【獣医師執筆】犬の便秘の原因は?注意が必要な症状や便秘解消の対処法を解説

【獣医師執筆】犬の便秘の原因は?注意が必要な症状や便秘解消の対処法を解説

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犬も便秘になり、1日便が出なければ要注意です。嘔吐や震え、ぐったりしているなどの症状もある緊急性の高い便秘では、最悪死に至る可能性もあります。早急に動物病院へ連れて行きましょう。今回は獣医師の佐藤が、犬が便秘になる原因や対処法を解説します。

犬の便秘は何日以上から?

うんちをする犬

便秘は病気ではなく症状です。排便回数が少なかったり、排便の姿勢はするもののうまく出せない「しぶり」が見られる状態を指します。犬の排便は1日に1〜2回が一般的ですが、1日便が出なかったら便秘傾向、3日出なかったら危険な状態と言えます。

犬の便秘の種類

犬の便秘の原因はさまざまですが、病気が絡んでいることも少なくありません。私たち人間の場合、便秘は原因別に大きく4つに分類されます。

  • 機能性便秘:大腸や直腸に異常がある
  • 器質性便秘:物理的に便が通過できない
  • 症候性便秘:病気の症状として起こる
  • 薬剤性便秘:薬の副作用で起こる

犬の場合、食欲の低下により便が作られていないことも便秘の原因として考えられます。食欲低下の原因を探るために検査を行う必要があります。

慢性的な便秘はワンちゃんの生活の質を下げますので、早めに原因を見つけて改善してあげましょう。

※参照:「便秘」(日本臨床内科医会)

犬の便秘の症状

犬

便秘の犬では排便回数やうんちの量が少なくなります。しぶりや、トイレを何度も行き来するといった行動が見られることもあります。慢性的になると体重や食欲の減少、元気がなくなるといった変化も起こります。

  • 排便回数の減少
  • 便量の減少
  • しぶり
  • トイレを行き来する
  • 体重減少
  • 食欲減少
  • 元気消失
  • 鳴く
  • 血便
  • 下痢

便秘と下痢を繰り返すこともあります。下痢に注目してしまうと便秘に気付かないことがありますので注意が必要です。

緊急性の高い便秘

便秘はさまざまな原因から起こるものですので、放置していると原因そのものの悪化によって危険な状態になる場合があります。嘔吐や震え、ぐったりしているといった様子が見られる場合はすぐに動物病院へ行くようにしてください。

便がいつまでも体に留まると、排出されるはずだった細菌や老廃物などの毒素が体内に取り込まれてしまいます。敗血症と言って全身で臓器不全が起こり、最悪の場合は死に至りますので、「便秘なんて大したことない」と油断しないようにしてください。

犬が便秘になる原因

うつ伏せになるパグ

便秘の原因は大きく「食事」「生活環境」「病気」「その他」の4つに分けることができます。

1. 食事が原因 1-1. ローフード中心の食生活
1-2. カルシウムの過剰摂取
1-3. 食物繊維の過剰摂取
1-4. 水分不足による脱水症
2. 生活環境が原因 2-1. 運動不足
2-2. 筋力の衰え(老化)
2-3. ストレス
3. 病気が原因 3-1. 消化管腫瘍
3-2. 前立腺肥大
3-3. 肛門周囲の病気
3-4. 神経疾患
3-5. 巨大結腸症
3-6. 骨盤骨折後の不正癒合
4. その他の原因 4-1. 薬の副作用
4-2. 異物誤飲

1. 食事が原因の便秘

食事が原因の便秘として以下の4点が挙げられます。

  1. ローフード中心の食生活
  2. カルシウムの過剰摂取
  3. 食物繊維の過剰摂取
  4. 水分不足による脱水症

1-1. ローフード中心の食生活

ローフード(生食)と呼ばれる生肉を中心とした食事をしている犬は、食物繊維が不足することで便秘になりやすくなります。野生下の肉食動物は、草食動物の内臓を食べることで間接的に食物繊維を摂取していると言われています。

