【獣医師執筆】犬が異常に食欲旺盛な場合の原因は?病気のリスクから子犬・シニア犬への対策まで解説

【獣医師執筆】犬が異常に食欲旺盛な場合の原因は?病気のリスクから子犬・シニア犬への対策まで解説

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犬が食欲旺盛なのは良いことですが、一日中食べ物を欲しがるといった異常な食欲の増進があったり、食べているのに体重が減って痩せたりする場合は要注意です。今回はクッシング症候群など病気の可能性や子犬・シニア犬(老犬)ごとの対策について、獣医師の佐藤が解説します。

犬が食欲旺盛な場合に考えられる病気・原因

犬

食べることが大好きで食欲旺盛なワンちゃんは多いと思いますが、それが食べ過ぎになってしまうと肥満につながります。肥満は免疫力を下げ、膵炎や心臓病、関節の負担や皮膚病さらには糖尿病など寿命を縮めるさまざまな病気の原因となります。

普段から食欲旺盛な場合は、適正な体重を維持できるよう飼い主さんが体重や体型の変化に注意してください。運動や食事の管理も大切です。急に食欲が増えた場合は、病気や環境、体調の変化が原因と考えられます。考えられる原因について、それぞれ解説します。

病気が原因の異常な食欲増加

食欲増加の原因として病気の可能性があります。食欲の増加以外に嘔吐や下痢、元気がなく寝てばかりいるなど、気になる変化がある場合はすぐ病院に行きましょう。

症状
原因
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) 食欲増進、多飲多尿、左右対称に被毛が薄くなる、筋肉量の減少 副腎のホルモン分泌過剰
消化器疾患(膵臓の疾患で主に糖尿病など) 食欲増進、体重減少、うんちの変化 栄養の吸収不良
認知症 食事の要求、強い空腹感 記憶障害、中枢神経の異常
脳腫瘍 食欲増進 腫瘍が摂食中枢を調整する視床下部を圧迫

クッシング症候群

クッシング症候群は副腎のホルモン分泌過剰によって起こり、症状として食欲増進や多飲多尿がみられます。そのほか左右対称に被毛が薄くなったり、筋肉量が減少したりといった症状もみられます。さらには、皮膚が薄くなり、肝臓腫大も起こりお腹が膨らんでいるようにも見えます。

消化器疾患

多くの消化器疾患は食欲が低下しますが、一部の消化管疾患(糖尿病や膵外分泌不全など)栄養の吸収不良によって食欲が増進する場合があります。消化不良によってうんちの様子が変わったり、食欲増進にもかかわらず体重が減少したりします。

認知症

犬も年を取ると認知症になる可能性が高まります。ごはんを食べたのに食べたことを忘れてしまったり、実際に空腹を感じたりしてごはんを要求します。認知症は犬ごとの進行状況に応じたケアが必要になります。

脳腫瘍

食欲は脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされています。摂食中枢は視床下部の外側にあるため、腫瘍が視床下部を圧迫すると摂食中枢に障害が起こり、過食につながる場合があります。

環境や体調の変化による食欲増加

病気以外にも飼育環境や犬自身の体調の変化によって食欲が増加する場合があります。原因が何かを探り、適切な対処をするようにしてください。難しい場合は抱え込まず、獣医師やドッグトレーナーに相談してください。

変化
原因
対処法
食事内容や時間の変更 摂取カロリーの低下、食事回数が少ない 最適カロリー量の確認、食事時間や回数の見直し
消費カロリーの増加 成長、運動量の増加 最適カロリー量の確認
ストレス 分離不安、引っ越し、家族の変化 ドッグトレーナーに相談
ステロイド剤などの副作用 獣医師に相談
好き嫌い 頻繁な食事変更、おやつの与え過ぎ ドッグトレーナーに相談
ヒート(生理) ホルモンによる血糖値の低下 食事量を保ったまま回数を増加、不妊手術

食事内容や消費カロリーの変化

ドッグフードの変更や消費カロリーの増加によって摂取カロリーが足りていない場合があります。ドッグランに行ったり、散歩コースを長くしたりなどの変化はないでしょうか。子犬期の体重変化を把握しているでしょうか。食事量が適切か確認してみましょう。



食事時間や回数の変化

食事の時間は空きすぎると空腹が強くなってしまいます。犬は消化に8〜10時間ほどかかるため、食事は12時間ごとの1日2回が基本です。1日の食事量は変えなくても、回数を増やすことで満足感が得られる場合もあります。

食事回数を増やすことは、ヒート(生理)の際にも有効です。繁殖の予定がない場合は、病気のリスク低下にもつながりますので不妊手術をおすすめします。

ストレスや好き嫌いが原因

ストレスや好き嫌いで食欲が増している場合は、飼育環境や飼育方法に改善点があるかもしれません。おやつしか食べない子は、飼い主さんの甘やかしが原因というケースも少なくありません。客観的に見直すためにも、ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師など専門家に相談するといいでしょう。

犬が食欲旺盛なのに痩せる場合に考えられる病気や原因

犬

先ほど、クッシング症候群では食欲の増進に伴って体重増加がみられる一方、消化器疾患では消化不良によって食欲旺盛でも体重減少がみられると説明しました。急な食欲増進があった場合は、体重の増減を確認することが大切です。

