犬に教えたい芸(トリック)|かわいい芸から面白い芸まで教え方を紹介

犬の基本的な芸といえば「おすわり」や「フセ」などが挙げられるでしょう。しかし、実は他にもたくさんあります。今回は、犬に教えたい芸についてトレーナーの長根が紹介します。芸を覚えるのが好きな子には、ぜひ楽しみながら教えてあげてくださいね。

基本は犬の芸よりしつけ

犬の「芸」よりも「しつけ」として教えておくべきこと4つを紹介します。

おすわり

座る犬

犬のおすわりは、しつけにおいてもできるようにしておくことで、アイコンタクトが取りやすくなり、集中させたり興奮を抑えたりすることにつながります。

おすわりの詳しい教え方は関連記事をご覧ください。


ふせ

ふせもおすわり同様、しつけとして教えておくべきものです。飼い主さんの足元でおとなしくしていられることで、ドッグカフェなども行きやすくなります。

ふせの詳しい教え方は関連記事をご覧ください。


おいで

「おいで」は最も大切なしつけの一つです。飼い主さんが呼べばどんなときでもすぐに駆け寄ってくるようにすることで、危険な状況になったとしても愛犬を守ることができます。

おいでの詳しい教え方は関連記事をご覧ください。


まて

まても「おいで」と同様にとても大切なしつけです。まては「いい子で待っていることができる」だけでなく「危険回避時」にも効果的です。

まての詳しい教え方は関連記事をご覧ください。


初級編2 「コミュニケーションのための犬の芸」

初級編2では、しつけとしてというよりも飼い主さんとワンちゃんが楽しめるコミュニケーションとして、簡単に教えることができる芸(トリック)を四つ紹介します。

おて/おかわり

おて・おわかりは、教えている飼い主さんが多いのではないでしょうか。犬の前足を持った状態でおやつをあげることで教えることができるので、はじめての人でも簡単にできます。おて・おかわりの詳しい教え方は関連記事をご覧ください。


ハイタッチ

「おて」よりも高い位置でやるハイタッチは、おての状態から少しづつ高さを変えながらご褒美を使って教えていきます。

はじめは「おて」と言って芸をさせてもOKです。繰り返しているうちに、「おて」と言わなくても、手を出すだけで行動してくれるようになります。そうしたら徐々に、高さを上げ正しい位置で繰り返し教えます。

ことのときに「ハイタッチの指示語(コマンド)」を付けてあげましょう。そのまま「ハイタッチ」でもいいですし、「はーい」など好きな言葉を付けてあげてもいいです。

おまわり/スピン

回る犬

くるんとその場で回る「おまわり」は、おやつを使って簡単に教えることができます。犬の鼻先から円をかくように後ろに回し犬が一回転したところで、おやつをあげます。動きに慣れてきたら、誘導と一緒に「おまわり」や「スピン」などのコマンドを付けて練習しましょう。

あご

犬が手の上にあごを乗せてくるとってもかわいいしぐさです。犬のあごに手を当てた状態で、コマンドにしたい言葉を言いながらとおやつをあげます。

犬の芸:中級編

中級編を六つ紹介します! 中級編は初級編がある程度できてからはじめるのがいいでしょう。

バイバイ

ハイタッチの応用編でもあるバイバイは、ハイタッチを覚えてから教える方が簡単です。ハイタッチのコマンドを出し、ハイタッチした状態から少しずつ犬と手が触れ合わないように距離を取っていきます。犬が繰り返し、ハイタッチをしようと前足を数回動かした後で、おやつをあげましょう。


バーン

バーンはおやつやおもちゃを使って誘導する場合、ふせた状態から体側面に沿っておやつを移動させ、後ろ足が崩れた状態でまずはおやつをあげましょう。繰り返しているうちに、徐々に犬も楽な姿勢を探して体制を変えてきますので、肩が地面に付いたところで「バーン」などの言葉(コマンド)を付けておやつをあげましょう。

繰り返していくうちに、おやつの誘導がなくても「バーン」のコマンドだけでできるようになってきます。ハンドサインを付けたい場合は、コマンドに合わせて手をピストルの形にするなど、好きなハンドサインを一緒に見せてあげましょう。繰り返し練習することで、ハンドサインだけでもできるようになります。


ゴロン

寝転がる犬

ゴロンもバーン同様にふせの姿勢からはじめます。犬の背中が地面に付くようにおやつをやおもちゃを使って誘導していきます。鼻の前におやつを持った手を出し、ゆっくりと犬の首の後側へ移動させていきます。肩や背中が地面についたところで、おやつをあげ褒めてあげましょう。

その後は、一回転して起き上がれるように、さらに誘導してあげます。一通りの流れができるようになったところで、コマンドを付けて繰り返し練習してあげましょう。

ちん/ちょうだい

お尻を付けて「鎮座する」というのが語源だともいわれる「ちん」は、おすわりの状態からはじめます。犬の顔の前におやつを持った手を見せ、真上に手を移動させます。その動きに合わせて犬の前足が浮いたとこでおやつをあげましょう。

だんだんと前足を浮かせている時間を伸ばしていきます。勢いだけでなく、完全に前足が浮いた状態でお尻で座れるようになったら、好きなコマンドを付けて練習しましょう。

「ちん」の状態を「ちょうだい」としている人もいますし、「ちん」の状態で前足を動かすことを「ちょうだい」とする人もいます。


胴長犬は要注意

コーギーなどの胴長犬種は、「ちん」の姿勢はバランスを取ることが難しく腰を痛めてしまったり、ヘルニアを引き起こしてしまったりする可能性があるためおすすめできません。


