犬と楽しむアロマ|ユーカリを使った虫よけスプレーの作り方など専門家が解説

犬と楽しむアロマ|ユーカリを使った虫よけスプレーの作り方など専門家が解説

アロマテラピーとは、精油を用いて行う自然療法です。心とカラダのバランスを取り戻すのに役立てたりします。アロマテラピーを愛犬との暮らしの中で日常生活に取り入れていただくことは「一緒の暮らし」をより豊かな気持ちにさせてくれます。今回は愛犬とアロマテラピーを楽しむ方法や注意点、オススメのラベンダー精油やユーカリを使った虫除けスプレーの作り方について、日本ドッグセラピスト協会代表理事で「Seventh Heaven」代表の水野が解説します。

アロマテラピーとは

アロマテラピー

アロマテラピーとは「アロマ(芳香)」と「テラピー(療法)」から成る言葉で、「植物から抽出した芳香成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、心身のリラクゼーションやリフレッシュに役立て、健康や美容に役立てていく自然療法」と定義されています。

良い香り、好きな香り、落ち着く香りと感じリラックスすると副交感神経が優位になり、副交感神経は自己治癒力や免疫力を活性し、美と健康を促進します。日本語では「芳香療法」と訳され、植物(香草、薬草)の花、葉、茎、根、樹皮、樹脂、種子、全草などから抽出された芳香成分を用いて行う方法が一般的です。

参照:公益社団法人「日本アロマ環境協会」(AEAJ)


アロマテラピーの歴史

アロマテラピーの歴史は日本ではまだ新しい感じがしますが、世界的にはその歴史はとても古く、紀元前3000年前から始まったとされる古代エジプト時代の壁画には、香油の壺などが描かれています。人類は長い間、植物が持つ香り(芳香成分)を心身の癒やしや毎日の暮らし、生活に役立てようと重宝してきたことがうかがえます。

アロマテラピーを難しく考えずに広くとらえてみると、日常生活では毎朝のコーヒーの香りで自然に気持ち良く目覚めたり、ショウガやニンニクの香りで食欲が湧いたりすることも含まれます。

現代アロマの流れ的には、有効成分(=芳香成分)の摂取による作用、効果を目的としたフランス式(メディカルアロマ)もありますが、今回は一般的な、香による癒やしを中心としたイギリス式(アロマテラピー)について話していきます。

アロマテラピーとアロマセラピーの違い

アロマテラピーとアロマセラピーの違いは、「Aromatherapy」をフランス語読みしたものがアロマテラピーで、英語読みしたものがアロマセラピーとなっています。どちらも「芳香療法」と訳され、内容に違いはありません。

前述した通り、読み方の違いではなくアロマの種類、使い方の違いから「イギリス式アロマ」(香りが中心)「フランス式アロマ」(成分が中心)にわかれます。

アロマテラピーの注意点

アロマオイルの保管方法

犬も人と同様、アロマテラピーを楽しむことができます。ただし、注意点がありますので、安全に楽しむためのポイントを解説していきます。

精油の保管の仕方

精油の原液はプラスチックを変形させたり長時間になると溶かしたりする可能性もありますので、必ずガラスの遮光瓶で保管します(※)。茶色やブルー、グリーンの遮光瓶がありますが、遮光率が高いのは茶色です。

※遮光:光をさえぎること。光が内へさし込んだり、外へ漏れたりしないようにすること。

保管時にガラス容器は横にせず、立てて保管します。この理由を「精油が漏れるから」と認識し、「しっかり蓋を閉めていれば横にしてもいい」と思っている方が意外と多いのですが、実はそれは間違いです。

精油は一滴の量が決まっているドロッパータイプのガラスの遮光瓶に保存されていますが、ドロッパーの部分がプラスチックでできています。瓶を横にするとドロッパーの栓部分に精油が触れてしまい、長時間その状態になるとプラスチックの部分が変形したり、溶けだしたりします。長時間の保管時は横にせず、立てて保管しましょう。

また、精油は引火性があり揮発性もありますので、火の立つ場所の近くでは保管しないように注意しましょう。子どもや動物が精油を誤飲しない冷暗冷所で、しっかり蓋をして保管してください。


犬の飼い主さんの注意点

2017年頃から、ご自宅でアロマを使用された方に共通した皮膚トラブルのご相談が続いています。共通点として、以下の3つが挙げられます。

  1. ネットや人づてに聞いたお話しから、飼い主さんの独断でアロマを使用
  2. ワンちゃんの背面、背骨付近にアロマを原液で塗布したことによる皮膚炎
  3. 最初が大丈夫だったので連続使用していると3回目(週1ペース)ぐらいから肌荒れが発生

精油の原液塗布は行ってはいけません。中には皮膚刺激が強い成分もあります。必ず希釈して(薄めて)使用します(肌を刺激する可能性があるため)。厳密に申しますと、ごく一部では原液塗布が可能な精油もありますが、きちんと勉強した上での上級者の使い方です。

