【獣医師執筆】犬は大根を食べて大丈夫!栄養素や与え方の注意点を解説

【獣医師執筆】犬は大根を食べて大丈夫!栄養素や与え方の注意点を解説

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大根は犬が食べても大丈夫な野菜です。水分量が多く、皮や葉にも犬の体に良い栄養がたくさん含まれています。栄養が含まれ、生で大根スティックにしたり、茹でたりして与えるとといでしょう。アレルギーや甲状腺、腎臓に不安のある子へは与え方や量に注意が必要です。大根の与え方について解説します。

この記事を監修している専門家

ニック・ケイブ(Nick Cave)獣医師

米国獣医栄養学専門医・ペトコトフーズ監修

ニック ケイブ先生
マッセー大学獣医学部小動物内科にて一般診療に従事した後、2000年に獣医学修士を取得(卒業論文は『食物アレルギーの犬と猫の栄養管理』)。2004年よりカリフォルニア大学デービス校で栄養学と免疫学の博士号を取得し、小動物学臨床栄養の研修を修了。同年、米国獣医師栄養学会より米国獣医栄養学専門医に認定。世界的な犬猫の栄養ガイドラインあるAAFCOを策定するWSAVAの設立メンバー。2005年より小動物医学および栄養学の准教授、獣医栄養学の専門医としてマッセー大学に戻る。家族、2匹の犬、猫、そしてヤモリと暮らしている。

犬は大根を食べても大丈夫

大根

大根はカリウムやカルシウム、葉酸、ビタミンC、食物繊維などを含み、犬が食べても大丈夫な野菜です。90%以上が水分で低カロリーな食材ですので、水分摂取が苦手な子やダイエット中の子にオススメです。大根の葉にはβカロテンやαトコフェロール(ビタミンE)、食物繊維が多く含まれ、一緒に食べさせてあげたい健康食材です。

大根の栄養成分

根(皮付き) 根(皮なし)
エネルギー 15kcal 15kcal 23kcal
水分 94.6g 94.6g 90.6g
カリウム 230mg 230mg 400mg(180mg)
カルシウム 24mg 23mg 260mg
βカロテン 0μg 0μg 3900μg
αトコフェロール(ビタミンE) 0mg 0mg 3.8mg
葉酸 34μg 33μg 140μg
ビタミンC 12mg 11mg 53mg(21mg)
食物繊維 1.4g 1.3g 4.0g
※各100g当たり、括弧内は茹でた場合、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

特徴
カリウム 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまう可能性があるため摂取量に注意が必要です。
カルシウム カルシウムは骨や歯の材料になるだけでなく、神経の情報伝達にも重要な役割を持ちます。カルシウムは不足したときだけでなく、過剰摂取でも整形外科疾患のリスクを高めます。(関連記事
βカロテン 犬はβカロテンを体内でビタミンAに合成することができます。ビタミンAは健康な被毛を保ち、視力維持にも役立ちます。不足することで免疫力の低下や骨の形成不全につながります。
αトコフェロール(ビタミンE) ビタミンEはトコフェロールとも呼ばれ、抗酸化作用を持ちアンチエイジングや認知症予防、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患への抗炎症作用が期待されます。単体では吸収効率が低く、脂質と一緒に摂ることで吸収が促進されます。
葉酸 体の細胞の生まれ変わりや成長をサポートするという大切な役割を持ち、「造血のビタミン」と呼ばれます。不足すると貧血や免疫力の低下につながります。
ビタミンC 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。犬は体内で合成することが可能です。(関連記事
食物繊維 腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したりします。水溶性は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性は便秘の改善などの効果が期待できます。大根の葉には100g中4.0gも食物繊維が含まれ、キャベツの100g中1.8gと比べても豊富であることがわかります。(関連記事

大根に含まれる消化酵素

大根には多様な消化酵素が含まれています。熱に弱いため、効果を期待する場合は生で食べさせてあげるといいでしょう。

アミラーゼ(ジアスターゼ)

アミラーゼ(ジアスターゼ)はデンプンを分解する酵素で、人の場合は唾液に含まれますが犬には含まれず、膵臓からしか分泌されません。穀物などデンプンを多く含むごはんを食べた際に、胃腸の消化吸収をサポートしてくれます。

