【獣医師執筆】犬はきゅうりを食べても大丈夫!適量などの与え方や注意点を解説
きゅうりは、犬が食べても大丈夫な食材の1つです。きゅうりは90%以上が水分でできており、ナトリウムや脂肪分が非常に少なく低カロリーです。そのため、ダイエット中の犬のご飯のかさ増しとして使ったり、熱中症対策の水分補給としておやつ代わりに与えたりすることができます。しかしいくつか注意すべきこともあります。今回は、きゅうりの成分や与える際の注意点についてご紹介します。
犬はきゅうりを食べても大丈夫
きゅうりは犬が食べても大丈夫な野菜です。90%以上が水分で「世界一栄養のない野菜」と言われていますが、カリウム、βカロテン、ビタミンK、ビタミンCを含み、脂肪分が非常に少ない低カロリーな食材です。好きなワンちゃんもいれば、嫌いなワンちゃんもいて、個体差があります。
きゅうりに含まれる栄養素
エネルギー | 13kcal |
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水分 | 95.4g |
糖質 | 1.9g |
カリウム | 200mg |
βカロテン | 330μg |
ビタミンK | 34μg |
ビタミンC | 14mg |
食物繊維 | 1.1g |
※100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)
カリウム | 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。 |
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βカロテン | 犬はβカロテンを体内でビタミンAに合成することができます。ビタミンAは健康な被毛を保ち、視力維持にも役立ちます。不足することで免疫力の低下や骨の形成不全につながります。 |
ビタミンK | ビタミンKは血液凝固や骨の形成に欠かせません。犬や猫は腸内細菌によって体内で合成されるため、食事から補給する必要性は低いとされています。 |
ビタミンC | 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。犬は体内で合成することが可能です。 |
食物繊維 | 腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したりします。水溶性は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性は便秘の改善などの効果が期待できます。 |
犬へのきゅうりの与え方
きゅうりなどウリ科の植物には下痢や嘔吐など食中毒を引き起こすククルビタシンという苦味成分が含まれます。食用では無害化されていますが、家庭菜園では交雑により多く含まれる可能性があるため注意が必要です。ヘタの近くに多く含まれますので、両端を切り落とすと食べやすくなります。皮のまま生であげても問題ありませんが、消化しやすいように、細かく刻んだり、加熱してあげると良いでしょう。
食べさせていい量は?
きゅうりを総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトコトオリジナルのフレッシュドッグフード「ペトコトフーズ」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。無料フード診断を受ける
きゅうりは100gで14Kcalと非常に低カロリーな食材です。単体であればカロリーを気にする必要はありませんが、水分量が多く食べ過ぎればお腹を壊してしまいます。その子にあった「適量」を食べさせてあげましょう。
犬にきゅうりを与える際の注意点
ウリ科アレルギーの可能性
アレルギーは、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることにより発症する可能性がある後天性アレルギーがあります。きゅうりは、スイカやメロンなどと同じウリ科の食材です。これらを初めて与える際は、少量からスタートしましょう。以下の症状が見られた場合は、アレルギーの可能性があります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚のかゆみ
- 元気がない
- 目の充血
きゅうりを食べた際に上記のような症状が現れた場合は、獣医師に相談しましょう。
下痢や嘔吐
きゅうりには水分が90%以上含まれており、体を冷やす野菜です。そのため、与え過ぎると胃腸に負担がかかり、下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性があります。また、お腹を冷やしてしまう原因にもなりますので、夏場であっても与え過ぎには注意しましょう。
喉に詰まらせる恐れがある
犬は食事の際、あまり咀嚼せずに飲み込むことが多いです。そのため、硬いきゅうりを大きいまま与えてしまうと、喉に詰まらせる可能性があります。きゅうりを与える際は、小さく切ってから与えるようにしましょう。よく何歳からあげても大丈夫ですか?と質問をいただきますが、特に小型犬、子犬(パピー)、シニア犬(老犬)の場合は、気をつけてあげましょう。
まとめ
熱中症予防や水分補給におすすめ
与え過ぎによる下痢や嘔吐に注意
喉に詰まらせないよう小さく切ってから与える
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この記事を監修している専門家
小田民美講師
日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科卒業。2014年3月に犬猫の消化管ホルモンの遺伝子解析および糖代謝調整についての研究で博士号(獣医保健看護学)を取得。同年4月より同大学獣医保健看護学臨床部門 助教。2017年より現職。代謝栄養学分野に所属し小動物臨床栄養学、動物看護学全般を担当。日本獣医生命科学大学付属動物医療センター動物看護師 兼務。動物看護師統一認定機構「認定動物看護師」。日本ペット栄養学会認定「ペット栄養管理士」。一般社団法人「日本動物看護職協会」理事。