皮膚トラブルの件に共通することは、どの飼い主さんも、「初めて使ったときに大丈夫だったので、そのまま続けていた」という点です。1回目から荒れる場合もありますが、優しめの精油だったので初回は出なかったようですが、原液塗布を続けているとやはり炎症やかぶれ等が起こっています。

アロマもマッサージも、本来はとてもよいものですが精油を原液塗布して行う必要はありません。マッサージのアロマは香りを楽しむものです。アロマは生活を豊かにしてくれる素敵なアイテムですが、誤った使い方をしてしまうとトラブルが起こったり、マイナス面が出てしまいます。

特に犬の皮膚は被毛に被われ守られている分、皮膚自体は人間より薄く弱いです。精油を使用する際には、十分に注意してください。


犬のアロマテラピーのやり方

アロマテラピーを愛犬との暮らしの中で日常生活に取り入れていただくことは、「一緒の暮らし」をより豊かな気持ちにさせてくれます。

ディフューザーの種類


アロマディフューザー:楽天で見る

アロマテラピーには奥深さもありますが、まずは気軽に楽しめる「芳香浴」がおすすめかと思います。「芳香浴」ではアロマのディフューザーを用いるのが一般的ですが、ディーフューザーは大きく分けると以下の4つのタイプに分かれます。

  1. 原液加熱式
  2. 原液ネブライザ式
  3. 希釈超音波式
  4. 希釈加熱式

アクティブなワンちゃんがいることと価格帯を考えると、一般的にもよく使われている3の希釈超音波式が使いやすいかと思います(4の希釈加熱式は、蒸気が出るので火傷の恐れがあります)。

希釈超音波タイプは、お水の中に精油を3~5滴(各取扱説明書を確認ください)ほどの少量を入れて使用します。お水に希釈して(薄めて)超音波の振動でアロマを水と一緒に拡散するので、少しですが効果もあります。

アロマは水で希釈されているので、使う時間はほとんどのディフューザーに設置されているタイマー機能に沿った時間で大丈夫です。その香が「濃厚に香る」のではなく、「ほんのり香る」のがポイントです。

加湿器で使用する際の注意点

冬になるとよく使用される加湿器にアロマを使用する場合、その加湿器専用の「水溶性アロマ」「水溶性エッセンシャルオイル」などが付属していますが、精油は「親油性」しかなく、精油単体では水には溶けません。時間をおくと分離して上に浮きます(一部柑橘系は本当に少しだけは溶けます)。

水溶性のアロマ、水溶性のエッセンシャルオイルとは、精油に乳化剤(水に乳化させるもの)を混ぜたものであったり、物によっては精油ではなく香料で香り付けをしたオイルであったりします。ですので、アロマテラピーで使用する精油(エッセンシャルオイル)とは区別して、その加湿器のみで使用するようにしてください。

加熱方法の注意点

電気式の場合はコンセントをつなぐので、愛犬が引っかかって倒したり、コンセントをかじったりしないように設置場所に注意してください。ろうそくを使うタイプのポットは火を使いますので、目を離したすきの火傷や火事の可能性があり、おすすめしません。


ワンちゃんも香りを選ぶ?

フレンチブルドッグ

嗅覚からの刺激は感情や本能に伝わりますので、「香が不快=ストレス」→「体がストレス反応」となります。アロマを使用して、ワンちゃんが急にソワソワしだしたり、香りを遠ざけるためにその部屋を出たがったりした場合には、すぐに使用をやめ、窓を開けるなどして部屋の換気をして空気中のアロマの香りを薄めてください。芳香浴は部屋にアロマを香らせているだけなので、中毒が起こったりはしません。換気をするだけで大丈夫です。

犬の嗅覚の特徴

猫は聴覚の動物といわれているのに対し、犬は嗅覚の動物といわれます。犬は優れた嗅覚を持ち、さまざまな分野に生かされ、私たち人間の役に立ってくれていることは、みなさんすでにご存じかと思います。

犬の嗅覚は、人の1000倍から、訓練を積むと1億倍にもなるといわれています。私たちが感じる匂いを1000倍強く感じると思われがちですが、実はそうではありません。例えば匂いの強さを数字で表すと、人が1と感じる匂いを犬は1000と感じるのではなく、人の1は犬も1で、人の100は犬も100です。犬は私たち人間が嗅げない0.001の匂いを嗅げると考えていただけるとかりやすいかと思います。

ちなみに犬の鼻先が常に濡れているのは、匂いの分子を鼻先の水分に吸着して嗅ぎやすくするためです。

また、犬の嗅覚の特徴として、「嗅ぎ分ける=匂いの階層化ができる」ということも挙げられます。アロマの香りを試香すると長い間嗅ぎ続けていることがありますが、犬は私たち以上に香りの分析をしているのかもしれませんね。

