、貝が毒素成分を体内に溜め込むため、毒が強くなります。未加熱・加熱済を問わず、犬には与えないようにしましょう。光線過敏症などを引き起こす可能性があります。

犬が食べても大丈夫な貝

舌をぺろっと出す犬

前提として、犬は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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牡蠣


牡蠣は、加熱して細かく切ってあげれば、犬に食べさせることができます。生のまま与えると、ビタミンB1(チアミン)欠乏症になってしまう可能性があるので注意しましょう。


しじみ


しじみも、犬が食べられる貝の一つです。ただし牡蠣と同様に、必ず加熱して細かく切ってから食べさせるようにしましょう。


貝ヒモ

貝ヒモも、加熱をすれば食べさせることができます。与える際は小さく切ってあげましょう。

ホタテの貝柱

ホタテは、貝柱の部分と、上記の貝ヒモの部分であれば食べさせることができます。こちらも、加熱して細かく切ってから与えてください。

貝柱と貝ヒモ以外の部分には毒性があるため、絶対に与えないようにしてください。


ホタテエキス

味が付いたホタテエキスの多くは、犬にとっては塩分が強すぎるため、与えないようにしましょう。味が付いていないものや、貝柱や貝ヒモのゆで汁などを使うようにしましょう。


与える際はアレルギーに注意

アレルギーは、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることにより発症する可能性がある後天性アレルギーがあります。

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。

初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 元気がない
  • 目の充血

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。




犬が貝殻を誤飲してしまった時の対処法

目をつぶっているパグ

犬が貝殻を誤飲してしまったら、速やかに獣医師に相談してください。嘔吐や下痢の症状が出る可能性もあります。獣医師には、「いつ」「何を食べて」「どのような症状が出ているか」を明確に伝えるようにしましょう。

まとめ

上目遣いの犬

基本的には、貝は犬に与えないほうが良い
加熱した牡蠣、しじみ、ホタテの貝柱と貝ヒモなら与えても大丈夫
貝殻の誤飲に注意

犬に貝を与える際は、犬に与えて良い貝か、その貝を適切に調理できているかを十分に確認した上で、少量のみ与えるようにしましょう。

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