犬が痩せる場合の原因とは? 考えられる病気や対策を獣医師が解説

犬が痩せる場合の原因とは? 考えられる病気や対策を獣医師が解説

一般的に太るよりも、痩せる場合のほうが心配なことは多く、急激な体重減少はそれだけで体の負担となります。明らかに背骨がゴツゴツ見えるなど、骨が触らずともわかる状態は痩せすぎです。病気の可能性がないか病院で検査してもらってください。今回は犬が痩せてきた場合に考えられる原因や対処法を、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問獣医師の佐藤が解説します。

犬が痩せる場合に考えられる症状と原因

白い犬

一言で「痩せる」と言っても、「食欲・元気はあるのに痩せる」「夏(冬)のときだけ痩せる」「ヒートのときは痩せる」「食欲がないから痩せる」「加齢に伴い痩せてきた」など、さまざまな「痩せる状況」があると思います。

ただ、「痩せる」ということは栄養がうまく吸収されていない可能性があり、「毛が抜ける」という症状を引き起こすこともあります。犬が痩せる場合に考えられる理由・病気は、以下の5点が挙げられます。

  • 摂取カロリーの不足
  • 消費カロリーの増加
  • 高齢に伴う食事の代謝や吸収の問題
  • 消化器疾患
  • 末期に見られる症状


摂取カロリーの不足

十分量カロリーを摂取していなければ、必然的に痩せてきます。フードが合っているか、食事量が適切か等、気にしてみてください。

食欲や元気があるにも関わらず痩せる場合や、夏や冬の時期だけ痩せるといった場合は摂取カロリーが合っていない可能性があります。

1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができますので、ぜひご利用ください。

十分にフードを食べているのに痩せてくる場合は、病気の可能性があります。また、食事を食べなくなること自体も病気の可能性があります。


消費カロリーの増加

生活環境の変化によって体重が増減する場合があります。また、散歩量の増加、同居犬と遊ぶ時間が増えるなどによって、消費カロリーが増加している場合があります。

散歩のしすぎや運動のしすぎも痩せの原因になりますので、適切かどうか考えてみてください。また、ヒート中はいつもより興奮気味なので痩せやすいでしょう。

高齢に伴う食事の代謝や吸収の問題

犬は腸から栄養を吸収しますが、年齢的に吸収がうまくいかず摂取している食事を吸収できないことがあります。この原因には単純に高齢化か、病気が存在します。


消化器疾患

消化管(小腸)や膵臓に疾患がある場合に、吸収不良が起こり、十分量のカロリーが吸収されず、痩せてくることがあります。

主症状として、嘔吐や下痢を認めることが多くあります。しかし、慢性経過の場合、嘔吐や下痢を伴わず、徐々に体重のみが減少する場合があります。


末期に見られる症状

腎疾患や内分泌疾患、腫瘍性疾患に罹患している場合、体重は減少していきます。このような場合、食欲自体が低下することも多く見られますが、初期症状の場合、なんとなく元気がなかったり、なんとなく痩せてきたというような症状のみ示す場合があります。

腎疾患や内分泌疾患の場合、飲水量や尿量によって異変に気づくことがあります。しかし、多くの場合、明らかな症状を認めたときには、発見が遅れ、病気が進行していることがあります。

適正体重の判断基準

本とヨークシャーテリア

犬の体重は犬種によってもばらつきが大きいため、「太っている」「ちょうど良い」「痩せている」の区別は体重ではなく体型で確認します。この体型をスコア化して評価できるようにしたものをBCS(ボディコンディションスコア)といいます。

5段階法と9段階法があり、5段階法ではBCS3が理想の体型です。9段階法ではBCS4〜5が理想の状態ですが、基本的には評価基準は同じなので5段階法についてご説明します。これはお家でも確認できるので、ぜひ愛犬の体型をチェックしてみてください。

ボディコンディションスコア(BCS)

シニ

BCS1(痩せ)

助骨、腰椎、骨盤が容易に見え、触っても脂肪がわからない状態。腰のくびれと横から見たい際の腹部の吊り上がりが顕著です。背骨がゴツゴツと見えている場合でもあります。

BCS2(やや痩せ)

助骨が容易に触れます。上から見て腰のくびれが顕著、横から見て腹部の吊り上がりも明瞭な状態です。

BCS3(理想的)

過剰な脂肪の沈着がなしに助骨は触れます。上から見て、肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見た際は腹部の釣り上がりも見られる。

BCS4(やや肥満)

脂肪の沈着はやや多いものの、肋骨は触れます。上から見て腰のくびれはありますが顕著ではなく、腹部の釣り上がりはやや見られる程度の状態です。

BCS5(肥満)

助骨は厚い脂肪に覆われて容易に触れません。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着しています。腰のくびれはない、もしくはほとんど見られません。横から見て腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている状態です。

子犬、老犬の場合は?

上記BCSは成犬以上の犬が対象のため、子犬の場合はちょっとふっくらした状態が望ましいです。反対に、老犬の場合は加齢とともに痩せる傾向にはありますが、上記BCSを体型の判断基準にしましょう。

対処法・応急処置

草原にいる犬

病気で痩せていく可能性もありますので、「体重を増やそう」とするより、まずは病院で検査することをおすすめします。それでも問題ない場合は以下のことを試しながら愛犬の管理を行っていきましょう。

体重を測定

まずは体重を測定してみましょう。実際、痩せているように感じても体重が変わっていない場合があります。体重に変化がなく、筋肉量も落ちていなければ問題ありません。

食事量を量る

食事量を測定してみましょう。正確にフードを何グラム食べているのか、知る必要があります。1日の最適カロリー量は、PETOKOTO FOODSの「フード診断」でご確認ください。

明らかに摂取カロリーが足りないようであれば、体重測定を行いながら食事量を調整していきましょう。ただし、万が一、カロリー量の計算を間違うと大変なことになりますので、必ず一度、動物病院に相談ください。

高齢の場合、シニアフードや高消化性フードに変更

高齢に伴い、消化管自体の動きが悪くなり、若い時と比べ、十分に栄養を吸収できていないことがあります。シニア用のフードに変更したり、高消化性のフードに変更したりすることで、体重の増加を認める場合があります。1度にあまり食べれない犬の場合は食事の回数を増やしてあげてみましょう。


食事で改善が見られない場合は病院へ

前記した内容を行なっても改善が見られない場合は、疾患の可能性があります。特に、特別な運動もせず、いつも通りのフードを与えているにもかかわらず、痩せてくる場合は「消化器疾患」や「腎疾患」「内分泌疾患」「腫瘍性疾患」などの病気の可能性が高いため、早期に動物病院に受診することをオススメします。

日頃から健康管理を

ゴールデンレトリバー

ペットである犬や猫は言葉を話すことができません。すなわち、具合が悪くても早期に症状を訴えることができず、重症化し食欲不振や元気消失に陥り、ようやく飼い主さんが気付くケースがほとんどです。

でも、実は愛犬もちょっとしたサインを出しているものです。ふとした仕草だったり、肉体の微かな変化だったり。日頃からのスキンシップでちょっとした変化にも気づけるといいですね。


第3稿:2020年3月13日 公開
第2稿:2017年9月4日 公開
初稿:2016年2月15日 公開

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