ジャンプ

ハードルを跳ぶ2匹の犬

ジャンプはおやつで誘導して、飼い主さんの足をまたがせるところからはじめましょう。飼い主さんの足を越えられたら、「ジャンプ」と言いながらおやつをあげます。徐々に飼い主さんの足の高さをあげ、飛び越えることを教えていきましょう。

ジャンプを教えてはいけない犬種

まず前提として、骨格がしっかりしていない子犬にジャンプを教えるのはやめましょう。成犬であっても、小型犬やコーギーなどの胴長短足の犬種では、高さにもよりますが着地するときに骨折や関節を痛めてしまう可能性があります。

アジリティーでも、体高に合わせてハードルの高さが決められていますので、絶対に無理はさせないようにしましょう。


スラローム

アジリティーの競技でも使用されますが、ここでは飼い主さんの足をジグザグに歩くこととします。犬を飼い主さんの右側に座らせた状態で、飼い主さんは左足を一歩前に出します。このときに、犬を足の間を通すように左手で誘導します。

次に右足を一歩前に出して、今度は右手で足の間を通すように誘導します。これを繰り返すことで長い距離でもジグザク歩きができるようになります。


犬の芸:上級編

上級編を四つ紹介します。上級編はおやつでの誘導が難しかったり、初級や中級の芸を組み合わせて行うものだったりと難易度が上がります。

おじぎ

犬のプレイバウ

おじぎはいわゆる「プレイバウ」と呼ばれる犬が相手を遊びに誘うときに取る姿勢です。この姿勢は犬のお腹の下に腕を入れた状態で、ふせをさせます。このときに、犬の腰が下がらないようにお腹の下に入れた腕で支えてあげましょう。

前足の肘までが地面についた状態でおやつをあげましょう。このとき「おじぎ」や「こんちには」などのコマンドにしたい言葉も一緒に言うことで、姿勢とコマンドを教えることができます。


フェイス

フェイスは犬が顔(マズル)に手をかけるしぐさです。これは、おやつで誘導することは難しいので、クリッカーを使って教えることをおすすめします。クリッカーの使い方については、関連記事をご覧ください。


犬の鼻の上に千切ったティッシュなど、置き犬がそれを取ろうと鼻に前足を掛けたときにクリッカーを鳴らし、おやつをあげます。何度かしていると、鼻の上にティッシュなどを置かなくても自発的に、前足を鼻に掛けるようになるのでそしたら、コマンドを言いながらおやつをあげるようにしましょう。


バック/ムーンウォーク

後ろ向きで歩くバックは、はじめは壁や椅子などの障害を使って、犬がターンできない状況でゆっくり前から後ろへ誘導するのがベストです。このとき気を付けたいのが、使用する障害が倒れやすいものや音が出やすいものにしてしまうと、犬が集中できなくなってしまったり、ものが自分のすぐ側で倒れたときにトラウマになってしまう恐れがあるので注意しましょう。

鼻パク

マズル(鼻先)の上におやつをおいて、待たせ「よし」などの開放の合図で犬が下におやつを落とすことなく食べる芸のこと。まずは、「あご」ができることと「待て」ができることが重要です。

しかし、マズルの上に乗せられても、そこから更に空中で食べるというのはワンちゃん自身がコツを掴んでくれるしかないでしょう。できるようになるためのヒントとして、飼い主さんが投げたおやつを空中でキャッチして食べられるようにすることからはじめてみてください。

組み合わせ次第で広がる犬の芸

犬ができることを少しずつ組み合わせていくことで、さまざまな芸を教えることができます。空中でキャッチできるようになる他、「もってこい」「離して」ができれば、ディスク(フリスビー)の競技会に挑戦するのもいいでしょう。また。音楽に合わせて飼い主さんとワンちゃんが踊るドッグダンスも一つ一つの芸をつなぎ合わせたものです。


犬に芸を教えるときのポイントと注意点

犬

新しく芸を教えるときには一番簡単なのは、おやつを使って誘導することです。飼い主さんもやりやすく、犬もわかりやすいやり方です。しかし、夢中になっておやつを使うことで、肥満になってしまうこともあります。

1日の食事の中からトレーニングに使うフードを取りそこから使うようにするのがおすすめです。また、飼い主さんが教えたいと思う芸の中には犬にとって難しい行動や姿勢のものもあるかもしれません。決して無理をさせないで、できる範囲で教えてあげましょう。

指示語となるコマンドはどんな言葉でも大丈夫です! しかし、犬にとって「聞き取りやすい言葉」であることと似た言葉にならないようにしてあげましょう。

例えば、「おすわり」「おまわり」「おわかり」のように似た言葉がいくつもあると、犬は混乱してしまいますので、おすわりは「座れ」や「座って」にするか、「おまわり」は「スピン」や「くるん」などの言葉に変えてあげるなどの工夫が大切です。また、日常的に使うコマンドは飼い主さんにとっても使いやすい言葉を選ぶようにしましょう。

また、教え方はおやつを使った誘導だけではありません。寝転がるなど誘導することが難しいものもあります。そんなときは、犬が自ら行動してくれたタイミングで褒めてあげるクリッカーが、飼い主さんもやりやすく、犬もストレスなく教えることができます。犬が日常の中で取る行動であれば、比較的簡単にクリッカーで教えることができます。

犬と楽しみながら芸を教えよう!

犬にかわいいしぐさをしてもらえるととっても嬉しいですよね。「できて嬉しい!」「すごいね!」と飼い主さんが喜ぶ姿が、犬たちにとってもとても楽しい、嬉しい時なのです。

犬に芸を教えるのは、犬との楽しい時間を過ごすためのコミュニケーションツールの一つと考えましょう。犬に芸を教えることは「しつけ」とは違います。あくまで「できたらいいね」という気持ちで、楽しく教えることが大切です。