プロテアーゼ

プロテアーゼはタンパク質を分解する酵素です。犬は雑食動物ですがもともと肉食だったことからタンパク質の要求量が多く、酵素が消化吸収を促進することで肝臓や腎臓の負担軽減につながります。

イソチオシアネート

大根の辛みはイソチオシアネートという成分によるもので、根っこ側に多く殺菌作用や発がん抑制効果が期待されます(※)。イソチオシアネートは細胞が壊れた際に生成されるため、大根おろしにすることで多く摂ることができます。「大根おろしに医者いらず」と言われるゆえんです。胃腸が弱っている場合は刺激が強すぎてしまいますので、与えすぎに注意してください。

※参照:「イソチオシアネートによるがん予防の可能性」環境変異原研究26巻(2004)3号

犬に大根を与える際の注意点

大根

犬に大根を与える際の注意点01:アレルギー

大根でアレルギーが出る可能性はゼロではありません。キャベツや白菜などアブラナ科の植物にアレルギーがある場合は注意が必要です。大根を初めて与えてから数回はアレルギー症状が出ないか注意してください。かゆみや皮膚が赤くなるといった症状が多く見られます。




犬に大根を与える際の注意点02:与え過ぎ

大根の辛味成分でもあるイソチオシアネートが胃腸を刺激して下痢や嘔吐につながる可能性があります。与え過ぎに注意しましょう。


犬に大根を与える際の注意点03:腎臓病

大根にはカリウムが豊富に含まれ、腎臓に不安のある子は注意が必要です。カリウム自体が腎臓に悪いわけではなく、腎臓の機能が低下していると血液中のカリウム濃度が高まり、心臓に悪影響が出るためです。特に大根の葉に多く含まれるため与えるのを控えるか、茹でるなど与え方を工夫するといいでしょう。

犬に大根を与える際の注意点04:ゴイトロゲン

アブラナ科の植物にはゴイトロゲン(グルコシノレート)と呼ばれる成分が含まれ、ヨウ素の吸収を阻害する働きがあるといわれています。甲状腺ホルモンの分泌に影響を及ぼし、甲状腺に負担をかけてしまう可能性がありますので、甲状腺に不安のある子は注意が必要です。


犬への大根の与え方

犬の大根おろしアート
Photo by totti_tsuruさん Thanks!

犬への大根の与え方01:小さく切る

大根を犬に与える際は小さく切ってあげると消化も良くなり、喉に詰まらせる危険性もなくなります。スティック状にすると食べやすく、シャキシャキとした食感を楽しめます。大根の葉っぱも栄養成分がたっぷり含まれています。細かく刻んでから与えましょう。また、茹でると消化に良いため、加熱しても良いでしょう。

犬への大根の与え方02:与える量

大根は低カロリーな食材と言っても、与え過ぎは体によくありません。総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量は「ペトコトフーズ」の「フード診断(無料)で簡単に計算することができます。

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犬への大根の与え方03:大根おろし

大根には、大根おろしにすることで活性化する消化酵素が含まれており、食事の消化吸収をサポートしてくれます。すりおろすことで、消化しやすくなり、喉に詰まらせる心配もなくなります。消化酵素は熱に弱いため生のまま与えるといいでしょう。

犬への大根の与え方04:切り干し大根も刻んで

大根を天日干しした切り干し大根は、甘みが増し栄養価も高まっています。犬に与えても大丈夫な食材ですが、与える際は水で戻し、細かく刻んでから与えましょう。

人間向けに味付けした切り干し大根は絶対に与えないようにしましょう。

犬への大根の与え方05:つまも大丈夫

お刺身のつまや大根スティックは大根を細く切ったもので、犬が食べても問題ありません。しかし、お刺身の鮮度やつま自体の鮮度が悪くなっている場合はお腹を壊してしまう可能性があります。与える場合は切られたばかりの新鮮なつまだけにしておくと安心です。


まとめ

“大根
与える際は細かく刻む
葉っぱは栄養が豊富
大根おろしで消化酵素も摂取できる
甲状腺に不安がある犬には与えない
大根は犬にとって水分補給にぴったりな食材です。葉っぱには栄養がたくさん含まれますので、捨てずに細かく刻んで与えるといいでしょう。食べ過ぎるとお腹を壊してしまう原因になりますので、注意してあげてくださいね。

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