1-2. カルシウムの過剰摂取

マグネシウムには水分を吸収して便を柔らかくする効果がありますが、カルシウムを摂りすぎるとマグネシウムの量が減り便秘の原因になります。サプリメントによる過剰摂取や牛の骨などのおやつを与えている場合に注意が必要です。

1-3. 食物繊維の過剰摂取

食物繊維は便通を良くしてくれますが、摂りすぎると便秘の原因になる場合があります。不溶性食物繊維は水分を含んで便をかさ増ししますが、腸の動き(蠕動運動)が弱っているときはかさ増しした便をうまく排出できず、便秘を悪化させてしまいます。

1-4. 水分不足による脱水症

脱水は水分不足で起こり、便の水分量も少なくなることから便秘の原因となります。水分摂取が苦手な子には「水が飲める場所を増やす」「冷凍フレッシュフード・ウェットフードを与える」「ドライフードにお水を混ぜる」といった工夫が有効です。

2. 生活環境が原因の便秘

生活環境が原因の便秘として以下の3点が挙げられます。

  1. 運動不足
  2. 筋力の衰え(老化)
  3. ストレス

2-1. 運動不足

運動不足が便秘の原因になる場合があります。散歩のときに排便することが習慣化している犬は散歩に行けないことが便秘につながる可能性がありますし、慢性的な運動不足による腹筋の衰えが原因になる場合もあります。

2-2. 筋力の衰え(老化)

特にシニア犬(老犬)は踏ん張りが効かなくなったり、排便姿勢が取れなくなったりしてきます。関節の負担に注意するなど無理のない範囲で、筋力が衰えないように運動させてあげることが大切です。

2-3. ストレス

ストレスが溜まると自律神経が乱れ、腸のぜん動運動が悪くなることもあります。散歩は単に運動のためだけではなく、いろいろな刺激に触れることでストレス発散になります。毎日の散歩は欠かさないようにしましょう。

3. 病気が原因の便秘

背中を向ける犬

大腸や直腸の異常だけでなく、全身の病気が原因で便秘になる場合もあります。原因になっている病気を治療することで解消します。

  1. 消化管腫瘍
  2. 前立腺肥大
  3. 肛門周囲の病気
  4. 神経疾患
  5. 巨大結腸症
  6. 骨盤骨折後の不正癒合

3-1. 消化管腫瘍

大腸や小腸、結腸などに腫瘍や腫れが起こると閉塞を引き起こし、便の通り道をふさぐことで便秘になることがあります。

3-2. 前立腺肥大

前立腺肥大で腸管が圧迫され、便の通り道をふさいで便秘になることがあります。肛門から出て会陰ヘルニアを伴う場合もあります。

3-3. 肛門周囲の病気

前立腺に限らず、直腸や膀胱が肛門横から出てしまう「会陰ヘルニア」、肛門の周囲に病的な穴が出来てしまう「肛門周囲瘻」、肛門嚢が炎症を起こす「肛門嚢炎」などが原因で便の通り道の異常により、便秘になることがあります。

なお、ジャーマンシェパードは肛門周囲瘻の好発犬種として知られています。

3-4. 神経疾患

腰仙椎(ようせんつい)にある馬尾(ばび)神経が圧迫されて起きる「馬尾症候群」(変性性腰仙椎狭窄症)や「糖尿病」「甲状腺機能低下症」などの自律神経障害によって腸のぜん動運動がうまく働かないと便秘になることがあります。

3-5. 巨大結腸症

結腸が過剰に拡張して機能不全を起こす病気で、便秘につながります。猫に多く見られますが、犬ではまれです。

3-6. 骨盤骨折後の不正癒合

交通事故などで骨盤骨折となり、正しくない形で骨が付いてしまうことを「不正癒合」と言います。大腸が圧迫されて慢性的な便秘になり、巨大結腸症につながる場合もあります。この場合は外科的な治療が必要です。