普段から食欲旺盛で急に体重が減って痩せてきた場合は、糖尿病の可能性があります。糖尿病はインスリンの分泌が正常に行われなくなる病気で、糖をエネルギーに変換できないため体重が減ってしまうのです。



犬種や年齢の違いによる食欲の違い

犬種や年齢によっても食欲は異なります。

太りやすい犬種

ダックスフンド、ポメラニアン、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、ビーグル、パグなどは食欲旺盛で太りやすい犬種です。飼い主さんは気を付けて食事管理するようにしてください。



子犬の食欲旺盛

子犬期は成長期ですので、基本的にどの子も食欲旺盛です。運動量も多いため、肥満以上に栄養不足に注意が必要です。健康的な体を作るためにも、最適なカロリー量のごはんを食べさせているか確認するようにしてください。

ドッグフードのパッケージには年齢や体重に応じて与える量が書かれていますが、正確な量は犬ごとに異なります。少なくとも2週間に1回は体重を計るようにして、飼い主さんが1日の最適カロリー量を把握しておくといいでしょう。疾患がある場合など、カロリー数が異なることもあるため、その場合は獣医師に相談しましょう。

シニア犬(老犬)の食欲旺盛

犬は年を取るにつれて食が細くなっていきます。ただシニア期に入ったばかりの7〜9歳頃は食欲が変わらない一方、運動量だけが落ちていくため肥満に注意が必要です。1日の最適なカロリー量や体重の変化に注意を払うようにしてください。

急に食欲が増えたり、体重が減ったりする場合は病気の可能性があります。高齢になれば病気も増えていきます。あまり様子見をせず動物病院へ行くようにしてください。

犬の食欲が増えたときの対処法

病院

食欲増加の原因は、病気から環境や体調の変化までさまざま考えられます。飲水量や体重の変化、他に症状が出ていないか、元気があるかなど、愛犬の様子に変化がないかよく見てあげましょう。

病気が原因の場合はその病気を治すことが対処法になります。普段から定期に健康診断をするのはもちろん、気になることがあれば獣医師に相談してください。

食欲増加が病気によるものでなくても、食べ過ぎが進めば肥満になり、それが病気につながります。犬が健康的な生活を送れるかどうかは飼い主さんにかかっています。日々の生活を見直して、愛犬を長生きさせてあげてください。

食事内容を見直す

食欲旺盛なのは摂取カロリー不足が原因かもしれません。年齢によってカロリー摂取量は変化していきますので、フードの摂取カロリーや愛犬の体重を確認したりして最適な食事量を与えるようにしましょう。

毎日の最適必要量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

愛犬のカロリー計算をする

PETOKOTO FOODS

生活環境や習慣を見直す

運動量の増加で消費カロリーが増えれば食欲も増えます。ストレスで食欲が増えている場合もあります。「うちの子はごはんが好き」「食欲があるのはいいこと」で済まさず、生活環境に見直す点がないかを確認するようにしてください。

体重を計る

ご家庭で体重測定できる環境を作りましょう。毎日でなくても週に一度、測定すれば十分です。食欲増進に伴い好きなだけごはんをあげていると肥満につながります。糖尿病や膵炎、関節疾患などは肥満がリスク因子となります。

愛犬が肥満かどうかは以下のBCS(ボディコンディショニングスコア)が指標となります。3の理想体型を維持できるようにしましょう。

ボディコンディションスコア(BCS)

BCS1 痩せ 助骨、腰椎、骨盤が容易に見え、触っても脂肪がわからない状態。腰のくびれと横から見た際の腹部の吊り上がりが顕著です。背骨がゴツゴツと見える場合もあります。
BCS2 やや痩せ 助骨が容易に触れます。上から見て腰のくびれが顕著、横から見て腹部の吊り上がりも明瞭な状態です。
BCS3 理想体型 過剰な脂肪の沈着がなく助骨を触れます。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見た際は腹部の釣り上がりも見られます。
BCS4 やや肥満 脂肪の沈着はやや多いものの、肋骨は触れます。上から見て腰のくびれはありますが顕著ではなく、腹部の釣り上がりはやや見られる程度の状態です。
BCS5 肥満 助骨は厚い脂肪に覆われて容易に触れません。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着しています。腰のくびれはないか、ほとんど見られません。横から見て腹部の吊り上がりはないか、むしろ垂れ下がっている状態です。

偏食の犬が食欲旺盛になるおすすめごはん

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犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。

1. 総合栄養食を適量与える

犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。

総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。

2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ

犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。

そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。

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実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。

フレッシュフードと寿命の関係性

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まとめ

PETOKOTO FOODSの匂いを嗅ぐ2匹の犬
食欲増進の原因は病気や環境・体調の変化が考えられる
ストレスや好き嫌いはドッグトレーナーに相談する
食欲旺盛なのに痩せる場合は糖尿病や膵外分泌不全などの可能性
犬種や年齢の違いで対処法は異なる
食事や生活環境の見直し、定期的な体重測定が大事
犬の食事の悩みとして、食欲旺盛より偏食で食が細いことに悩む飼い主さんのほうが多いと思います。しかし、急に食欲が増えたり、食べているのに痩せる場合は病気の可能性が考えられます。

単にごはんが好きでいっぱい食べてしまう子も、そのままにしていれば肥満になって寿命を縮めてしまうでしょう。飼い主さんがきちんと食事管理をして、愛犬がいつまでも元気で長生きできるようにしてあげてください。

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