【獣医師執筆】犬は七草粥を食べても大丈夫!愛犬と一緒にお正月を楽しもう
新たな1年の無病息災と五穀豊穣を祈って食べる七草粥。愛犬にも食べさせてあげたいと思う飼い主さんもいると思いますが、七草粥は犬が食べても大丈夫な料理です。今回は、犬が七草粥を食べる際の注意点や与え方について解説します。
犬が食べても良い七草粥って
七草粥は新たな1年の無病息災と五穀豊穣を祈って、毎年1月7日に食べられる料理です。使われる七つの野菜はそれぞれ栄養価が高く、疲れた胃腸を休めてくれます。
春の七草
春の七草は、以下の通りです。- セリ(芹)
- ナズナ(薺)
- ゴギョウ(御形)
- ハコベラ(繁縷)
- ホトケノザ(仏の座)
- スズナ(菘)
- スズシロ(蘿蔔)
春だけでなく、秋も七草があります。春の七草が食べることで無病息災を願うのに対し、秋の七草は眺めて楽しむ草花を指しています。
セリ
胃腸を整え、利尿作用や食欲促進の効果があります。「競り勝つ」という言葉にかけられている縁起が良い食材です。
ナズナ
アブラナ科の植物で、ぺんぺん草として親しまれています。解毒、止血作用があるとされていて胃腸の不調やむくみ対策にも効果的です。
オギョウ(ゴギョウ)
キク科の植物で、オギョウまたはゴギョウと呼ばれています。痰や咳など喉の不調を直してくれます。
ハコベラ
ナデシコ科の植物で、胃炎症状に効果があります。また、利尿作用のあるサポニンや止血作用のあるクマリンも含まれています。
ホトケノザ(タビラコ)
Photo by@yuki_semaさん Thanks!
ホトケノザは一般的にタビラコという食材を指し、キク科の野菜です。胃腸の調子を整え食欲を促進してくれます。
スズナ(カブ)
アブラナ科の植物で、疲労回復効果のあるビタミンCや、むくみ解消の効果が期待できるカリウムも含まれています。
スズシロ(大根)
大根も七草の一種です。ビタミンCを豊富に含み、胃腸の調子を整えるアミラーゼや食物繊維も含有しています。
犬に七草粥を与える際の注意点
七草粥には犬が絶対に食べてはいけないような危険な食材は基本的に入っていません。しかし七草の中にはアブラナ科の野菜なども含まれているため、懸念点はしっかりと把握しておく必要があります。
甲状腺に問題のある犬は一応避ける
七草粥にはアブラナ科の野菜も含まれています。アブラナ科に含まれるゴイトロゲン(グルコシノレート)という成分はヨウ素の吸収を阻害し、甲状腺に負担をかけるといわれています。そのため犬も甲状腺に問題がある場合は避ける傾向が強いようです。カブの大量摂取によって犬の甲状腺の機能が低下したという臨床報告は見受けられませんが、もともと甲状腺に疾患のある犬は念のため注意しましょう。
アレルギーに注意
犬によってはアレルギー反応を引き起こす可能性があります。初めて与えるときは少量にしましょう。食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。
初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。
愛犬への七草粥の与え方
冷ましてからそのまま食べさせても良いですし、ドッグフードにトッピングしても良いでしょう。お粥は消化しやすいので、食欲がない犬の食欲促進のためにあげるのもおすすめです。アレルギーではない場合でも、初めて与える際は少量からスタートさせ、様子を見ましょう。
前提として、犬は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。
おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。
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犬は米を食べても大丈夫
犬は穀物を食べてはいけない、グレインフリー、グルテンフリーが良いという考えがありますが、間違った考えです。グレインフリーのペットフードが注目される理由の一つとして、「犬や猫は穀物を消化するのが苦手だから」と言われることがあります。確かに犬はもともと肉食でしたし(※1)、猫は現在も肉食です。実際、生米を漁った犬が下痢をしたという話も珍しくありません。
しかし、生米が消化に悪いのは犬だけでなく人でも同じ。米や小麦に含まれるデンプンは、水と熱を加えることで構造が崩れて消化性が高まります。これをα化(あるふぁか)と言い、犬もα化されていればデンプンを消化でき、実際にα化されたデンプンを含むフードを100%消化できていたという研究結果もあります(※2)。そのため、 穀物は消化しづらいから肉メインでごはんを選びましょうというのは間違いで、家族として私たち人間と暮らす中で、バランスの取れた食事が大切です。
猫についても同様ですが、肉食の猫にとって消化しやすいものでないのは事実です。総合栄養食の基準値を策定しているAAFCO(米国飼料検査官協会)は炭水化物の基準値を設けていませんが、乾物当たり40%を超えると下痢などの消化不良が起こる可能性があります(※2)。
※1 最近の研究で、犬の祖先であるオオカミは肉だけでなく植物を主食にすることもあることがわかってきました。参照:「オオカミの多彩な食生活、研究者も驚く」(National Geographic)、※2 参照:『小動物の臨床栄養学 第5版』
愛犬と七草粥で一緒にお正月気分を!
胃腸を整える、食欲を増進するなどの効果がある
甲状腺に問題のある犬には食べさせない
お正月は家族がゆっくりと集まることができる貴重な機会です。1年の計画などを話しながら、愛犬と一緒にのんびりと過ごすのも素敵ですね。しかしお正月は犬の誤飲・誤食なども増える傾向にあるため、気を付けるところはしっかりと注意していきましょう。
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