4. 便秘を起こすその他の原因

食事や生活環境、病気の他に「薬の副作用」や「異物誤飲」でも便秘が起こります。

  1. 薬の副作用
  2. 異物誤飲

4-1. 薬の副作用

利尿剤、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、抗がん剤、鎮痛剤などの副作用により、水分が排出されて便が硬くなったり、腸のぜん動運動が抑えられたりして便秘になることがあります。

4-2. 異物誤飲

砂利やおもちゃの誤飲、過度のグルーミングで飲み込んだ被毛が腸閉塞につながり便秘が起こることがあります。自然排出が難しく緊急性が高い可能性もありますので、誤飲がわかった際はすぐ動物病院へ行くようにしてください。

犬の便秘解消の対処法

見上げる子犬

病気や薬の副作用、異物誤飲が原因の場合は動物病院での治療が必要になりますが、緊急性の低い便秘であれば食事で改善させることができます。その上で、腸内マッサージも効果的です。

  1. 水分摂取
  2. 食物繊維
  3. ビオフェルミン
  4. ヨーグルト
  5. オリーブオイル

1. 水分摂取

水分が足りていない場合は「水が飲める場所を増やす」「ウェットフードを与える」「ドライフードにお水を入れる」などを試してみてください。鶏のササミを煮出したスープを水代わりにしたり、ごはんにトッピングしたりするのもいいでしょう。PETOKOTOが販売する国産の手作りドッグフード「ペトコトフーズ」は、水分量が70%程度と多く、消化に良い食材で食べられるため、便秘改善におすすめです。

2. 食物繊維

軽度の便秘であれば食物繊維の摂取が有効です。カボチャやサツマイモ、炊いたお米などをいつものごはんにトッピングしてあげるといいでしょう。重度の便秘では逆効果になりますので、高消化性の療法食を与えるようにしてください。

※トッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内が目安です。1日の最適カロリー量は「ペトコトフーズ」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。

3. ビオフェルミン

腸内環境が悪くなること便秘につながりますし、便秘になると悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなります。犬用の乳酸菌製剤が販売されていますので、それを整腸剤として飲ませるといいでしょう。

人間用のものであればビオフェルミンR(耐性乳酸菌整腸剤)、ビオフェルミンSを1日2回飲ませても大丈夫です。1回あたり小型犬なら1/4錠、中型犬は1/2錠、大型犬は1錠を目安にしてください。

4. ヨーグルト

ヨーグルトにも乳酸菌が含まれますが、効果は限定されるかもしれません。正常なときに予防や健康維持を目的として与えるのがいいでしょう。

5. オリーブオイル

オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、腸のぜん動運動を促進してくれます。また、潤滑油として便の流れを良くする効果も期待できます。普段のごはんにトッピングしてあげるといいでしょう。

綿棒の使用は要注意

生後1〜2週間の子犬であれば濡らした綿棒で肛門を軽くつつくことで、排便を促すことができます。ただし、肛門の中まで入れるのはおやめください。それ以上の年齢の犬にもオススメできません。

愛犬の便秘時に食事を切り替えてみよう

ペトコトフーズの犬のプレゼントにおすすめのフレッシュドッグフード

犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。

1. 総合栄養食を適量与える

犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。


2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。

そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。

ペトコトフーズの犬のプレゼントにおすすめのフレッシュドッグフード

実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。

フレッシュフードと寿命の関係性

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まとめ

トイプードル
便秘の原因は食事、生活環境、病気などがある
3日出ない場合は緊急性が高い
誤飲の際は様子見をせずに動物病院へ
軽度の便秘であれば食事療法が効果的
便秘の原因はさまざまです。緊急性の高い便秘だった場合、重症化して食欲不振や元気消失に陥ってから気づくのでは手遅れになる場合もあります。便の回数や状態は健康のバロメーターになります。よく観察して、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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