愛犬に合った香りを選びましょう

アロマの力を最大限に発揮するため、愛犬との大切なスキンシップとしてもおすすめなのが「ワンちゃんと香りのテイスティング(試香)~香り選び~」です。

実は犬も香りを選びます。ずっと同じ香りを選ぶ子もいれば、毎回変わる子もいます。季節によって選ぶ香りの傾向もあります。例えば夏場はすっきりと清涼感のあるペパーミントやグレープフルーツを選ぶ子が本当に多いです。飼い主さんが好きな香を選ぶワンちゃんも多いです。

テイスティングにはいつくかの注意点がありますので、やり方を紹介します。

テイスティングのやり方

ご自身は精油の瓶から直接でかまいませんが、ワンちゃんには蓋のほうを、鼻先から15~20cm離して嗅がせます。飼い主さんが手に何かを持っていると、おやつをもらえると勘違いする子が多いです。ですので何かはわからず舐めにくるので注意してください。

精油の匂いを嗅ぐ犬

精油の瓶を持っていると、注ぎ口に精油が多く残っている場合にそれを舐めてしまいます。蓋には精油は残っていないので蓋のほうが安全です。愛犬は蓋でテイスティングしましょう。鼻先には近づけ過ぎず、必ず15~20cm離してください。

良い反応

興味を示します。蓋を開ける前から匂いをキャッチしようとします。近づいてきたり、鼻をひくつかせて匂いをしっかりキャッチししたりしようとします。中には舐めようとする子もいますので、近づいてきたら離して、15〜20cmの距離を保つようにしてくださいね。

苦手、嫌いそうな反応

2~3回鼻を引くつかせた後にすぐそっぽを向いたり、顔を背けて避けたり、香から離れようとしたりします。その香が嫌いだったり、その日は苦手だったりするのかもしれません。

飼い主さんと愛犬と、言葉は通じなくてもアロマのテイスティングを通して、愛犬をよく見て、サインをキャッチして、一緒にアロマの香りを楽しんで「五感で楽しむ愛犬との交流」としてリラックス&スキンシップしていただければと思います。

アロマスプレーを手作りする方法

愛犬とのお出掛けが増える季節に重宝いただける、「アロマ虫よけスプレー」の作り方をお伝えします。

準備する物

  • 100ccスプレー容器
  • 精油:ユーカリレモン(学術名:ユーカリシドリオドラ)5滴(シトロネラでもOK)
  • 乳化剤(※1):いろいろな乳化剤がありますが、できる限り植物系よりでソフトな乳化剤を選択してください。(※2)


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※1 乳化(乳化剤)とは:油と水は本来は混ざり合わず、時間を置くと上に油が浮いて分離します。それを混ぜてくれる役割のものを乳化剤といいます。水と油が混ざると乳白色になるのでそう呼ばれています。
※2 参考商品:健草医学舎 バスオイル」

アロマのアイテム作成では無水エタノールが一般的ですが、アルコール系なのでアロマの香りが少し変わりますのでご注意ください。

アロマ虫よけスプレーの作り方

  1. スプレー容器に乳化剤を入れる(乳化剤ごとの容量をお守りください)
  2. 虫の嫌がる精油「ユーカリレモン」を5滴入れる(シトロネラの場合は5~8滴)
  3. 水を100cc入れて軽く振って混ぜて乳化させれば完成

使用する乳化剤の注意事項を確認いただいて問題なければ、ワンちゃんはもちろん、人や子どもさんなどご家族みんなで使えます。

虫除けスプレーのより効果的な使い方

香りが薄くなってきた場合は塗り直してください。目安としては、1時間に1回ぐらいかと思います。

体への塗布以外に、カートや洋服、立ちどまったときにはその周りに振ってもいいです。お家の場合は、網戸などに塗布すればよい香りがして、虫除けにもなります。今年の愛犬とのお散歩&お出掛けにお役立てくださいね。


シーン別の活用方法とオススメのアロマ

いくつかシーン別に愛犬さんと楽しめるオススメのアロマを紹介します。

ヒーリング:リラックスさせたいとき

ラベンダーやローズウッドがおすすめです。


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ヒーリング:興奮を抑えたいとき

マージョラム(マジョラム)やユズがおすすめです。


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咳止め

ユーカリ・ラディアタがおすすめです。


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まとめ

犬
アロマテラピーとは精油を用いて行う自然療法
自己治癒力や免疫力を活性し、美と健康を促進する
精油の原液塗布は皮膚トラブルを起こす可能性があるのでNG
テイスティングで愛犬好みの香りを見つけましょう
自然の恵み「植物の力」を豊かな暮らしに取り入れるアロマテラピーは、愛犬と飼い主さんの心と生活を豊かにするだけでなく、心身のバランスを取り戻すホリスティックケア―となります。まずは、お気軽に「香り=芳香療法」から取り入れていただけたらと思います。


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