【獣医師執筆】犬が生のイカを食べるのはNG!理由や症状、対処法を解説

【獣医師執筆】犬が生のイカを食べるのはNG!理由や症状、対処法を解説

Share!

犬にイカを与えることはおすすめしません。イカに含まれる成分が健康に害を与える恐れがあるためです。食卓に並ぶことの多い食材ですが、万が一食べてしまったときの懸念点や対処法を確認しましょう。

犬にイカをおすすめしない理由

イカの刺し身

ビタミンB1欠乏症の恐れ

生のイカは「チアミナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含有しています。ビタミンB1を必要とする犬が、このチアミナーゼを摂取してしまうとビタミンB1が不足し、「ビタミンB1欠乏症」になる可能性があります。

ビタミンB1欠乏症の初期では食欲低下やよだれが多くなる症状が見られ、その後けいれん発作や神経・運動機能障害につながります。イカを食べると「腰を抜かす」と言われる理由もビタミンB1欠乏症が所以です。

早く治療を行えば回復が見込めるようですが、重症な伸筋硬直や昏睡状態になっても治療が行われなかった場合48時間以内に死に至る可能性が高いとされています。


アニサキス寄生虫の感染

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、「イカ」「サバ」や「イワシ」「カツオ」「鮭」「サンマ」「アジ」などの魚介類の内臓に寄生します。

鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生の状態で食べることで、アニサキス寄生虫が胃壁や腸壁に刺入して嘔吐や激しい痛みを伴う食中毒(アニサキス症)を引き起こす恐れがあります。
アニサキスは熱に弱いので、煮たり焼いたりすればほぼ死滅するといわれています。

魚介類アレルギーの可能性

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。アレルギーの場合、以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 元気がない
  • 皮膚のかゆみ

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。


犬が生のイカを食べたときの対処法

犬

チアミナーゼが含まれている生のイカを食べてしまったとしても1回程度、少量であれば「ビタミンB1欠乏症」になることはありません。ただし、アレルギーの可能性もありますのでしばらくは様子を見るようにしてください。

気になる症状がある場合は、動物病院に連絡をして指示を仰ぐようにしましょう。

加熱・茹でたイカやスルメを犬が食べるのは大丈夫?

イカ

チアミナーゼは熱に弱い

ビタミンB1欠乏症の原因となるチアミナーゼは熱に弱いため、加熱したイカは食べさせることができます

消化されにくい

イカは犬にとって消化しやすい食材ではないので胃腸の負担になる可能性があります。イカそうめんやイカの唐揚げ、スルメ、燻製など全て消化には良くありません。

味付きのイカはNG

味付けされているイカは塩分過多で腎臓への負担になりますので与えないようにしましょう。

愛犬にイカは積極的に与えなくて大丈夫

犬
生で与えることはNG
加熱しても消化しづらい食材
味付きのイカはNG
イカは犬にとってはさまざまな懸念点があり、加熱をしたとしても消化しにくい食べ物であることは変わりません。与えるとしても特別な日のおやつとして加熱したものを少しだけにしましょう。

参考文献


獣医師相談のインスタライブ開催中!

食のお悩み相談会

ペトコトフーズのInstagramアカウント(@petokotofoods)では、獣医師やペット栄養管理士が出演する「食のお悩み相談会」を定期開催しています。愛犬のごはんについて気になることがある方は、ぜひご参加ください。

アカウントをフォローする